水曜日, 3月 18, 2015

宮崎正弘の国際ニュース・早読み(英国シンクタンク「中国GDPは4・4%だ」)

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)3月19日(木曜日)
   通巻第4491号  
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 英国「ロンバート・ストリート研究所」が大胆に予測
  中国経済GDP成長は4・4%(中国政府は7・3%と言ったが)
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 日本でも中国のGDP統計のいかがわしさに関しては「嘘放送」との指摘が多くのエコノミストや経済学者によって言われ、産経の田村秀男氏は「電力消費量」と「鉄道貨物輸送量」から推測して、「マイナス成長」ではないか、と主張された。
筆者も「せいぜい4%程度だろう」と過去一年の拙著(たとえば『中国大破綻』、PHP)のなかで明瞭に指摘してきた。

 英国のシンクタンク「ランバート・ストリート研究所」のダイアナ・チョイレバ研究員は「中国2015年第四四半期のGDPは1・7%下がっており、年間を通じて4・4%成長が妥当な実態だろう」と発表した。

 「中国政府は貨幣増発による景気刺激策をとっているが、その規模と速度は米国の二倍に達しており、リーマンショック以後、食料品はほぼ50%上昇し、不動産価格は沸騰した。この過熱状態は終わり、ハードランディングになるだろう」とダイアナ女史は二年前から指摘している。

 彼女がもっとも関心を寄せた数字は鉄鉱石価格の下落率が49%、核エネルギー資源が39%、商品市場の下落率が29・2%という惨状である。

 同時期、中国の輸出は33%しか増加していないにもかかわらず、輸入は19・9%の増加ぶり、また海外からの直接投資(2014年)は940億ドルだったが、対外流出が950億ドルとなって収支はマイナスである。

国内不動産投資の債務は70%と推定されるが、人民元の価値が上昇するという矛盾がある。人民元は15-25%ほど高い。

 ともかく中国の賃金があがり、世界の工場という魅力は急速に薄れた。
「外国企業ばかりか中国の企業が海外へ工場移転を進めており、GDP成長が5%を割り込めば、失業率も高まり、企業経営は苦境に陥るだろう。これを当面、回避するには人民元の為替レート下方修正で対応するしかない」。

 いずれにせよ中国経済のハードランディングは避けられないだろう。

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 ◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ◎BOOKREVIEW◆ 
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 いま明らかになったルーズベルトの死亡原因
  なぜ真相の公開がかくも遅れたのか、専門医師が書いた病歴伝

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スティーヴン・ロマゾウ & エリック・フェットマン著、渡辺惣樹訳
『ルーズベルトの死の秘密』(草思社)
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 ヤルタ会談でルーズベルトは病人のように生気の覇気もなく、スターリンが思うがままに東欧から千島列島をソ連が欲しいままにするという諒解を与え、譲歩につぐ譲歩を重ねた。
かれは死にかけていた。
 死因は公表された診断とは異なり、ながく謎とされた。ヤルタではスターリンの背後に陣取った「妖術師」がルーズベルトに遠隔から催眠術をかけていたという珍説まで飛び出し、まことしやかに語られたものだった。
 死の真実は故意に伏せられたというより医師が無能であったことも大きく作用した。
 1991年になって、一部の真実が浮かんだ。
ルーズベルト従姉妹だが親密だったマーガレット・サックリーが死亡し、保存されていた手紙や日記類がでてきた。
 くわえてFDRの愛人だったルーサー・マーサーの証言がでてきた。これまでの伝記作家の記述がおおきく修正されなければいけなくなった。
本書の狙いは、その医学的伝記である。
 世紀の政治交渉だったヤルタ会談でFDRは交渉能力をかいた病人だった。舞台裏では医師団の闘いが展開されていた。
 もともとルーズベルトは小児痲痺があった。
 あまつさえ幼少より、かれには風邪、副鼻孔炎、喉炎、扁桃炎、気管支炎などを患い、インフルエンザと肺炎にも何回か、罹かった。生涯が病気との闘いだった。
大統領につくまえにポリオにかかった。「これで躰の自由を失った」のだが、「後遺症と闘うだけではなく、それが大統領職に何の悪影響も与えないというメッセージを国民に送り続けなければならなかった」(36p)
 連邦議会で最後に演説したルーズベルトは、その演説ぶりが変調を来しており、いつもの雄弁とは異なり、しかも下手なアドリブが多いことに気がついていたが、じつは左側の視力に異常を来しており、左前がみえなかったのだ。
このため大きく書かれた演説草稿が読めず、とばしたところに「一定のパターン」があった。
 『彼は手元の原稿の左端に書かれた単語を見つけるのに苦労した。そのため、スピーチをしながらなんとかしてその単語を頭の中で補って文章にしようとした』のだ。
 これを医学的専門用語では、「片側視野欠損」という
 そしてFDRには「左眉の上には色素沈着したシミがあった」が、これは「死に至る病メラノーマ、つまり皮膚ガンであった」。それが「悪性化してから四、五年を経て脳に転移した。脳内に出来た腫瘍は彼の生命をこの演説(最後の議会)のわずか六週間後に奪った」。
 しかし「死後の解剖が行われていないことや、カルテが見つかっていない」ために心臓に起因することが死因とされてきた。つまり医師団は皮膚ガンを秘匿した。
 戦後七十年、もうひとつの真実が明らかになった。

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(お知らせ)3月18日休刊予定でしたが、広島講演が日帰りでしたので本日も発行です。
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  ◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ◎BOOKREVIEW◆ 
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 幻想に酔うと歴史もファンタジー、フィクションとなる
  ルーツに興味がなく、人種差別の意味も分からないのが隣国の人々

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黄文雄『克中韓論』(イーストプレス)
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 中国脅威論、韓国脅威論は幻想でしかなく、かれらの反日情報工作に打ち勝つために日本は何をなすべきか、黄文雄節がますます冴えわたる。
要するに中国と韓国は自滅するのであり、日本はますます強くなるという歴史観に立脚して、日本が負けない理由を縦横無尽に語りつくすのが本書。
 そもそも史観とか祭祀とかは、その国のこころに属する内なる問題であり、中国と韓国は、これを外交問題にすり替えている。日本は過去を水に流すが、中国と韓国はなぜ過去に拘り続けるのか。
 黄氏はこう言う。
 「精神史に属する、これら目に見えない問題は、日本人がもっと考えなければならない心と魂の問題である。守らなければならない日本の価値であり、日本人としての生き様でもある」
 たとえば「インド人は歴史とはただ時間の一現象にすぎないと考え、それよりも根源的な問題に関心が強い。中国人と韓国人はインド人よりも歴史を語りたがるが、それは別に真実を知りたいからではない。フィクションやファンタジーを歴史にすりかえ、政治に利用しているだけである。ここに歴史の真偽はどうでもよいと考える中華思想の本質がある。政治手段として真偽などおかまいなしの史観や史説を押しつける」
 日本が反論しても、かれらは科学的客観的事実などどうでも良いから、突拍子もなく飛躍して難癖を押しつけるだけなのだ。
 日本人は自らのルーツをたどることに興味がある。
 だが中国人にルーツを問うても、韓国人にルーツを問うても、なぜそういう「馬鹿な質問」を日本人がするのかという反応がある。
 黄氏はこう説明する。
 「中国人の考えとしては、人類はすべて中国がルーツだ」「韓国も戦後になってから、ことにハングル世代は人類の古代文明の根が韓国にあると考えている」からである。

 誇大妄想病、病膏肓に入る、である。
 そのうえ中華思想では中国人いがいは獣であり、『中華意外の人間は禽獣、だから人種差別の兵とスピーチは中国では通用しないことになる。
 嗚呼、こういう連中が歴史論争の相手なのである。嘆息嘆息。
 
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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 (読者の声1)貴誌の投書欄で取り上げられている朝鮮人迫害事件ですが、日本人が迫害される朝鮮人を保護した、助けた、弔ったということの方が歴史的には大事なことだと思います。
問題は自警団がどうしてこういう暴力行為に及んだかですが、当時の社会主義者やアナーキストたちが、日本の国体破壊、天皇襲撃などを画策していた時代背景があったことです。そういう事件が朝鮮や日本で起っています。これを聞いていた素朴な日本人たちが共同体を守ろうという思想の下に一部、暴走しただけのことでしょう。某他国であれば、もっと大変なことになっていたでしょう。
以下は、私が書いた『石原莞爾の時代』(2008年)の第一章「石原莞爾と内田良平」の「関東大震災と朝鮮人虐殺」の部分をそのまま嫡出します。出てくる内田良平の証言は『内田良平関係文書』(芙蓉書房出版)にあります。その後、工藤美代子さんの本も読みましたが、今も考えは基本的には変わりません。

「関東大震災と朝鮮人虐殺
大正十二年九月一日の関東大震災は、大変な被害をもたらしたが、内田良平の指示の下、黒龍会の対応は即座で目覚ましいものである。その日のうちに世田谷にある内田農園を通じて一晩のうちに三千貫(約十一トン)のジャガイモを買い集め、東京市内の各所において煮てそれを配給する。その他の握り飯などの食料の迅速な調達、配給に努める。また家を失った者、職を失った人々のために赤坂に「自由宿泊所」「自由食堂」を開設する。宿泊する者、日々四百人以上、食事をする者、千人以上という活況を呈するが、むろん営利目的ではない。こうした黒龍会の社会事業はもっと注目されなければならない。
このような一方で、朝鮮人たちが暴動を企てている、火を付けた、井戸に毒を入れたという噂が市内を駆け巡り、そのために多数の朝鮮人たちが虐殺されたといわれている。こうした噂は日本人の自警団を殺気立たせて、多くの朝鮮人たちが殺されたというわけである。朝鮮人と間違われた著名人に民俗学者の折口信夫がいる。沖縄調査旅行から帰宅途中、芝の増上寺前で間違われた彼は危ない目に遭ったという。
こうした形で迫害された朝鮮人がかなりいたというのは事実のようだ。しかしそれが組織立ったもので、「命令」となって各所に伝わった、そして六千人が虐殺されたというのは正確ではない。六千人という根拠は、「三・一独立運動」後に上海で作られた臨時政府が出していた新聞によるもので、反日的立場と宣伝から故意に事実を歪められている可能性が高い。そして組織だったものでないことは、各地に立場の弱かった朝鮮人たちを暖かく保護した日本人たちがいたことが名前と共に判っている。
軍もまた実際はそうである。横須賀の戒厳司令官が「噂のほとんどは根拠がない、朝鮮人を虐待するな」と公示もしている。
問題は市内に割拠する社会主義者の朝鮮人や日本人である。
反逆的思想を抱く朝鮮人を当時「不逞鮮人」と呼んでいた。例えば上海に根拠を置く義烈団というテロ集団が朝鮮内に爆弾を運び込み、何度も爆弾事件を起こしたことが知られている。大正十二年の初めには、金相玉事件というかなり大きい事件を京城で起こした。同時に義烈団では、「朝鮮革命宣言書」を出し、対日宣戦布告ともいうべきものを公然と発する。天皇ももちろん打倒の対象である。
義烈団の内地での活動者の代表が朴烈だった。爆弾テロを認める過激なアナーキストである。東京に爆弾を持ち込み、天皇あるいは摂政である皇太子に投げつけようという計画を持っていた。そうした計画を持った朝鮮人が徘徊していたのが震災前の不穏な東京というところだった。この計画は震災後、難波大助というアナーキストによって実行された。
こうした動向に冷静に目を光らせていたのが内田良平である。
彼は震災後すぐの九月中に政府に提出した意見書の中で、「彼の社会主義者及び不逞鮮人の徒が震災の機会に乗じて、或は爆弾を投じ、或は毒薬を飲料水に入れ、或は放火を敢てし、或は暴行を無辜の邦人に加へ、或は掠奪を縦(ほしいまま)にしたことは掩(おお)ふ可からざる事実である」といい、その具体的な例を多数挙げて報告している。自警団というのは、そのための自衛手段としてできたものである、また自警団や警察、軍の一部が不逞鮮人を虐殺したのは間違いない事実だが、それは自衛のためになされたことで、それを堂々と国際社会に訴えなければならない、そうすれば上海臨時政府のような悪意の宣伝に乗ぜられずに国際社会は諒解してくれるのであると。
内田の意見は当時の欧米の大使たちが朝鮮人への迫害に目を顰めているという事実に基いた意見である。朝鮮人への暴行を遺憾と認めて済ませるだけの湯浅警視総監と比べ、その剛直さは際立っている。彼は甘粕憲兵隊長の大杉栄殺害も非常事態最中のことで、当然のことと認めている。
彼がいうのは、これらは「事件」ではなく「国防問題」であるということだ。
救済事業と共に、内田らしい危機管理能力の面目躍如たるものを理解すべきだろう。なおかつ彼の国際社会に堂々と訴えるという意見は、現在いわれるアカウンタビリティ(説明責任)のことである。現在の慰安婦問題でも同じことがいえる。
なお、震災さなかに警察に拘留された朴烈は大逆罪で裁判にかけられ、日本の敗戦まで二十二年の長きに亘って服役する。昭和二十年十月二十七日に出所するが、後述するようにその後は石原莞爾と交流している。
  (田中秀雄)



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(読者の声2)貴誌通巻第4490号(読者の声3)に工藤さんの著書と加藤さんの著書の関係をコメントいただきありがとうございます。
以下2点追記させていただきます。
(1)在日韓国人と在日朝鮮人の構成
第二次大戦終了時に日本にいた朝鮮人が200万人で、日本政府の帰還船に乗船することを断って、日本に居続けたのが20万人です。その後かなりの帰化と帰国があったことを勘案すると、おそらく現在に日本にいる韓国系と朝鮮系の永住者の約6割は終戦後の不法移民とその子孫です。
(2)平成17年に韓国で韓国人の学者が発見した日韓併合要請の可否を議論した閣議議事録の要約を私は日本経済新聞の日曜版最終ページで読みました。17年7月のことだったので、その月の縮刷版を手に入れれば、読むことができます。
  (ST生、千葉)

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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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