学会発表を終えて、元指導教官にも1報を入れておいた。元指導教官は先日逝去した渡部昇一教授とほぼ同年齢で天皇陛下と同一の癌治療を受けながら闘病中であり病院の数科に通うものの老化への対応でどれも完治せず、と言う有様らしくお気の毒と言うほかはない。
ところで、前回も少し書いたがアカマツ林の物質収支を通してアカマツ林の総生産量を求め林分の取り扱いの違いによる結果の原因を検討するには、まだ少し試料が足りない。それに調べた小生の15年生アカマツ林の調査報告も学会発表だけで普通には何を本当の目的にしたのかは、分かりづらい。
林分生長論資料 1. 立木密度のちがう 若いアカマツ林 65-99
I まえがき
木が ウッペイをたもった 林としてそだつばあい、そのソダチカタは, 木のあいだのオタガイの ハタラキカケによって, 孤立木とはちがったアリサマをしめすことは よく知られており, このアリサマをあきらかにすることは、林のトリアツカイをかんがえるうえに たいせつなことだ。ところが、このような問題の研究は、これまで、むしろ 数学的なトリアツカイにかたよっていて、生物学的な面はナオザリにされがちだったといえよう。BOYSEN JENSEN (4)(5)(6)は 植物の生長を生長を 炭酸同化によるモノの量と 呼吸によるその消費 の対立したものの統一とかんがえた。このばあい、 炭酸同化によってつくられたモノの量が 呼吸によってつかわれたモノの量よりも多くなければ、 いいかえれば、プラスの物質経済がなければ、 生長はありえないわけだ。 彼は このようなカンガエカタにもとづいて ヨーロッパのトネリコとブナの わかい林の物質生産の解析をおこなった(4)(6)。さらにMØLLER(27)(28)はこのカンガエカタにしたがっておおくの種類の木の いろいろな条件の林について、このような関係をしらべた。 林分の持つ葉の量 および 葉の量と幹の木材生産の関係については BURGER(7)~(11) のながいあいだの研究があり, 林木の炭酸同化については POLSTER(36)の ひろい 研究がある。 BAKER(2)は おおくの研究報告にもとづいて 生物学的な生長論をすすめた。 しかし まだ この方面の研究は 決してゆたかではなく、 ことに わが国の樹種については ほとんど 手がつけられていない。そのうえ 門司(30)が指摘しているように これらの研究では, 環境条件の定量化、基本的な生産構造の解明、 あるいは物質再生産の知識に 不十分なものがある。 このようなイミで おおくの林について ハタラキテとしての葉の量と そのハタラキ、 クローネのなかでの葉の分布と光のヨウス、 ツカイテとしての非同化部分の量と その呼吸のアリサマ などについて, それが 樹種や 林のトリアツカイや トシなどによって どういうアリサマをしめすかをしらべるひつようがある。 そのテハジメとして、 千葉県演習林の アカマツ植栽密度試験地について これを ひとつのモデルと考えて いくらかの解析をこころみて予報(39)として報告したが,
さらに調査をくわえるとともに、 はじめの調査のデータについても、 さらにこまかな解析をくわえた。その結果 予報では少し早まった考察をしている点もあることがわかった。調査の方法、ことに試験地の配分と 標準木のトリカタには 多くの欠点を含み,
ことに2度めの調査は はじめの調査であらしてアナをあけたのと、 密植区が行き詰まって 雪のために カタマリになってたおれていたので きわめて不十分である。 そのうえ 葉のハタラキや 幹や枝の呼吸についての 研究をおこなっていないので、統一的な考察を行うことはできなかったが, いくつかの傾向を見ることができたので、 資料として報告する。
このシゴトをするうえの カンガエカタについては 東大理学部の 門司正三教授に教えられたところがおおい。 ヤマでの調査のさいには 千葉県演習林職員のかたがたに いろいろとてつだっていただいた。 また2度めの調査には 当時の学生 杉浦慶四郎さんと 松野躁平さんに てつだってもらった。 これらのかたがたに, あつくお礼を申し上げる。
これは林分の密度試験を提唱した故中村賢太郎教授の方針に沿って昭和13年に当時の弟子たちが千葉県演習林に設定した山形県産のシラハタマツのたねから植付け間隔で 0.5m、
1m、1.5m、および 2.0m、の4段階の密度試験樹を設け1950年の予備的な調査の後、1953年に上述のように多くの欠点を認めながらも一応の傾向を報告したわが国最初の林分生長論資料の前書きである。
この頃わが指導教官はアカマツ、スギ、ヒノキ苗の光合成、呼吸を赤外線ガス分析計で調べその報告で学位を取り、その後この報告にあるように『葉のハタラキや 幹や枝の呼吸についての 研究をおこなっていないので、統一的な考察を行うことはできなかったが』苗から成木を対象に幹と枝のいわゆる非光合成器官の呼吸に移り小生が大学を卒業する頃までに切断資料での呼吸測定を終了し、入院したころには、立木での呼吸測定とかアカマツ大径立木の幹温度や摘葉処理による日中低下の回復などを調べた。この過程での大径立木の放射方向での温度変化の予測がブルガリアでの世界微分方程式会議での発表となった。(ベッセル関数の応用と幹の垂直方向の温度変化など)
また. 今回の発表でわかったことは主として参照した旧目黒林試でおこなった高密度アカマツ林の一次生産の解析 (林試研報 Bull. For. Prod. Res. Inst. No. 354. 1989 )
にある総生産量の推定・測定例は幹・枝ともに単独での測定値は田無と林試で差がないが、林分の推定値としては高密度の天然林での推定値となったため総生産量は立地条件が田無より低いため総生産量は少なめだが、仮発表の田無アカマツ人工林の総生産量は60トン近くになっている。宮山台国有林では36.8トンよ42.4トンどまりである。
また、まだ試算段階であるが、千葉の4密度の植栽林でが0.5m、1.0m、1.5m区では幹と枝の呼吸量の合計は大差ないが、2.0m区では枝の呼吸量が突出して大きく他の3樹ともに総生産量が51トンから53トン前後であるが最低密度区の2.0m区では65トンほどとなり増えた分は全て枝の呼吸増による結果となっている。こうした結果の追跡と確認が次期学会発表の核となるだろうと思っている。
密度による葉量は差がないとされているのに、枝の量が密度により大差があり、アカマツ林の特徴として枝の呼吸量が時には幹より大きいためである。
林試の研究でも、20年生各器官の呼吸消費量は両林分とも26-28トン/ha.yrで幹16、枝23−25、葉53−55、根6%で両者ともあまり差がないという結果になっていた。
材の呼吸は幹が34〜35%、枝51〜53%、根13%で枝の呼吸が高かった。
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ところで、前回も少し書いたがアカマツ林の物質収支を通してアカマツ林の総生産量を求め林分の取り扱いの違いによる結果の原因を検討するには、まだ少し試料が足りない。それに調べた小生の15年生アカマツ林の調査報告も学会発表だけで普通には何を本当の目的にしたのかは、分かりづらい。
林分生長論資料 1. 立木密度のちがう 若いアカマツ林 65-99
I まえがき
木が ウッペイをたもった 林としてそだつばあい、そのソダチカタは, 木のあいだのオタガイの ハタラキカケによって, 孤立木とはちがったアリサマをしめすことは よく知られており, このアリサマをあきらかにすることは、林のトリアツカイをかんがえるうえに たいせつなことだ。ところが、このような問題の研究は、これまで、むしろ 数学的なトリアツカイにかたよっていて、生物学的な面はナオザリにされがちだったといえよう。BOYSEN JENSEN (4)(5)(6)は 植物の生長を生長を 炭酸同化によるモノの量と 呼吸によるその消費 の対立したものの統一とかんがえた。このばあい、 炭酸同化によってつくられたモノの量が 呼吸によってつかわれたモノの量よりも多くなければ、 いいかえれば、プラスの物質経済がなければ、 生長はありえないわけだ。 彼は このようなカンガエカタにもとづいて ヨーロッパのトネリコとブナの わかい林の物質生産の解析をおこなった(4)(6)。さらにMØLLER(27)(28)はこのカンガエカタにしたがっておおくの種類の木の いろいろな条件の林について、このような関係をしらべた。 林分の持つ葉の量 および 葉の量と幹の木材生産の関係については BURGER(7)~(11) のながいあいだの研究があり, 林木の炭酸同化については POLSTER(36)の ひろい 研究がある。 BAKER(2)は おおくの研究報告にもとづいて 生物学的な生長論をすすめた。 しかし まだ この方面の研究は 決してゆたかではなく、 ことに わが国の樹種については ほとんど 手がつけられていない。そのうえ 門司(30)が指摘しているように これらの研究では, 環境条件の定量化、基本的な生産構造の解明、 あるいは物質再生産の知識に 不十分なものがある。 このようなイミで おおくの林について ハタラキテとしての葉の量と そのハタラキ、 クローネのなかでの葉の分布と光のヨウス、 ツカイテとしての非同化部分の量と その呼吸のアリサマ などについて, それが 樹種や 林のトリアツカイや トシなどによって どういうアリサマをしめすかをしらべるひつようがある。 そのテハジメとして、 千葉県演習林の アカマツ植栽密度試験地について これを ひとつのモデルと考えて いくらかの解析をこころみて予報(39)として報告したが,
さらに調査をくわえるとともに、 はじめの調査のデータについても、 さらにこまかな解析をくわえた。その結果 予報では少し早まった考察をしている点もあることがわかった。調査の方法、ことに試験地の配分と 標準木のトリカタには 多くの欠点を含み,
ことに2度めの調査は はじめの調査であらしてアナをあけたのと、 密植区が行き詰まって 雪のために カタマリになってたおれていたので きわめて不十分である。 そのうえ 葉のハタラキや 幹や枝の呼吸についての 研究をおこなっていないので、統一的な考察を行うことはできなかったが, いくつかの傾向を見ることができたので、 資料として報告する。
このシゴトをするうえの カンガエカタについては 東大理学部の 門司正三教授に教えられたところがおおい。 ヤマでの調査のさいには 千葉県演習林職員のかたがたに いろいろとてつだっていただいた。 また2度めの調査には 当時の学生 杉浦慶四郎さんと 松野躁平さんに てつだってもらった。 これらのかたがたに, あつくお礼を申し上げる。
これは林分の密度試験を提唱した故中村賢太郎教授の方針に沿って昭和13年に当時の弟子たちが千葉県演習林に設定した山形県産のシラハタマツのたねから植付け間隔で 0.5m、
1m、1.5m、および 2.0m、の4段階の密度試験樹を設け1950年の予備的な調査の後、1953年に上述のように多くの欠点を認めながらも一応の傾向を報告したわが国最初の林分生長論資料の前書きである。
この頃わが指導教官はアカマツ、スギ、ヒノキ苗の光合成、呼吸を赤外線ガス分析計で調べその報告で学位を取り、その後この報告にあるように『葉のハタラキや 幹や枝の呼吸についての 研究をおこなっていないので、統一的な考察を行うことはできなかったが』苗から成木を対象に幹と枝のいわゆる非光合成器官の呼吸に移り小生が大学を卒業する頃までに切断資料での呼吸測定を終了し、入院したころには、立木での呼吸測定とかアカマツ大径立木の幹温度や摘葉処理による日中低下の回復などを調べた。この過程での大径立木の放射方向での温度変化の予測がブルガリアでの世界微分方程式会議での発表となった。(ベッセル関数の応用と幹の垂直方向の温度変化など)
また. 今回の発表でわかったことは主として参照した旧目黒林試でおこなった高密度アカマツ林の一次生産の解析 (林試研報 Bull. For. Prod. Res. Inst. No. 354. 1989 )
にある総生産量の推定・測定例は幹・枝ともに単独での測定値は田無と林試で差がないが、林分の推定値としては高密度の天然林での推定値となったため総生産量は立地条件が田無より低いため総生産量は少なめだが、仮発表の田無アカマツ人工林の総生産量は60トン近くになっている。宮山台国有林では36.8トンよ42.4トンどまりである。
また、まだ試算段階であるが、千葉の4密度の植栽林でが0.5m、1.0m、1.5m区では幹と枝の呼吸量の合計は大差ないが、2.0m区では枝の呼吸量が突出して大きく他の3樹ともに総生産量が51トンから53トン前後であるが最低密度区の2.0m区では65トンほどとなり増えた分は全て枝の呼吸増による結果となっている。こうした結果の追跡と確認が次期学会発表の核となるだろうと思っている。
密度による葉量は差がないとされているのに、枝の量が密度により大差があり、アカマツ林の特徴として枝の呼吸量が時には幹より大きいためである。
林試の研究でも、20年生各器官の呼吸消費量は両林分とも26-28トン/ha.yrで幹16、枝23−25、葉53−55、根6%で両者ともあまり差がないという結果になっていた。
材の呼吸は幹が34〜35%、枝51〜53%、根13%で枝の呼吸が高かった。
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