木曜日, 3月 12, 2015

宮崎正弘の国際ニュース・早読み(越比関係の大変化に注目) 日米豪印の戦略的な枠組みを積極評価、基本方針の転換へ

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)3月12日(木曜日)
   通巻第4485号  
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  ハノイとマニラ(越比両国)が戦略的パートナーへ前進
   日米豪印の戦略的な枠組みを積極評価、基本方針の転換へ
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 昨秋の北京APECで、フィリピン首脳とベトナム首脳が会談し、両国関係の「戦略的パートナーシップ」の格上げが討議された。
おそらく年内に、両国は外交戦略の「一大転換点」となる協定を締結する展望が開けた、と外交専門誌『ディプロマット』の最新号が報じた。

 2015年一月末にはファン・ビン・ミン越外相がマニラを訪問し、ロザリオ比外相と長時間の実質的話し合いをしている。

 ベトナム戦争中、米軍支援のためフィリピンは軍隊をベトナムへ派遣した。それゆえ、ベトナムとの復交は遅れ、1976年になってようやく外交関係が再開された。
 しかしその後も両国関係はぎくしゃくとして急発展はせず、1994年にようやく科学技術・経済協力協定、留学生の交換プログラムなどが開始された。

 こうした関係が大々的な転換を迎えた。
 2013年、両国は海軍高官の協議交流を開始し、海洋に於ける情報の共有、作戦の協同化などの討議へと移り、同時に2014年にフィリピンは米国との安保条約を大胆に改定して、世界戦略的には日米安保体制にオーストラリア、印度がくわわった枠組みの地域内協力を模索し始める。

 同時期、南シナ海での中国の恣意的な軍事行動に非難をつよめていたベトナムは、「航行の自由と安全」を主張しアセアン各国との共同歩調に重点をおく。
 フィリピンとベトナムは自国領海を侵略されたとして国連に提訴した。またフィリピンは国際裁判所へも提訴した。

 ベトナムがこれまでに「戦略的パートナーシップ」を結んだのはロシア、日本、印度など十五ケ国あるが、フィリピンとの交流拡大の主目的が将来の軍事的強調の可能性を前提にしていることは明らかである。

 またディプロマット誌の観測に拠れば、南シナ海を日本の偵察機が哨戒できないか、どうかも検討シナリオに含まれていると示唆している。

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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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 (読者の声1)貴誌前号の書評欄に山崎豊子さんへの(高山正之さんの)鋭い批判がありました。左翼活動家や、ごろつき記者を美化した作品を書いた山崎豊子という作家は目障りな存在でしたので、高山さんによる快刀乱麻を断つような批判には満腔の賛意を著したいと思います。
 ところで、宮?正弘先生の御名前が山崎『大地の子』の巻末に「取材協力者」、「参考文献」の二つの項目で出てきますが、中国の残留孤児を描いた『大地の子』を先生は評価されるのでしょうか?
   (RK生、福島)

 
(宮?正弘のコメント)じつは小生、山崎さんの作品は『大地の子』いがい、何も読んだことがありません(苦笑)。その『大地の子』も、文春本誌に連載されはじめたとき、取材の折に何回か宿泊先のホテルでお目にかかり(担当記者が小生の知り合いでもありましたので)、また日本で地下工作中の中国人民主活動家も紹介したりしました。けれども、作品にはかれら残留孤児の動きについて、一切反映されておらず、胡耀邦の?の一声で実現した中国取材で得た資料や談話で構成されています。
 なかには遠藤誉女史の「チャーズ」の盗用だと言われ、訴訟事件にもなりました。
 その後、年賀状だけは亡くなる前まで交換しましたが、作品は戴いても読まずツンドク、あ、『二つの祖国』を四分の一ほど読んだことを思い出しました。というのも連載中から米国の日系アメリカ人団体(左翼)が騒ぎだしたので、左翼が批判するのだからよい本だと読み始めたのですが、やっぱり途中で投げた。日系アメリカ人の戦争中の収容所、住宅などの財産没収などは非人道的であり、ニクソン政権で賠償が認められ、レーガン政権で実現しましたが、これは確かに左翼団体が騒いだお陰でしょうね。
しかし普通の日系人はアメリカでも沈黙していたのです。この問題を最初に書いたのは藤島泰輔氏の『忠誠登録』という作品です。
 
 
 
  ♪
(読者の声)貴誌前号の記事にありましたが、先生のバルト三国訪問ですが、リトアニアの古都カウナスにも立ち寄られたというのでしたら、ひょっとして杉原千畝記念館にも寄られたことと思いました。
日本での杉原千畝評は、なんだかヒューマニズム一辺倒で、おかしいと思いますが、如何でしょうか?
(TY生、栃木)

 
 (宮?正弘のコメント)杉原千畝は「本国外務省の命令にそむき、キリスト教徒としての良心に従って日本を通過するヴィザを亡命するユダヤ人に発給し続けた」という美談に仕上がっています。
 実際は人種差別撤廃を国際会議で提唱し、欧米豪の猛烈な反対にあった日本は「八紘一宇」の目的の下、人権と民族差別をなくす国策を遂行するためにも水面下で、杉原にヴィザ発給を密かに促していたことは周知の事実です。東条英機、松岡洋右らが黒幕です。
それが証拠に杉原は、その後、退官を強いられず、むしろ出世し続けました。
また杉原は最初、外国女性と結婚しており、ロシア正教徒でしたが、同時に間諜でもありました。
本来なら水面下のことゆえ、伏せておくべきですが、再婚した菊池という女性が回想録で美談に仕立てた。そのうえ、生き残ったユダヤ人が十数年後に日本にきて杉原を捜し求め、ならばこれを美談としてユダヤ人社会のみならず人権擁護、人種差別反対という国際世論を前にアピールした方が有利だった。
小生が杉原千畝記念館を訪れた理由は、こうした真実がパネル展示されているのか確認したかったのです。もちろん美談だけの展示でした。
さて、日本外交は、これを「売り」に駆使している気配濃厚です。日本人観光客がリトアニアに行くことさえ稀なのに、まして奥地のカウナスに来る日本人観光客なぞごく少数だったのに、最近は見学客が急増して、土産にチョコレートまで作った(苦笑)。
ウクライナの大統領がチョコレート会社の社長であるように、ポーランドからベラルーシ、バルト海沿岸諸国もフランス並みの立派なチョコレートをつくります。
 余談でした。 
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<宮崎正弘の論文掲載誌と今後の予定>
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(1)「爆買いする中国人の背景」(北風抄「北国新聞」3月9日付け)
(2)「チャイナ・プラス・ワンを往く<25>インド」(『エルネオス』、3月号)
(3)「アジアの覇権うたうも四面楚歌の中国」(『世界と日本』、3月16日号)
(4)「米国の中国観が激変している」(『共同ウィーク―』、3月16日号)
(3)「中国外相の対日強硬発言の裏側」(『月刊日本』4月号、3月22日発売)
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有限会社宮崎正弘事務所 2015 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示
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