月曜日, 1月 25, 2016

宮崎正弘の国際ニュース・早読み (dabos)  中国経済はハードランディング中なのか、直面中なのか

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成28年(2016)1月25日(月曜日)
          通算第4788号  
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中国経済はハードランディング中なのか、直面中なのか
  ダボス会議で白熱の討論、世界的エコノミストの評価別れる
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 年初来三週間、世界の投資家はパニックに陥っていた。人民元安と株価暴落の中国によって。
 先週から開催されているダボス会議、またも議論の中心はチャイナとなった。
 しかし往時の熱気、中国への期待はただの一つもなく、議論は中国経済失速への懸念だけだった。

 ラガルドIMF専務理事は「世界が求めているのは透明性と安定性であり、とりわけ元とドルの為替コントロールだ」と述べた。

 対して日銀の黒田総裁は「中国は国内金融を緩和し、他方で金融政策を管理して通貨を安定させるべきである」としたが、ラガルドは黒田の示唆(安定に外貨準備を使うのも手段)に対して「外貨準備をすでに中国は通貨の安定に使っている。それほど有効ではない」とした。

 公式統計で中国の外貨準備は2015年だけでも5170億ドルが流出しているが、ブルームバーグの想定では「2016年末に、2兆6600億ドルまで減るだろう」という(15年年末の公式統計による中国の外貨準備高は3兆3300億ドル)。

 その数字さえ怪しいことは小誌でたびたび指摘したがクレディスイスのダイジャン・チィアムは「GDP6・9%成長など、誰も信じていないように、中国経済はまさにハードランディングに直面している」と悲観的な見解を提示し、「官」の意見と別れた。
 いやその前に講演したジョージ・ソロスは「中国のハードランディングは事実上、不可避的である」ともっと悲観的だった。

 新しいデータがでてきた。「中国の債務はGDPの290%。対して消費は伸びず、対GDP比で40%に過ぎない」(フィナンシャルタイムズ、2016年1月24日)。
  同紙は続けて、「オフショア市場から外資が次々と去っており、現在の中国当局の金融政策(通貨、為替を含む)は、むしろ懸案の国有企業の改変を遅らせている」

 1月21日、中国人民銀行は公開市場操作で短期金融市場に4000億元という破格の資金をぶち込んだ。これは米ドル換算で479億ドル、2013年以来の高水準だが、春節前の資金需要に答えたとした(同日の上海株式はこれを好感して、0・51%反撥したが、日本株は300円以上上げた)

 ▼中国沈没と対照的に欧米投資家が次なるターゲットは何処か?
 
 ならば欧米投資家が次なるターゲットは何処か?
建設ブームに沸騰したドバイ、アブダビ、カタールからの資本は撤収しつつあり、原油価格暴落は中東経済地図を薔薇色から黒に塗り替え、サウジアラビアは赤字国債を大規模に発行する。

 こうした状況に、新しい投資対象はあるのか?
 インドはもちろんだが、新規投資対象はなんとイランである。米国主導の六カ国協議で、イランへの制裁を解除したため、まずエアバスはイランに114機の売り込みに成功、また欧米の生損保企業は一斉にイラン進出の準備を始めた。

 日本企業もプロジェクト再開に意欲的だが、まっさきにイランに駆けつけ、イラン利権を確保したのは中国だった。なんという抜け目のなさ!
習近平は1月23日にイランを訪問し、ロウハニ大統領と会談、高速鉄道建設など大々的な投資をぶち挙げたのだ。

むろん中国の構想するシルクロードプロジェクトの一環である。
「今後、十年間で中国とイランの貿易額を6000億ドルへ引き上げる」と過剰な風呂敷も広げたが、イラン制裁解除後、中国が一番乗りしたことは注目して良いだろう(もっとも習近平はイランの前にサウジとエジプトを訪問しており、アラブ諸国全体に200億ドルを融資し、まずは手付けとばかりに、エジプト中央銀行に10億ドル融資を決めた。シーシー大統領は15年九月三日に開かれた北京の反日軍事パレードにも出席したのを加えて就任以来二回訪中している。安倍晋三首相はエジプトを訪問したが、シーシー大統領の訪日はまだない)。

 意外にもソロスが期待するのはロシアである。
従来もっとも先鋭的な反ロシア派のソロスが「原油安によってもロシアはまだ二年持ちこたえるだろうし、EUはもっとロシアと協調的になるべきである」と意外な発言をダボス会議でしている。
ちなみにロシアの外貨準備は14年末が3854億ドル、15年末は3683億ドルで減少幅は僅か171億ドル(中国は同年に5170億ドルが流出した)。

 中国発世界大不況は秒読み、この段階で様々な動きがでてきた。

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(休刊のお知らせ)小誌、海外取材のため1月27日から2月1日まで休刊となります。 
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 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1356回】        
  ――「街路湫隘ニシテ塵穢?集到ル處皆然ラサルハナシ」(黒田10)
  ?田清隆『漫游見聞録』(明治十八年)

   △
 どうやら中国人は毛沢東が強要した「自力更生」とは違った形で、新しい“開放時代に相応しい伝統手法(?)”の「自力更生」によって、自らが生きる術を見つけたことになる。北京の浙江村は、その生きた証拠だろう。

 ここで、もう少し寄り道を。
「其本店ノ地ニ因テ組合ヲナシ或ハ同業ニ就テ組合ヲ結ヒ會館ヲ設テ商務ヲ議シ一致協力シテ利益ヲ謀ル。ソノ組合ヲ指シテ幇ト云フ」と黒田が記してから60年ほどが過ぎた昭和17、18、19年の北京でギルドの現地調査を行い、後に中国法制史研究の世界的権威と呼ばれるに至った仁井田陞の『中國の社會とギルド』(岩波書店 1951年)に基づいて、なぜ漢口で「其本店ノ地ニ因テ組合ヲナ」し、「會館ヲ設テ商務ヲ議シ一致協力シテ利益ヲ謀ル」るかを、考えてみたい。

  仁井田は中国社会の内部構造を捉え、「同族(血縁)や同郷(地縁)や、同學(學縁)や、同?(?縁)や同業(業縁)や、又、血縁の擬制というべき親分、子分、兄弟分關係の諸結合など、大小いくつもの、又、幾種もの社會集團が重なり合っているのであって、人はそのうちの一つに限らず、いくつもの關係をもってきた。人は生きて行くために、よりよくその生命と財産とを守るために、血縁のような自然的結合關係にたよるのは勿論のこと、人爲的な結合關係をもできるだけ作って、つとめてこれをたよりにしようとする」と分析し、「地域的な同業仲間の・・・仲間的結合は、行とか行會とか或は?(幇・?)などといわれるが・・・?というそれ自體すでに『互助』を意味する。しかもこの互助結合たるギルドには血縁關係との重なり合いをもった場合がある。・・・そしてしつこい地縁的關係のからまりつきのため、その仲間的結合が特に強化されている場合がすくなくない」と説いている。

 さらに仁井田は、「その仲間的結合が特に強化されている」仲間と、それ以外の人々との間の利害関係については、「同族といわず、同郷といわず、同業といわず、これら集團にあっては、利己的であり、排他的傾向が強い。親愛や信義や誠實の徳目は、これら集團内部の自己と等質對等と思う相手に對しては守られはするが、集團を外した不等質、不對等と思う相手に對しては往々見捨てられ勝ちである」と続けた。それというのも「仲間の外は場合によってはかたきでさえある」からだ。つまり同郷であれ同業であれ、ましてや同姓(=宗親)であれ、《自己人(なかま)》に対しては「對内道徳Binnenmoral」が心地よく有効に機能するが、《自己人》ではない他人に対しては「對外道徳Aussenmoral」が冷酷・峻厳に働くということ。直截にいうなら、《自己人》以外は信用ならないのである。

 このような仕組みが生まれた理由を仁井田は、「凡そ國家が十分な政治力を持たず、法的な保護機能の役割を完全に果たしえない時代、又、果し得ないでいるときには、人民はそれに比例して他にその利益を守り、利益を發展させる機構の必要に迫られる」からであり、「中国においてはその政治はきまぐれであり、人民の保護のためには――全然とはいわないが――十分に働かない」。そこで「人々にとって最もたよりにし期待し勝ちなものの一つは、自己とその身を寄せる集團の實力である。集團をこえた高い立場を考えるどころか、自己の集團を守ることに專念しがちである」ということになる。

  ということは、中国においては「凡そ國家が十分な政治力を持たず、法的な保護機能の役割を完全に果たしえ」ないし、「政治はきまぐれであ」る。そこで人民は《自己人》で徒党を組み集団を形成し、「その利益を守り、利益を發展させる機構」を発明したということになるらしい。
いや、きっとそうだ。そうに違いない。必要は発明の母なのだから。
《QED》
    ○◎ひ□◇▽い□○ず◎□○み○△□ 
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 読者の声 どくしゃのこえ ERADERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)台湾のニュースを見ていると日本の政治制度をよく研究していることがわかります。
日本の政党助成金と似たような制度で、得票率3.5%以上の政党に補助金が支給され、今回の選挙では民進党2億6千万元、国民党1億6千万元、親民党3700万元、時代力量3100万元、など新党までが支給対象のようです。
 次に週末の寒波のニュース、済州島で大雪、登山客が立ち往生。上海でも雪が降り除雪車が出動中、黒竜江省では氷点下30度以下、内モンゴルでは氷点下42度以下。週末の上海は氷点下、台北と台中では1901年と1963年に氷点下を記録して以来の記録になるかもしれない、台湾南部でも10度以下とか信じがたい寒さです。
地球温暖化という何の根拠もない詐欺話に騙され、無駄な投資をした挙句、実は地球寒冷化が始まっていました、という笑えない落ちになりそうです。
  (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)台湾でも屏東で雪が降りました。香港でも史上初めての大寒波。町は凍てつき、防寒具が爆発的に売れているそうです。その香港へ水曜日から行ってきます。大寒波は天気予報に拠れば明日までの由。
というのも、銅澤湾書店社員五名が行方不明、市民は大規模は抗議デモ。香港大学では座り込みが始まり、なにやら騒然としてきましたから。



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(読者の声2)愛知県三ヶ根山上(最寄りの駅;JR蒲郡)に東條英機(元首相・陸軍大将)閣下以下7名の墓があり、遺骨(遺灰)が収められています。
東條英機(元首相・陸軍大将)、土肥原賢二(元陸軍大将)、広田弘毅(元首相)、
板垣征四郎(元陸軍大将)、木村兵太郎(元陸軍大将)、松井石根(元陸軍大将)、武藤章(元陸軍中将)
 ついては下記要領でNPO法人百人の会は会の行事として、大阪市会辻淳子理事長を先頭に、杉田謙一(愛知の教育をよくする会)の案内、中村重行(京都北山の神主)祭主にて慰霊行を行います。参加者を募ります。
    記
日時 3月13日(日)
行程  9時頃  大阪を出発(ワゴン車2台;定員12名程度)
   12時頃  JR蒲郡(関西以外の人と合流)
   12時半頃 殉国七士の墓到着、昼食、慰霊祭
   15時頃  岡崎市岡崎城内(和室の会館)にて交流会
   17時頃  岡崎発
   20時頃  大阪着  
 共催 愛知の教育をよくする会 英霊を被告にして委員会 憲法一条の会

「一般社団法人殉国七士奉賛会」HPより  http://ki43.on.coocan.jp/

殉国七士の墓 ; 愛知県の三河湾を臨む三ヶ根山上に、東京裁判により昭和23年に絞首刑を執行された七人の方々の墓があります。
   処刑には米・中・ソ・英の連合国代表が立ち会い、七人は陛下の万歳を三唱して台上の露と消えました。この時、マッカーサー司令部が七人の遺体も遺骨も家族に渡すつもりがないことが判明し、なんとか遺骨だけは手に入れたいと考えた人たちがありました。
   彼らは深夜、七人が火葬された横浜市久保山の火葬場に忍び込み、苦心のすえに遺骨の入手に成功します。遺骨は横浜久保山興禅寺を経て、松井大将建立の熱海伊豆山の興亜観音堂に安置されていました。
  当時、国の責任を極刑で一身にうけ、刑場の露となった殉国者に、日本の世情は冷たいものでした。長らく遺骨の埋葬さえ許されず、回向すら人目を避けて行わなければならなかったのです。
  それから10年あまりが過ぎ、有志の偶然の出会いから三ヶ根山頂に七氏の墓地建設が決まり、遺族をはじめ政財界、その他各方面からの賛同を得て、昭和35年に殉国七士廟の完成を見ます。同年、当地での最初の墓前祭が斎行されました。
    以来、墓の管理と墓前祭が奉賛会によって連綿と続けられ、はや半世紀という年月が過ぎています。



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(読者の声3)先般、ある講演会で高山正之氏が、話を終えてから懇親会の雑談の席で、宮崎さんと宮脇淳子さんの対談本『中国壊死』(ビジネス社)がたいそう面白かったと感想をのべておられました。
それにつられたわけでもないですが、アマゾンで注文し、一週間ほどかけて読みました。全編これ目から鱗が落ちる新鮮な内容ばかりでしたが、とくにモンゴルでは1992年まで、かれの英雄であるチンギスハーンが語られることがなく、自由化されても資料がないので、日本の学者に聴きに来たという逸話は驚天動地の驚きでした。
 有益な対談本を有り難う御座いました。
   (JU生、西東京市)
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(休刊のお知らせ)小誌、海外取材のため1月27日から2月1日まで休刊となります。
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宮崎正弘の新刊案内  http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
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宮崎正弘のロングセラー 
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『「中国の終わり」にいよいよ備え始めた世界』(徳間書店、1080円)
『アジアインフラ投資銀行の凄惨な末路』(PHP研究所、999円)
『日本が在日米軍を買収し、第七艦隊を吸収・合併する日』(ビジネス社)
『中国、韓国は自滅し、アジアの時代がやってくる!』(海竜社、1080円)
『中国大破綻 ついに失われる20年に突入する』(PHP研究所、1404円)
『日本と世界を動かす悪の「孫子」』(ビジネス社。1188円)
『吉田松陰が復活する』(並木書房、定価1620円)
『中国・韓国を“本気で”見捨て始めた世界』(徳間書店 1080円)
『台湾烈々  世界一の親日国家がヤバイ』(ビジネス社、1188円)
『「中国の時代」は終わった』(海竜社、定価1080円) 
『中国共産党、三年以内に崩壊する!?』(海竜社、1080円)
『中国バブル崩壊が始まった』(海竜社、1080円)
『中国 大嘘つき国家の犯罪』(文芸社文庫、713円)

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<宮崎正弘の対談シリーズ>
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宮崎正弘 v 宮脇淳子 『中国壊死』(ビジネス社、1188円)
宮崎正弘 v 石平 『私たちの予測した通りいよいよ自壊する中国』(ワック、972円)
宮崎正弘 v 渡邊哲也 『激動する世界経済!』(ワック、994円)
宮崎正弘 v 室谷克実 『日本に惨敗し ついに終わる中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 小川榮太郎 『保守の原点』(海竜社。1620円)
宮崎正弘 v 室谷克実 『仲良く自滅する中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 川口マーン惠美 『なぜ中国人とドイツ人は馬が合うのか?』(ワック)
宮崎正弘 v 石平 『2015年 中国の真実』(ワック、シリーズ第五弾)
宮崎正弘 v 大竹慎一 『中国崩壊で日本はこうなる』(1512円。徳間書店)
宮崎正弘 v 西部遭 『日米安保五十年』(海竜社)  
宮崎正弘 v 黄文雄 『世界が知らない中国人の野蛮』(徳間書店)
宮崎正弘 v 佐藤優 『猛毒国家に囲まれた日本』(海竜社) 
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