月曜日, 4月 20, 2015

宮崎正弘の国際ニュース・早読み (書評「イスラム国」の謎を追う)

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)4月20日(月曜日)
   通算第4519号  
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 本号は、ニュース解説がありません。本日中に、もう一回出ます
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 ◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ◎BOOKREVIEW◆ 
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 「カリフ制」と「西側文明との対決」で世界から兵士をリクルートした
   新型のテロリスト集団「イスラム国」の実態と近未来の対策を追求

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矢野義招『イスラム国 衝撃の近未来』(育鵬社)
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 「ISIL」、もしくは「IS」は『イスラム国』と訳されて、世界に衝撃を与え続けている。このような法律を無視した血で地を荒らすテロに、なぜ彼らは訴えるのか。日本人からみれば、およそ理解不能、悪魔の所業としかうつらない。そのうえ、彼らは日本人ジャーナリストも二人、残酷に殺害し、その諸兄場面をユーチューブに流した。戦慄、ふるえのあと、日本人の大半はイスラム国を憎悪するようになった。
 本書は防衛専門家でもある矢野氏が新しいデータをもとに、入念に背後関係を洗い直し、正確なテロリスト像を追求し、同時に日本はいかなる方法を用いて、このテロとの闘いに挑むべきかを説いている。
 そそもアラブ背系をこんにちのような分裂状況におとしいれたのは内的要因というより、英国が19世紀の支配時代から勝手に線引きしたサイクスピ・コ条約、サンレモ会議、パリ講和会議による。クエートとイラクを分岐し、イスラエルの独立を黙認し、ヨルダンの国境を策定した。
 「イギリスが第一次世界大戦中に、パレスチナをめぐって、いわゆる『三枚舌』を使った」。秘密裏の中東分割案は、ほぼ現在の国境線となり、汎アラブ世界のイスラム国歌実現は遠のいた。分裂させ、部族対立を煽り、支配者が被支配者の社会を分裂、内訌状態におくことは帝国主義支配の定石である。
 その後、アルカィーダが生まれ、サダム独裁が倒され、アラブの春が、西欧的民主化などと歌ったが悉く雅失敗し、イスラム国という過激はが登場した。
 しかし「その国家理想を含めて、過大に評価するのは誤りであろう」とする矢野氏は、「かれらがめざす領域を確保し、安定的に統治できる見通しは立っていない(中略)、時代錯誤の方法によっている。その意味では、近代的法治国家とは言えない。また国際社会からは新種のテロリスト組織とみられており、国家として承認される見通しもなく、疑似国家」のままである。
 指導者二十五人のうち、三分の一がサダム時代の軍人であり、イラク戦で捕虜となって米軍の刑務所にはいって知り合った。バース党コネクションが生きているのである。イスラム国は、このコネクションが基礎となって急速に勢力を増やした。
「カリフ制」の訴えと「西欧文明との対決」が新しい兵士リクルートの標語となってインターネットがフルに活用された。
 またこのようにこんがらがった状況のなかで、逞しくも鵺的行動をとる中国は1987年に中距離ミサイル『東風3』をサウジアラビアに売却していたが、ながらく秘匿されてきた。
2014年のサウジの軍事パレードに初めて登場した軍事的意味も、矢野氏は「すでにサウジは「東風21」を中国から購入しているため秘匿性がなくなったから」と推論している。
 サウジはパキスタンの核武装の胴元でもあり、いつでも核兵器をパキスタンから移送できる立場にあるが、こうして魑魅魍魎がうごめくアラブ世界にあって過激なテロリスト集団は、今後どうなるか、日本はいかにして立ち向かうかを、ハッカー戦争への対抗を含めて詳細に論じた力作である。
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 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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知道中国 1231回】      
   ――「糞穢壘々トシテ大道ニ狼藉タリ」(小室8)
『第一遊清記』(小室信介 明治十八年 自由燈出版局)
 
  ▽
「佛人ト戰ハゞ結局ハ必ズ敗ルベキヲ知ルモノ」だから、李鴻章こそは「清國人中第一流ノ人物ニシテ佛人ニ取ツテハ一大敵國ト謂フベキ所以ナリ」ということになる。
 
次いで小室の筆は清国海軍に転じた。
 
これまで内外から寄せられる艦船数や大小火器は極めて充実しているとの報告から、小室は清国海軍に「畏怖ノ感覺」を感じていた。だが、自分の目で確かめ、現地に「停泊中ナル我海軍艦ノ海軍武官ヨリ其ノ説ヲ聞」いた結果、かねてから抱いていた「畏怖警戒ノ心」はたちどころに消え去ったという。
 
やはり装備の面では充実しているが、その充実した艦船を「運用スル士官其人ニ至テハ一モ用ニ適スル人ナシ」というのだ。平時には英・独両国のお雇い士官が指揮して運用しているが、戦時になったら彼らは全員が「職ヲ辭?罷メサル」ことになる。さすれば、さしもの大艦巨砲も単なる鉄の塊に過ぎない。「清國ノ海軍タル者ハ骨節堅剛ニ血肉肥満シテ而?腦髓神經ナキノ人ノ如シ到底死物ノミ豈恐ルヽニ足ルモノナランヤ或我海軍士官予ニ語テ曰ク支那ノ軍艦ホド不規則ナルモノハナシ英式カト思ヘバ佛式モアリ佛式カト思ヘバ獨逸式モ有リ又清國一定ノ式アルカト思ヘバソレモ無シ」。かくて「清艦ノ擧動ニ就キテハ憫笑スベキ?一々數フルニ遑マアラズ概シテ之ヲ言ヘバ類於兒戯者ナリ」と。
 
簡単いうなら清国海軍の大鑑巨砲の実態は、大患虚報とでもいうべきか。装備は英・仏・独の各国製が混用されているから連係して使えない。彼らに近代海軍を運用する能力を求めることはムリだ。「類於兒戯者」、つまり幼児の戯事に過ぎない。これが結論だった。
 
そこで「清國ニテ人物ト云フベキハ李鴻章一人ノミ」とまで評される李鴻章は、麾下の海軍を「旅順口ノ港内ニ封ジテ妄リニ航海ヲセシメズ」。それというのもフランスに戦敗し賠償金を払ったとしても、「尚軍艦十余艘ヲ餘シ得バ國ノ利ナリ」だからだ。いいかえるなら他日を期して手持ちの艦船を温存しようというのだ。
 
最近では「支那人一般」も自国海軍がハリコの虎であることを気づきだした模様で、「兵ヲ談ズル必ズ」やフランス軍は海戦に強く陸戦に弱い、清国軍はその反対だから、「佛人陸ニ上ラバ?テ之ヲ鏖ニスベシ」と主張するようになった。だがその種の主張は「我邦維新前ノ攘夷家ノ説ク所ト符節ヲ合シタルモノヽ如シ」。つまり自己チューで夜郎自大。ナンセンスの極みというわけだ。かくて小室は「一笑スベシ」と斬って捨てた。
 
陸軍については詳しくはないと断りながらも、小室は「在清中ニ於テ見聞セシ所」によれば「一モ畏ルベキモノナシ」と綴る。その兵制は「近来ニ至リテハ其ノ無法無制不熟練ナル?驚クバカリ」と。たとえば司令官は隷下部隊の兵員を大幅に増員して申告し、水増し分の兵士の「給金ヲ私シテ自己ノ懐ヲ温ムル」という始末だ。「早ク謂ヘバ将官ハ兵卒ヲ食ツテ自己ノ腹ヲ肥シ居ル?ナリ」。
 
1万の部隊と称するが、実質は5千人。しかも弱卒揃い。だが1万人分の給金を支給されるから、5千人分(=1万人-5千人)の給与が司令官の手許に残るというカラクリだ。坊主丸儲けならぬ指揮官丸儲けということになるが、清国では「此ノ悪弊普ク行ハレテ人モ怪マズ世間普通ノ事トナシ居ル」というのだから驚きである。
 
だが、閲兵式ならまだしも、いざ有事となった時、指揮官の「狼狽ハ甚シク俄ニ兵ヲ」駆り集め頭数合わせに奔走する。だが、「平日給養スル所ノ兵ナル者不練不熟ノ者」であり、そのうえ装備は旧式極まりない。だから「戰ニ臨ミテ用ヲ爲サザルハ怪シムニ足ラズ」。加えて兵制はデタラメで兵籍の曖昧だ。そこで「戰ニ臨ミ陣亡スルモ恩給沙汰モ無ク招魂塲ニ葬ラルヽ?サヘモアラズ」。死して屍拾う者・・・あるわけがない。死に損だ~ッ。《QED》
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)17日に都内で行われた「下関条約120 周年日清戦争を考える国民の集い」に出席させてもらいました。 素晴らしいイベントでした。著名人の方々の熱気を堪能出来ました。
本当に良い機会を与えて下さり有り難うございました。時節柄ご自愛頂き、ますますのご活躍をお祈り申し上げます。
  (YT子、世田谷) 



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(読者の声2)先日都内某所で開かれた日下公人先生が主宰される「日下スクール」に出席しました。
資料とともに本の紹介のコピーがありまして、見ると宮崎先生の『中国、韓国は自滅し、アジアの時代がやってくる!』(海竜社)を紹介しているペーパーでした。こういうことは、この会には珍しく、誰かがPRするのかと思っていましたところ会の終わりになって、日下先生が、「この宮崎さんは、市井の人で、貿易会社を経営されマスコミ界と学界とか無縁の人であるが、自分の金で各国好きなところを、いろいろ行き自分の目で見て、正直にそのことを本で発表し、その予測が当たるので人気がある。
貴重な人であるし、こういうことは世界的に見ても他国には例がない。こういうこと
が起こるのは日本だけの現象であり、日本は良い国である」と云っていました。
本のコピーまで作って、日下先生がほめられるのは、誠に珍しいことでありました。宮崎先生がこのように評価されているのを聞き、メルマガの読者にお伝えしたく思った次第です。
(MS生、鎌倉)



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(読者の声3)村上春樹の反日発言が問題となっています。私は昔、小説家を目指していたこともあり、村上春樹のものも読んでいました。デビュー作の『風の歌を聞け』からです。ちょっとしたアメリカンハードボイルド調の文体が結構面白くて、読み続けていましたね。
それも『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』までですね。
その後、『ノルウェーの森』が大ブレークするような事態となるとついていけませんでした。しかしその頃までは、あまり政治的発言を彼はしていなかったと思います。私には寡黙な小説家のイメージでした。彼は所謂全共闘世代で、恐らくはその当時、内気に左翼的観念世界に浸りつつも、その思いを行動に移していなかったのではないかと思います。
その意味で、浅間山荘事件、内ゲバ殺人、リンチ大量殺害事件を起こした連中はある意味で共産主義の理想に忠実な、真摯な若者たちであったかもしれません。
出す本、出す本がボコボコ海外でも売れるような状態になった頃に、村上は自分でも自信を持ったのではないでしょうか。
翻訳文体なら、外国語移行はしやすいですよ。谷崎潤一郎や川端康成ではないんだから。
今なら、学生時代には行動に移せなかったことを、言葉で表現できる、それはおれの特権だとか…彼は思った。
 それをあやまたず、「村上さん、どうですか?」と声をかけてきたのが、老いた大江健三郎の代わりを探していた朝日新聞だったのです。恐らく!
変に内気なブンガクセイネンが売れ出すと、問題です。三島由紀夫と違って、凡庸な顔ですからね(笑)。なんか、今思うと、NHKの「ひょっこりひょうたん島」に夢中になっていた子供時代を思い出します。
後で思えば、井上ひさし以下、左翼ばっかりが作っていた番組でした。売れてるからといって、自分は万能だと野放図になる芸能人の愚に、吉本隆明は辛辣でした。
そこが左翼でも、日本人を理解していた吉本の真骨頂でしょう。少年時代は、乃木将軍の「金州城外斜陽に立つ」を詩吟で唸ってた人物ですから。吉本が生きてれば、村上春樹を批判するでしょう。
ちなみに私は吉本以降の左翼、柄谷行人、浅田彰などを認めません。
   (HT生、大田区)


(宮崎正弘のコメント)ずいぶんと村上春樹が問題となっているようですね。小生は、
一作も呼んだことがないので、批評する資格がないので、コメントしません。



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(読者の声4)4月28日を国民の祝日に! 「主権回復記念日国民集会」のご案内です。
        記
とき   平成27年4月28日(火曜日)18時00分 
ところ  砂防会館別館「シェーンバッハサボー」
http://www.sabo.or.jp/map.htm
千代田区平河町2-7-5 TEL 03-3261-8386
入場料  無料(カンパのご協力をお願いいたします)

<登壇者> 4月15日現在(順不同敬称略)
代表世話人 井尻千男(拓殖大学名誉教授)、小堀桂一郎(東京大学名誉教授)
入江隆則(明治大学名誉教授)
稲田朋美(衆議院議員・自民党政調会長)
片山さつき(参議院議員・参議院外交防衛委員長)
赤池誠章(参議院議員・文部科学大臣政務官)
宇都隆史(参議院議員・外務大臣政務官)
木原 稔(衆議院議員・元防衛大臣政務官)
山田賢司(衆議院議員)
田沼たかし(前衆議院議員)

飯塚繁雄(「家族会」代表・田口八重子さんの兄)
増元照明(増元るみ子さんの弟)
西岡 力(「救う会」会長・東京基督教大学教授)
竹本忠雄(筑波大学名誉教授)
馬渕睦夫(元駐ウクライナ兼モルドバ大使)
宮崎正弘(作家・評論家)
田中英道(東北大学名誉教授)
ペマ・ギャルポ(横浜桐蔭大学教授)
水間政憲(ジャーナリスト)
西村幸祐(評論家・ジャーナリスト)
三輪和雄(「日本世論の会」会長・「正論の会」代表)
佐波優子(ジャーナリスト)
水島 総(「日本文化チャンネル桜」代表・「頑張れ日本!全国行動委員会」幹事長)
ほか国会議員・文化人多数

<主催>主権回復記念日国民集会実行委員会
<後援>日本文化チャンネル桜。頑張れ日本!全国行動委員会
<お問合せ>「頑張れ日本!全国行動委員会」
TEL 03-5468-9222 FAX 03-6419-3826
info@ganbare-nippon.net                                
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宮崎正弘 v 川口マーン惠美『なぜ中国人とドイツ人は馬が合うのか?』(ワック)
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有限会社宮崎正弘事務所 2015 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示
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