金曜日, 5月 04, 2007



一般に理工系の文書で多用されることが多い数式や図を含んだ文書は、今でこそWordなどでもある程度作成できるようになっているが、専門的な内容などとなると、間に合わなくなることも少なくない。

そういうときに、重宝がられるのが、一部の人々の間で愛用されているTEXによる文書作成システムで、基本的に無料で公開されていて、ある程度パソコンに強い人々で、そういう必要に迫られれば、勉強して使うことになる。



TEXはスタンフォード大の先生が、印刷されたご自分の論文の数式が今一美しい配列でなく、ご自分の専門の知識を生かして、満足のいく数式を印刷できるよう考え出された一種のDTPシステムだ。先生によれば、白紙に小さな黒いドットを思うように配列できれば、目的は達成されるというところからスタートしたようだ。

私はブログしか書いていないが、htmlの記述もちょっと似ているように感じている。
例にあげた数式は、NHKの講座で藤原博士も取り上げたインドの郵便局員から数学者になった、ラマヌジャンの有名な数式の一つを、texシステムで記述し、印字した例だ(野寺隆志、「楽々LATEX」共立出版)。

TEXを定型スタイルの(例えば、論文とか、著作)文書作成システムに特化したものがLATEXといわれ、広く利用されている。



アスキー社がかなり前から、解説本やCDを出したりして実績があるが、奥村晴彦氏の「LATEX2e 美文書作成入門」(技術評論社)も版を重ねている。大学の研究者から、ドリル教材作成まで、数式を扱うところでは、必ずといっていいほどあるはずだ。

しかし、インストールして満足に使用するとなると、いおいろと関門があったりする。私もその一人で、ウィンドウズにはいれていないというか、一度入れたが、使いづらく感じ削除。もっぱらマックで使用するときがある程度。

ちょっと古い統計でも、世界の出版物の16%はこれで作られていると言われていたから、今はもっと比率が増えているかもしれない。学術書などでも、数式をみると、ああ、あれだなと思われる輸入書籍も少なくない。

ところで、アメリカにブルースカイ社という会社があって、そこでTexturesというマックに特化した商業印刷専門ソフトを販売している。わたしも、Win機を使用していない頃、マックしか持ってなく、LATEXに限って投稿許可という所へ原稿をだす必要があって、自分でインストールするのに自信がなく、注文を出してしまった。この会社、いまだにウィンドウズ版を出さないでインテルマックにも対応した、不思議に思うことが多い会社である。



これは、横文字専門で、日本語入力はできないのだが、大阪大学の小磯先生が、これを騙して日本語表示、印字を可能にするシステム(JtexEdit)を開発されて公開され、恩恵にあずかっている。最初に掲げた画像で、日本語組版内に大きな文字が見えるが、これはTexturesに備わる角形ルーペで、マウスカーソルを当ててクリックすると細部が正しく変換されているか、チェックするための拡大表示機能を使ったもの。

もっぱら、クラシック環境で使っているが、OSX版のインストールもしてみようとトライしたが、ユニックスコマンドでパスを通すというところで、挫折してまだそれは動いていない。
ターミナルのコンソールでコマンドラインでインストールの確認をしたが、見つからないという。原因をつきとめるまで時間がかかりそうだ。それで、導入が簡単だったクラシック環境に
魅力を感じている。簡単な指示を守るだけで、日本語で自由に扱えて、ワードの数式機能などよりも優れているが、あくまで自己完結した印刷まで責任を負う場合にはいいが、指定がワードでとなれば、使えない。

『美文書入門』を書かれた奥村先生も、高校の数学教科書の執筆陣時代、印刷された数式に誤りが多く、校正に多大の手間と時間をかけた、と苦労話が巻末にある。JtexEditなどはふれていないが、奥村先生も、長年ウィンドウズを使われた後、数年前ユニックスマックになってから、マックを使われている、ことを雑誌などには表明されたことがある。著作には、Winの風しか吹いていないスタイルしかみられないが、・・・。



ところで、小磯先生のところにも分からないことがあると、無遠慮な解説要請メールなどが結構来るらしく、聞いた話しでは、私は大学の教員であって、ソフト会社のサポーターではない、と怒りを露にされたこともあった由、大人相手に公開された、というスタイルで、少し周辺的な解説サイトのお世話になる必要がありそうだ。

さて、気を取り直し、もう一度、OSX版のJtexEditのReadme.pdfをじっくり読むと、Texturesを併用する限り、昼間にインストールに失敗したptexという、シェルとなるものは要らないような書き方である。Texturesの2.1というのが指定されたバージョンで、2.2がインテルマック用らしく、除外されている。1.8でもやり方次第では動くはずと書かれていて私の持っている2.0については言及されていないが、2.1のつもりで、環境設定のTextues関連チェックボックスをオンにして、取りあえずやってみたら、あっけなく成功〜。

あくまで、奥村先生と同じく正当な書き方だったので、Texturesを使用しないことを前提で、基礎から述べられたので、ドキリとしたが、G4マックでは簡単だった。なお、JtexEditはタイガー専用版を使った。


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