月曜日, 5月 22, 2017

宮崎正弘の国際ニュース・早読み <中国で18~ 20名以上のCIAスパイが殺害、拘束されていた

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017) 5月22日(月曜日)
   通算第5300号 <5300号記念特大号>
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 中国で18~20名以上のCIAスパイが殺害、拘束されていた
  オバマ政権下で、CIAの不手際がつづき、米国に「もぐら」がいた
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 CIAの士気の低下はオバマ政権下で顕著だった。
 殆ど機密情報が取れず、また重要な亡命希望者(王立軍)らをオバマは放置した。
 2010年から2012年にかけて、18名から20名のCIA協力者(中国人)が逮捕され、殺害もしくは刑務所に送られていた。

 かつてCIA、FBIの内部にロシアのスパイが紛れ込んでいた。オルドリッチ・アーメス(CIA)とロバート・ハンセンン(FBI)事件は米国のインテリジェンス機能に大きなマイナスとなった

 CIAが、米国の情報漏洩と中国の工作員ネットワークの消滅に気付いたのは、協力者の北京における中枢からの情報が途絶え、工作員らが消えてしまったことだった。そのうえ、類似の機密が中国のハッカーと推定できるルートからウィキリークスに漏洩していた。

 CIAの高層部の内部にモグラが潜んでいたのだ。
「その男」(The man)は永年にわたってトップの機密、暗合のマトリックス、スパイの落ち合う場所や方法などCIAテクニックを、中国に漏らしていた。CIAが、その男を疑い始めたことに気付くと、かれはさっとCIAを退職し、アジアに移住して企業経営を始めた。その資金はおそらく中国が用意したのだろう。

 以上の衝撃的なニュースは『ニューヨークタイムズ』(電子版、5月21日)のトップ記事。BBCなどが後追いで報道し始めており、在米中国語新聞も大きく採り上げている。「中国逮捕殺害20名美国間諜」(博訊新聞網、5月21日)。

 CIA、FBIはともに、この情報に関して一切のコメントを出していない。中国もこのニュースをまったく伝えていない。

       △○▽ミ□△◎ヤ○◇○ザ○◇□キ◎□◇ 
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1573回】       
――「正邪の標準なくして、利害の打算あり」――(?富12)
   ?富猪一郎『七十八日遊記』(民友社 明治39年)

   ▽
 さて「觸目偶感」の冒頭を「清國の将來抔と申す問題は、餘りに面倒にして、且つ重大なれは、氣輕く思ひ切りて、愚存開陳致す程の勇氣も、出兼申候」と切り出したうえで、「通り掛かに觀察し、若しくは感得したる一二を、略述可致候」と執筆の意図を記す。但し、通りすがりの観察にすぎないゆえに「自から慚認する所に候」とも。

  やはり外国を理解するのは「其の國民に化する位に深入り」すべきだが、そうできない以上は「寧ろ其の觸目したる一刹那の印象と感興とを、其儘に複生せしむるを以て、却て其眞實を得るに庶幾かる可しと存候」。だから以下の記述は「皮相は則ち皮相に候得共、皮相の見、亦た取るべきものなきにあらす」とする。

  自分は清国の「國民に化する位に深入り」しているわけではないから、これから開陳する意見は「皮相の見」に過ぎないかもしれない。だが、「却て其眞實」を抉っているに違いない――こんな徳富一流の“自負の念”が行間に垣間見える。そこで、以下、記述順に従って徳富の「皮相の見」を考えてみたい。なお、表題は【 】で示し、番号を付しておく。

  (01)【支那に國家なし】=「支那には家ありて、國なく、支那人には、孝ありて忠なし」。過去を振り返っても現在をみても、「國家的觀念らしきものは、殆と見出兼候」。その背景を探れば、「幾多の獨立國を爲すには地理的に、餘りに便宜多く。統一の國家を爲すには、地理的に餘りに廣大なりしか爲めには非さりし乎」。つまり地理的条件からして、近代的な国家の枠組みでは捉えきれない、ということだろう。

 (02)【寂寞たる除外例】=「支那人とても、絶對に愛國心か、無き筈も無之候」。古来、史書や文学には復仇やら「故土の恢復を絶叫」する文字が残されてはいるが、「別段何等の反響を見出し不申候」。彼らの意識は一族内の外に出るものではなく、であればこそ抽象的な国家を想定することはできそうにない。

(03)【共通性】=「一言に支那人と云ふ」が、「其の四億の人種は、必すしも同一模型より、打ち出たるものにはあらす」。人種にも異同があり、「或は滿洲國、或は北支那國、或は長江國、或は廣東國」といえるほどに、「幾多の地理的分野」もある。
だが「此の多き人と、廣き土地とを、通して、其の一貫したる特色も、多少可有之候」。そこで、これから説くところは、彼らの「共通性に候。共通性らしく見ゆる點」である。

 (04)【文弱】=「支那の古今を通して、最も著明なるは文弱の一事に候」。「支那の通患」は「積弱不振」である。

 (05)【文弱的國民】=「支那人は、平和的人民なりと申せとも、如何に平和的なれはとも、力を以て防禦する位の事は、做しても差支え」ないだろう。
だが、彼らはそうしない。「議論は、立派に聞へ」はすうるが、とどのつまりは「平和さへ購ひ得れは、足れりとの了見に外なら」ない。彼らは決して「平和的人民」ではなく、「寧ろ文弱的人民と云ふを、精當となす所以に候」。

 (06)【女らしき男の國民】=古来、英雄豪傑の類には事欠かないが、「其の國柄か、元來文弱國に候、其の人柄か、元來文弱人に候」。だから「今日に於ても、其の容貌、風采」において男らしい男を見い出すことはできそうにない。「個人にも此の如く候。國家にも此の如く候」。

 (07)【附景氣の戰爭】=「支那流の戰爭は、唯た景氣を附けて、人を畏すのみに候」。「支那の戰爭は、支那の芝居」と同じで、「唯た騒騒敷迄に候」。個人の喧嘩も同じで、騒ぐだけ。
「彼は容易に劍を抜かす、然も一たひ抜けは、打たすんは已ますとの要語は、到底個人にも、國家にも、支那には實踐覺束なく候」。

とどのつまりは見掛け倒し…ヤレヤレ。
《QED》

    ◇○▽ヒ□◎◎イ○◎○ズ○○□ミ□◇◇  
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 ★グローバル・イッシュー・フォーラムから宮崎正弘先生の特別講演会のお知らせ
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ペマ・ギャルポ先生が主催のフォーラムです。5月26日に宮崎正弘先生をお招きしての特別講演会があります。
定員になり次第、締め切りますので、お早めに御予約下さい。あと少し余席があります。
記
とき    5月26日(金曜) 1830-2030
ところ   市ヶ谷「アルカディア市ヶ谷」
講師    宮崎正弘先生
演題    「国際情勢の読み方」(北朝鮮問題と米中の角逐、ロシアの介入。韓国の赤化)
討議    講演終了後、ペマ先生がコーディネータとなって質疑応答、意見交換。
会費    一般3000円(学生2000円)
申し込み  FAX(042)679-3636
      メール globalissues_gift@yahoo.co.jp
定員になり次第、申し込みを締め切ります
◎お申し込みの方は(1)お名前(2)御住所(3)電話番号(4)メールアドレス(5)「宮崎メルマガで知った」(6)懇親会(下記)の出欠。などを書かれて申し込んで下さい。
◎終了後、同会館二階のラウンジで、講師を囲んでの懇親会があります。これは、別途会費3千円です。
             以上
          ◎□▽  ▽◎◇  ○▽◇
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 ▼読者の声 ▼どくしゃのこえ ■READERS‘ OPINIONS ●読者之声
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(読者の声1)5月開催の「国防講座」の講師に番匠幸一郎退役陸将(元陸自西部方面総監)をお招きします。
     記
日時  5月24日(水)18時半開会(18時開場)
場所  アルカディア市ヶ谷(私学会館)
    http://www.science-forum.co.jp/img/maps/arcadia.htm
講師  番匠幸一郎(退役陸将、元西部方面総監)
演題  昨今の戦略環境と日本の安全保障
主催  国防問題研究会 (共催 三島由紀夫研究会)
会費  2千円(会員・学生は1千円)
    公開講座ですので、どなたでも予約なしでご参加いただけます。



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(読者の声2)貴誌前々号の「ワナクライ」(ハッカー集団の世界同時襲撃)、中国の被害も甚大だった」とのことですが、私は他人や他国の不孝を喜ぶことを潔しとしません。
しかし今度のケースではよい面もあります。
ご存知のようにワナクライ型のコンピュータウイルス攻撃のハッカー集団には北朝鮮が犯人のものがある、あるいは多いとのことです。北朝鮮のインターネット通信のデータパスは狭いので、北朝鮮から大規模な攻撃を仕掛けるのは困難です。
かれらは、通常、旧満州のホテルに立てこもり、中国のインターネット回線を使って攻撃しているようです。
つまり、中国は、彼らからホテル代、インターネット接続料で儲けています。その中国が攻撃対象となれば、摘発に向かう可能性があります。
今後の展開を見守りましょう。
   (ST生、千葉)



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(読者の声3)トランプ大統領の所謂「ロシアゲート事件」ですが、特別検察官を任命し、民主党陣営とリベラルな米国のメディアはなんとしても大統領弾劾へ持ち込みたいようです。
 しかし些末な情報の齟齬、証拠のないフェイクニュースに溢れていて、ヒラリーのような明らかな犯罪の痕跡はない。かれらは何が何でもトランプのやることなすことにけちをつけるだけの目的しか感じられない。
 そこで昨年春頃から、トランプ当選を示唆し続けてこられた宮崎さんのトランプ本二部作『トランプ熱狂、アメリカの反知性主義』と『トランプノミクス』(いずれも海竜社)を再読してみて、あらためて発見したことがいくつかあります。
 トランプはアンドリュー・ジャクソン(第七代大統領)を尊敬しているとしていますが、彼の政治をみていると、どうやらリンカーン政治の再来を狙っているのではないでしょうか?
 NAFTAの見直し、TPP離脱、パリ協定の見直しなど、アメリカンファーストの目的は保護貿易主義による、グローバリズムとの対決であり、これを草の根のアメリカ人が強く支持している。
トランプ弾劾を叫んでいるのは、極端に言えば、選挙の票わけと同様に東海岸の進歩派とカリフォルニアだけ。中西部から南部諸州のキリスト教徒らは、いまも熱狂的にトランプ支持です。アメリカは分裂しています。
 さてアメリカの政治はプーチンによれば『精神分裂症』という状況ですが、弾劾にまで発展するでしょうか?
  (NN生、京都)


(宮崎正弘のコメント)左翼が血道を上げて、フェイク情報を流し続けて、いつしか議会がその影響を受けるようになる。
 だから米国政治はプーチンの言うように「精神分裂症」的です。メディアの左翼的プリズムがあまりにも強く、「自ら酔っぱらっているゾ」とウォーターゲート事件のジャーナリストの立役者となったボブ・ウッドワースも警告しているほど。
 小生は弾劾には至らないと予測しています。
 第一にNSA、CIAの機密情報なら、大統領の権限で活用できますから、問題がない
 第二に「同盟国」の機密情報であり、その当該国の同意を得ていないとなると、それが立証されれば、弾劾対象ですが、マクマスター補佐官らは「大統領は情報源を知らなかった」と言い切り、ロシアは「機密情報などなかった。なんなら翻訳報告書を米議会にだしてもいい」と言っている。
 となれば、「機密」を提供したイスラエルが問題ですが、イスラエルが「提供した」などと肯定する筈がありません。
 したがって「明確な証拠」の提示が無い限り、推定有罪ではあっても、立件は無理でしょう。
 米国の専門家の多くも「捜査は三ヶ月から半年かかるが、明確な証拠もなく、弾劾は成立しない」と見ています。
 ですから弾劾の可能性は稀薄ですが、議会において弾劾の検討があるかも知れません。ただし、そのときこそトランプは乾坤一擲の勝負にでる可能性が高まります。すなわち、北朝鮮のミサイル基地、核施設への攻撃です。



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(読者の声4)5月19日弐、通算第5298号で、北九州巣浪人さんの問いに対して先生は「(中国経済は)とうに崩壊していますよ、民間企業は倒産し、地方政府は債務超過。
 株と為替は強圧的操作でもっているように演出されており、不動産バブルも、共産党の司令による演出です。」と常々答えておられるとのことでした。
これに対して、CAMさんは翌20日の5299号で、「私はこれを読んで日本財政についてのことかと思いましたね。日本財政、日本国債もとうに破綻しているものを、日銀の国債買い入れによって保たせているだけでしょう。。」
とおっしゃられています。
 
しかし、中国のような共産主義独裁の経済と日本のような資本主義経済とではその
在り様が全く違っています。
資本主義経済の社会では個人の借金は必ず返さなければなりませんし、それが常識となっています(何故なら個人には寿命があり、その寿命の内に返さなければならない)が、国には寿命というものがありませんので、借金は新たに借金することによって返還できるわけで、これを永遠に繰り返すことが可能です。つまり、国の借金(財政赤字)がいくらになろうと、国が続く限りはいずれ返済可能なのです。
 中国の社会主義独裁に対する先生のご見解は全くそのとおりですが、それと日本のような資本主義を同一視することには大きな間違いがあると存じます。詳しくは、上念司氏の『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』(講談社α新書)をお読みください。 
 また、『財務省積年の夢「消費増税」と財務官僚の手管』
(http://sns.orahonet.jp/blog/blog.php?key=14824 )も参考までに読みいただけれ
ば幸甚に存じます。
   (唯臥独村)
    ◎○
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 サロン劇場、六月公演は「驟雨」と「記念」
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  サロン劇場、六月公演は「驟雨」と「記念」(原作 岸田国士 x 森本薫)です。
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主演 村松えり
共演 坂本岳太、中丸シオン
各回ゲスト 北村有起哉、綱島郷太郎、桜井章喜、井上裕朗
    村松英子

<公演スケジュール>
6月8日           1900
  9日    1400   1900
 10日    1400   1900
 11日    1400

入場料  3500円
前売り中 予約 サロン劇場
     (03)3945-5384
於    和敬塾(112-0015 文京区目白台1-21-2
     (「憂国忌代表発起人の村松英子さん主宰劇団。長女のえりさんが主演です」
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西村眞悟の時事通信  西村眞悟の時事通信   西村眞悟の時事通信
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ハリー・ハリスアメリカ太平洋軍司令官に深謝す
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先月、アメリカ太平洋軍司令官に就任したハリー・ハリス海軍大将が我が国を訪問し、五月十七日に都内で講演した。
同司令官が、その講演を締めくくるに当たって述べた言葉に感銘を受けるとともに、あらためて、昨年末の我が国の対応を振り返り、恥じた。
ハリス司令官は、五月十五日午前11時23分に、緊急搬送が必要な患者を救うために陸上自衛隊北部方面航空隊のLR連絡偵察機に搭乗して札幌を飛び立ち函館に向かう途中で山に激突して墜落し、殉職した機長の高宮城効大尉(一等陸尉、53歳)、副操縦士の柳田智徳少佐(三等陸佐、41歳)、整備士の岡谷隆正二等陸曹(42歳)整備士の玉木宏伸三等陸曹(28歳)ら四名のことに触れ、講演の最後に、次のように言ったのだ(産経新聞五月十八日朝刊)。

15日に陸上自衛隊の航空機が墜落し隊員が犠牲になった。この事故で思い起こさなければならないのは、若い隊員がわれわれのために日々命をかけてくれていることだ。
日本を守るために落とした命であったことを、みなさん、覚えておいてほしい。

昨年十二月十三日、沖縄の洋上で空中給油の訓練をしていたアメリカ海兵隊のオスプレイの回転翼が給油パイプに接触した。
この事故に遭遇したオスプレイの五人の搭乗員達は普天間基地に向かえば市街地上空を飛ぶことになるので機体の状況から危険と判断し、洋上を飛んでキャンプシュワブのある名護市を目指した。しかし名護市の東一キロの海上にオスプレイは着水墜落した。幸い、五人の搭乗員は全員救助された。

このオスプレイの事故に関し、我が国のマスコミは、オスプレイの危険性を煽り、沖縄の知事は、用事もないのに上京してオスプレイの危険性を訴え、副知事は、沖縄のアメリカ軍の司令官であるニコルソン中将に面会を求め抗議した。
そして司令官からは一言の謝罪もない、とマスコミに吹聴した。我が国政府も、市街地を避けて洋上を飛行した搭乗員の行動には何の関心も示さず、防衛大臣がアメリカ軍に「原因究明と情報提供、そして安全が確認されるまでのオスプレイの飛行停止」を要請した。
 つまり、我が国は官も民も、そしてマスコミ挙げて、オスプレイを市街地に近づけずに、人のいない海上にもっていった、アメリカ海兵隊員らの配慮に対しては、これっぽっちも評価せず、ねぎらいの言葉もかけなかったのだ。
 しかし、彼ら五人の海兵隊員は、平成十一年十一月、入間基地からT33ジェット練習機に搭乗して飛び立ち、エンジン不調で墜落する同練習機から脱出せず、民家のない入間川河川敷までもっていって墜死した航空自衛隊の中川尋史中佐と門屋義廣少佐と同じ、賞賛に値する勇気ある行動をしたのだった。
 それ故、ニコルソン中将は、次のように語っていたのだが、マスコミは、抗議に行った副知事の、「謝罪がない」という発言だけを報道した。

よく訓練されたパイロット達の素晴らしい判断で、最悪の事態を避けることができた。
若いパイロット達は入院中です。私は、彼らを誇りに思います。航空自衛隊、海上保安庁をはじめ日本や沖縄の関係各所の迅速な対応に感謝します。

私は、ハリス司令官の、十五日に殉職した我が国の四人の自衛官に対する言葉に、深い感銘を受け、同時に、我が国の、昨年十二月の、身に危険が及ぶ緊急事態のなかで、沖縄の市街地を避けて洋上を飛行して帰投しようとしたアメリカ軍の五人のオスプレイ搭乗員に対する対応を思い起こし、恥ずかしく思った。

なお、この度のLR2連絡偵察機の墜落も濃霧のなかの飛行だった。
平成十九年三月に、今回と同じく急患を搬送するために、CH47を操縦して沖縄から徳之島に飛んで徳之島の山に激突して殉職した建村善知少佐の場合も濃霧のなかの飛行だった。LR2連絡偵察機の高宮城効大尉もCH47の建村善知少佐も、ベテランパイロットだった。
高宮城さんはあと二年で定年を迎え、建村さんはあと二回の飛行で定年を迎えることになっていた。二人は、ベテランパイロットだったが故に、「患者の命を助けるためだ、この濃霧でもいける」と判断して飛び立ったのだろうと思う。

昭和十二年、イギリスのジョージ六世の戴冠式を記念して陸軍の遠距離偵察機「神風号」に乗って東京からロンドンまで一挙に飛行して長距離飛行の国際記録を打ち立てたのが飯沼飛行士と塚越機関士だ。
その名コンビの操縦する飛行機に乗って、上海から羽田に帰った作家の石川達三が、その時の飛行に関して次のように書いている(人物点描「空に消えた面影」)。

  東シナ海から東方、羽田に至るまで、梅雨期の雲が満々と地上を掩うていて、ずっと低空で飛んで来たが、沼津から箱根にさしかかって、どうしても箱根が越えられない。雲一杯で山の姿が見えないのだ。深い谷の上で三度も旋回してやり直したが、杉の梢が翼に触れそうに見えて、なるほど飛行機とはこのようにして遭難するものかと思った。
 あの時の飯沼飛行士はプノンペンで戦死。塚越機関士は十八年ごろ、日本独特の長距離機で、シンガポールから戦乱のアジアとヨーロッパとをひとっ飛びに、ナチス・ドイツとの連絡の使命をおびて飛び立ったまま、消息を絶った・・・船乗りは海で死ぬ。飛行機乗りは空で死ぬ。宿命であるかも知れない。

その後、石川達三さんは、私の叔父で飯沼飛行士の後輩であった東儀正博の操縦する双発の飛行機に度々搭乗し、後に、東儀正博墜落の報に接し、次のように書いてくれた。

 飯沼はプノンペンで戦死し、塚越も空の何処かに消えていった。そして彼らの後輩の東儀君も、彼らの後を追うた。
男の職場は、すなわち男の死に場所でもある。男が生涯を賭けた仕事はまた、男の命を奪う仕事でもある。船乗りは海で死ぬ。飛行士は空で死ぬ。東儀君にとっては本望であったかも知れない。

嗚呼、またこの度、五月十五日、空を職場にした男たちが、北海道北斗市の空で死んだ。
故 高宮城効大尉
故 柳田智徳少佐
故 岡谷隆正二等陸曹
故 玉木宏伸三等陸曹

そして、彼らの職責に敬意を表し、若い隊員がわれわれのために日々命をかけていることを、思い起こし、彼らが何のために命を落としたのか、それは、日本を守るために落とした命であったことを、覚えておいてほしい、と呼びかけたのは、我が国の大臣や司令官ではなく、異国の誇りある軍司令官だった。
 アメリカ太平洋軍司令官ハリー・ハリス海軍大将に、敬意を表して、心より、お礼を申し上げ、謹んで、亡くなった四人のご冥福を祈り申し上げ、残されたご家族に心からお見舞い申し上げます。 
            (にしむらしんご氏は元衆議院議員)
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<< 宮崎正弘の論文予定ならびに既刊 >>
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『世界大乱で連鎖崩壊する中国、日米に迫る激変 』(徳間書店、1080円) 
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『日本が在日米軍を買収し、第七艦隊を吸収・合併する日』(ビジネス社、1512円)
『日本と世界を動かす悪の「孫子」』(ビジネス社。1188円)
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<宮崎正弘の対談・鼎談シリーズ> 
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宮崎正弘 v 渡邉哲也『世界大地殻変動で、どうなる日本経済』(ビジネス社、1404円)
宮崎正弘 v 福島香織『暴走する中国が世界を終わらせる』(ビジネス社、1188円)
宮崎正弘 v 高山正之『日本に外交はなかった』(自由社、1080円)
宮崎正弘 v 馬渕睦夫『世界戦争をしかける市場の正体』(ビジネス社、1188円)
宮崎正弘 v 室谷克実『悪あがきを繰り返し突然死の危機に陥る中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 室谷克実『日本に惨敗しついに終わる中国と韓国』(徳間書店) 
宮崎正弘 v 室谷克実『仲良く自滅する中国と韓国』(徳間書店、以上三つは1080円)
宮崎正弘 v 宮脇淳子『中国壊死』(ビジネス社、1188円)
宮崎正弘 v 石平『私たちの予測した通りいよいよ自壊する中国』(ワック、994円)
宮崎正弘 v 渡邊哲也『激動する世界経済!』(ワック、994円)
宮崎正弘 v 小川榮太郎『保守の原点』(海竜社。1620円)
宮崎正弘 v 川口マーン惠美『なぜ中国人とドイツ人は馬が合うのか?』(ワック)
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宮崎正弘 v 石平、福島香織『日本は再びアジアの盟主となる』(宝島社、1296円)
宮崎正弘 v 石平、福島香織『中国バブル崩壊の全内幕』(宝島社、1296円)
宮崎正弘 v 田村秀男、渡邊哲也『中国経済はどこまで死んだか』(産経新聞出版) 
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  宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2017 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示
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