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ベトナム戦争の英雄、マケインの立場はむろん、中国敵視に変わりないが、台湾との関係改善、ベトナムへのテコ入れを主張し、ヨーロッパの裏側ではNATO重視、ロシアとは当面、距離をおくとするものである。 議会の共和党有力者は、このジョンマケインの動きに賛同しており、このため国務副長官、国防副賞官など枢要な人事が大幅に遅れている。 第二に米国全体の雰囲気から言っても、ISとの戦いが尾を引いており、ペンス、ティラーソン、マティスといった政権要人が次々にNATOを訪問し、またペンス副大統領はトルコ政府高官との協議も重ねた。つまり従来の「同盟国」ならびに準同盟国への確認作業を急いだ。 マティスは異例のバクダッド入りをはたし、イラク政府軍への協力を再確認している。 第三はジャーナリズムが、トランプ政権に真っ正面から敵対していることである。 トランプのツィッターを武器とする反論vs左翼がつくりだす世論という構造が深まるばかり。 とはいえトランプツィッターの威力は米有力メディア四紙に匹敵する影響力を誇示しており、支持率は45%と依然として驚異的な高さである。 ▽△◎み□◇▽や□◎○ざ◎□○き○□◇ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 しょひょう BOOKREVIEW ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 人生は『出会い』であり、ふとした出会いが印象深い想い出となる ほんの数分の出会いでも貴重な邂逅となった人々がいた ♪ 曾野綾子『出会いの幸福』(ワック) @@@@@@@@@@@@@@@ 名エッセイを次々と書かれて世に問われる曾野さんには、ファンが多い。WILL巻頭の随筆も随分長いこと続いていると思っていたら本になった。一度読んで忘れているのもあれば、初めて読んだ箇所もある。 とくにこの随筆集に強烈な印象をもつ人が何人もでてくるが、曾野さんはペルー大統領辞任直後から自宅にフジモリ大統領を匿った逸話は広く知られる。 その『亡命』生活の最中だったか、評者(宮崎)も加瀬英明邸でフジモリ大統領と会ったことがある。 おどろくほど日本語が上達されていた上、英語もかなり流暢だった。矢継ぎ早に、中国経済の現状について質問が飛び出した。曾野さんは、フジモリ大統領が曾野家のプレハブ住宅に突如移り住んでからの生活ぶり、そして食事から興味の範囲までを克明に記憶して、この最後のサムライの日本での生活を書いた。 チリの章も面白く読んだ。 というのも、チリでアジェンデ大統領の社会主義政権の腐敗、大統領府を武器庫にしたあとに軍事クーデターがおこり、その直後に曾野さんはサンチャゴに入った。その時に抱いた率直な印象は貴重な記録でもある。 これまた評者の個人的なことだが、先月にサンチャゴに立ち寄って、クーデターの現場となった大統領府をみたが、前の広場にはアジェンデ大統領の巨大な銅像があり、逆にピノチェット大統領の銅像がない、という価値倒錯の現在のチリの思想状況を知っていたので、往時との格差について思いを走らせたのだった。 もう一つの思いが百瀬博教氏のことである。 曾野さんは、ある日突然、無名の百瀬を名乗る青年から詩集を贈られ、なぜかひらめくものがあって読んだそうである。そしてフランス料亭に彼を招いて食事をして、というような付き合いをされていた由。 思い出したのだ。 百瀬博教氏は2008年1月28日に急逝した。 新聞には百瀬博教さんのことを「裕次郎の用心棒」と報じたが自宅風呂場で発見。自殺?事故死?(同日夕刊、29日産経朝刊)。 「三島由紀夫の用心棒」を自称する作家の安部穣二氏は、雑誌『室内』を主宰されていた山本夏彦氏が、その文才を見つけ出した。安部さんと小生は45年近いき合いだが、最初は小金井一家の代貸しと言っていた。 藤島さんの事務所によく訪ねてきて、話が滅法面白く、抱腹絶倒。あれを小説化したら面白い、と当時から指摘していたのは作家の藤島泰輔氏だった。藤島さんは安部氏の第七番目だかの奥さんとの結婚式で介添えを務めた。 六年間のオツトメを終えて娑婆に戻った百瀬さんのトレードマークは『永遠に若く』の帽子だった。 百瀬博教氏の文才を最初に発見し、大胆にも『週刊文春』に手記を連載させたのは花田紀凱氏である。文士とはもっとも縁が薄い人物が濃密で情緒的な裕次郎時代の回想を綴った。 その花田さんの紹介で、評者も百瀬氏を知ったが、初対面の時から妙にウマがあって、『三島さんに会いたかった。あの自決には衝撃を受けた』と語った。 そしてなぜか百瀬さんは詩集をくれた。その詩集は純朴そのものの作風で、いまとなっては遺書代わりとしか思えない。そのときに連れてきていた秘書に一緒の記念写真を撮らせ、その写真をなぜか次に偶然サイデンスティッカーさんの追悼会で会ったら、持参してくれていた。 「どうして私が、この会にでると分かったのですか?」と訊くと、 百瀬さんが『カンですよ、第六感』と言って笑った。 百瀬氏とサイデンスティッカーさんとが、どこでどうつながっていたのか、うっかり聞かなかった。 こうして思いで深き人々が次々と登場してくるのが曾野さんの新著の特色で、読み込む内に夕食をとることを忘れていた。 ○◎○ □▽◎ ○◎○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ♪ (読者の声1)イスラエル現代史の良き本を探していたのですが、貴誌前号書評の『イスラエル軍事史』(並木書房)は、ちょうど小生も読み終えたところで、ご指摘にように、この本の魅力は「イスラエルの軍人が書いた歴史書であっても、決して自慢せず軍功を誇らず、むしろ淡々と客観的に、みてきた歴史」というところにあります。 ヨムキプールの失策でもイスラエル人は「反省する民族」で、これが彼らの強さの秘密と思います。 (GH生、横浜) □▽□◇▽○◇○◇○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ♪ 樋泉克夫のコラム @@@@@@@@ 【知道中国 1534回】 ――「支那ハ困リタ國デス何處マデモ亡國ノ兆ヲ帶ビテ居マス」(戸水1) 戸水寛人『東亞旅行談』(有斐閣書房・東京堂 明治36年) ▽ 戸水寛人(文久元=1861年~昭和10=1935年)の名前を聞けば、東京帝国大学法科大学教授当時、明治37(1904)年の日露戦争開戦に当り富井政章らと共に時の桂太郎首相・小村壽太郎外相に向けて「七博士意見書」を発表し、ロシア帝国に武力進攻してバイカル湖以東の東シベリアの占領を強く主張したことだろう。時に「バイカル博士」とも呼ばれたとか。尚、原文のカタカナ部分をひらがなに改め、漢字は正字のままとした。 巻頭に置かれた「序」には、本書は明治35(1902)年9月から11月の間、「滿州蒙古北清朝鮮を漫遊し」た際の「記事」とある。日露戦争直前という時期、しかも東京を出発し、敦賀からウラジオストック、グロデコフ、ハルピン、旅順、「ダルニー」、旅順、芝罘、牛荘、錦州、山海関、秦皇島、山海関、天津、北京、張家口、「ハノルパ」、「トウタイ」、「チャーカントラハイ」、張家口、北京、天津、芝罘、仁川、京城、仁川、釜山、長崎、門司、神戸を経て新橋するという訪問地から考えれば、この旅行での見聞が「七博士意見書」に繋がったと見ても間違いないだろう。 「序」には、「青年志士に向ては之を讀んで?す心を海外に用ひられんことを希望し」、本書を読んで「大鵬萬里の志を立てらるヽならば是望外の幸です」と記されている。であればこそ、どうやら本書は単なる紀行文というよりは、海外に向けて「大鵬萬里の志を立て」る「青年志士」へのアジテーションでもあるような。 次いで、本書出版直前に発生した旅順でロシアとの間に裁判権問題に関し、「若し日本の政治家が私の議論を用ひずして兵力を用いることを止めて唯言論を以て露西亞と爭ふ積りならば或は失敗に終るでせう」。また、「若し日本の政治家が兵力を用ふる積りならば旅順の裁判權問題の如きは誠に區々たる小問題です」と記しているところからして、対ロシア主戦論を掲げた「七博士意見書」の出発点は、あるいは本書、というより「滿州蒙古北清朝鮮」の「漫遊」にあったと見做して強ち間違いはないだろう。 それにしても「若し日本の政治家が私の議論を用ひずして兵力を用いることを止めて唯言論を以て露西亞と爭ふ積りならば或は失敗に終るでせう」の一言からは、北方領土問題の解決に具体的有効策を打ち出し得ず、ロシア側の振る舞いに一喜一憂するしか能のない現在の日本の姿を予見しているようにも思える。当時も、「唯言論を以て露西亞と爭ふ」ことで事態の解決ができると考えていたオメデタイ政治家がいたわけだ。また当時は東京帝国大学法科大学教授でありながら「若し日本の政治家が兵力を用ふる積りならば」などと公言できたという点から考えて、今では想像だにできそうにない雄々しく覇気に溢れた時代だったことが判る。やはり当時も今も「露西亞と爭ふ積りならば」、「唯言論を以て」するだけでは事態は解決に向って動かないということだ。 さて「東京帝國大學法科大學?授/バリストル、アト、ロー/法學士法學博士 戸水寛人述」と記された本文に移るが、今回の旅行目的は「學術の材料蒐集に在る」が、「學術の材料を得たと」しても簡単に研究成果が生まれるわけはない。だから、研究の「結果は他日之を發表することと致し」、「唯今は學術以外にも渉りて平常見聞した所をざつと御話致しませう」と、『東亞旅行談』の旅行談たる由来を記している。とすると、「他日之を発表するとした「之」が「七博士意見書」に変じたということだろうか。 れにしても対露強硬論の持ち主の目には、日露戦争直前のシベリア東部や満州をどのように映ったのか――こんな視点から、本書を読み進むのも一興だろうと考える。「強盗が澤山居る」というウラジオストックに上陸して、「初から人を殺」すその手口から、「卑怯と殘忍は露西亞人の性質でありませうかしらぬ」とは、さて疑問なのか。断言なのか。 《QED》 ▽△◎◎ヒ□◇▽イ□◎○ズ◎□○ミ○□◇ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ■ 宮崎正弘の新刊案内 http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ♪ 宮崎正弘 新刊ラインアップ ************* 『トランプノミクス』(海竜社、1080円) 『日本が全体主義に陥る日~旧ソ連邦・衛星国30ヵ国の真実』(ビジネス社、1728円) 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土曜日, 2月 25, 2017
宮崎正弘の国際ニュース・早読み < フリン からマクマスターに安全保障補佐官は交替したが
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