月曜日, 4月 04, 2016

宮崎正弘の国際ニュース・早読み (残り火にあらず、サンダースが本命ヒラリーを追い詰めている)

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成28年(2016)4月4日(月曜日)
           通算第4859号 
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 残り火にあらず、サンダースが本命ヒラリーを追い詰めている
  共和党は主流派、ネオコンがトランプ排除の連合を狙うが。。。。。。。。
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 中盤戦となって風向きが変わり、トランプは発言の中心軸をそっと移行させている。はじめて謝罪会見を開いたりした。
 それより、先月末からトランプは強調していることは「日米安保は不平等、日本と韓国に防衛費の負担を増大させよ」と声高に言い出したことで、批判の多かった「移民政策」を後方に下げた。

 トランプが不法移民を攻撃してきたのは、実際には矛盾した言論である。
彼の最初の妻だったイヴァナはチェコ(当時はチェコスロバキア)からの移民。三番目で現夫人のメラニアはスロベニアからの移民組である。メラニアはヌードモデルを務めたこともある
「移民を減らせ、ヴィザを厳格に」と主張するトランプの夫人達が移民組とは矛盾しているのではとマスコミが騒いだが、トランプはまともに取り上げず、この議論を逸らした。

 ドイツではすでに移民は1650万人、うち990万人に永住権が認められている。
米国同様に移民大国であり、シリア難民問題で急に国民の不満がたかまったかに見えるが、ドイツ国内のナショナルな「ペギーダ運動」も、「ドイツのための選択」も、その主張は国民の心底に潜伏してきた感情の爆発である。

 トランプが中盤戦での戦術変更の第一は「日本の核武装」を容認したことである。
これは日本の主流マスコミが冗談のように受け取っているが、日本の物言わぬ大衆、とりわけ保守陣営は歓迎だろう。
核武装をして初めて、日本は独立国家たりえるのだから。

 もし、日本が「主権国家」なら、そもそも外国の軍隊が日本にいること自体が間違いである。キルギスのような小国で、タクシーの運転手とロシア軍の駐屯について議論になったおり、「え、日本に外国軍がいるのか。それじゃ、日本は主権国家ではなかったのか」と指摘されたことがあった。

 日本の核武装容認発言はトランプにインタビューしたニューヨークタイムズの記事(3月26日)で、世界的にも報道された。
ところが、日本でこの発言を特筆したメディアは殆どなく、あいかわらず「トランプは共和党が産んだフランケンシュタイン」だとかの「解説」が並んでいた。「フランケンシュタイン」と比喩したのはネオコンのチャンピオン、ロバート・ケーガンである。


 ▼中欧の庶民もトランプに好感をもっている

 つい一昨日まで筆者はルーマニアのブカレストにいた。
日本人にとって、ルーマニアと言えば、コマネチとチャウシェスクを思い浮かべるのが精々、歴史通ならあるいはドラキュラを思いおこすかも知れない。

 ブカレストでの驚きは、かの独裁者=チャウシェスクの残影が殆どないことだ。贅を尽くしたチャウシェスク宮殿は「国民の館」として、いまや観光資源となっていた。

人々には宗教心と活気とが蘇り、経済活動は活発化しており、なによりソ連時代のラダもトラバントも街から消えてベンツ、トヨタ、BMWの新車の洪水ではないか。
チェウシェスク失脚から二十七年を経て、これほど豊かになっていようとは想像さえしていなかった。

 さて問題はトランプである。
筆者は以前にも、チェコで、ハンガリーでトランプの人気が高いことを紹介したが、ルーマニアで、(そして隣のブルガリアでも)ヒラリーより、トランプのほうが人気が高い。
しかも米国大統領選挙のことは、日本のマスコミ同様に詳細が伝わっている。言論の自由は回復されており、複数政党制は機能している。

 チェコのゼマン大統領が、あるいは旧東欧諸国の指導者が言ったように「移民は侵略だ。なぜ難民に若者が多く、かれらはISと闘わないのか」と非難したように、移民に厳しいトランプに原則で共鳴する部分が多いからだろう。

 脱線ついでに移民に寛大だったドイツで、メルケル首相の支持率が急落しているのも移民問題だ。
いまやドイツへの移民はトルコ、アフガニスタン、パキスタンも多く、総計で1650万、このうち990万人には永住権が与えられ、多くが生活保護で暮らし、ドイツ語を習得しなくとも良く、それがドイツ国民を苛立たせる。


▼トランプの過激な発言は巧妙なマーケッティング戦略が基本にある。

 「メキシコ移民に職を奪われた」「国境に壁を作り、かれらを追い出せ」。「中国と日本は為替操作国だ」と叫ぶトランプがなぜかくも絶大に人気を獲得しているのか。
トランプは、移民政策に不満を持つプアホワイトを大票田の「鉱脈」として改めて発見し、集中的に問題化するために、過激な発言を繰り返した。
 トランプ現象は、彼自らが編み出したマーケッティング手法の乗っ取っているのだ。

 世界を見渡せば、トランプが嫌いなのが欧米先進国と日本。とくに民主主義先進国家といわれるところであり、民主主義に憧れ、それを血と汗で達成した国々は、政治的関心の強さにもまして、トランプが好きな人が多いのはどうしたことだろう?

ロシアでも、中国のマスコミを信用しない庶民の間にも、歯に衣を着せぬ物言いが短絡的に受けるだけが、その人気の高さの直接的な理由とは思われない。

またトランプはユダヤ人への差別的発言は徹底して避けており、「イスラエルはユダヤ人の国家であり、永遠にユダヤ人国家として存在することを受け入れるつもりで交渉の席に着かなければならない」と指摘している。
在イスラエル米国大使館をエルサレムに移転するべきともとも在米ユダヤ系PACの集会で述べている。

それよりもっと留意すべきことは、日米安保条約ばかりか、トランプはCNNとのインタビューでは「米国は北大西洋条約機構(NATO)向けの支出を削減すべき」と日米安保条約、米韓条約と同様に「米国優先、他国への軍事予算削減」の原則を普遍的に適用していることである。

この点で共和党主流ばかりか、ペンタゴンに近いネオコンや保守原理主知とも対立的なのである。


 ▼トランプ降ろしも本格化してはいる。。。。。。。。


 米国では共和党内部にあってトランプ降ろしの動きは止まず、もし彼が正式候補となったら、ヒラリーかサンダースに入れると公言する共和党党員が増え続け、米国のマスコミはリベラリズムとグローバリズムに立脚するメディアが多いから、かれを「共和党が産んだフランケンシュタイン」だとか、ハリウッドの左翼スター等は「トランプはファシスト」などと決めつけている。

にも関わらす、トランプ人気はすこしかげりが見えてきたものの、相変わらず高い。
 3月23日、トランプはユタ州を落としたが、アリゾナでは勝った。ユタ州はロムニーの信奉するモルモン教の総本山が州都のソートレイクシティにあり、ここではロムニーの応援を得たクルーズが勝った。

 ところで日本政府が期待するヒラリーだが、日増しに人気にかげりが現れており、選挙運動の劣化が顕著になってきた。
アリゾナ州でヒラリーがかろうじて勝ったものの、ユタ州、アイダホ州でサンダースが大差で勝つという番狂わせが生まれた。
とくに3月26日のアラスカ、ハワイ、ワシントン州ではサンダースへの得票率は70%から81%と圧勝に近い。
これもまた予想外の現象で、サンダースが、五州で勝利したのだ。

 4月1日現在、両者の代議員獲得数は以下の通り
 トランプ 739票
 クルーズ 460 (過半は1237票)

 クリントン 1742票
 サンダース 1051 (過半は2383)

 党大会は七月下旬、いよいよ米国大統領選挙予備選は、過熱気味となって、オバマのレガシー作りの拙速外交が霞み始めている。
 オバマはキューバを訪問したが、その扱い方はゴミ記事並みとなり、ヒラリーvsサンダース、トランプvsクルーズの動向が、主要な紙面を飾るようになった。

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◆ 書評 ◎ しょひょう ▼ BOOKREVIEW ▽
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 あの戦争の大義を確認せよ
  それが将来の、永遠の未来への架け橋となる

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藤田裕行『国体の危機――日本亡国勢力との戦いに勝つ』(サンクチュアリ出版)
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                    評者 玉川博己
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ヘンリー・S・ストークス氏のよきパートナーであり、通訳として「憂国忌」とも馴染みの深い藤田裕行氏が、今般その憂国の思いと熱情をストレートに訴えたのが本書である。そして副題の「日本亡国勢力との戦いに勝つ」が、本書を出版された著者が抱かれている日本にとっての危機感を如実に示している。
 藤田氏は日本の国体を、国史を回想することによって読者に分かりやすく説明する。本メルマガの読者であれば皆よくご存知であるので詳しくは省略するが、神話の時代から古代、中世、近世と脈々とわが国史を貫いてきた、天壌無窮と万世一系の理想を戴くわが日本民族の国体意識が、欧米列強のアジア侵略という迫りくる危機において、見事に尊皇を大義とする明治維新革命を成就させたことは正に世界史の奇跡であった。
しかしその後不幸にして大東亜戦争に敗れた日本は、占領軍による日本弱体化政策と東京裁判史観、そしてそれに呼応、盲従する国内の亡国勢力によって、今正に国体の危機を迎えているというのが藤田氏の憂国の認識である。
藤田氏は、今こそ大東亜戦争の大義を再確認し、真の国体を恢弘させるために、国体に相応しい自主憲法を制定するべきであると主張する。藤田氏は最後に「神話の時代から、連綿と続く大和魂を、次世代に継承することほど、大切なことはない。もうギリギリのところまできているのではないだろうか。
天壌無窮の神勅を奉じるものが、神話の時代からつながる魂を、二十一世紀以降の永遠の未来へと、つなげてゆこうではないか。」という言葉で本書を結んでいる。
 本書に流れる藤田氏の国体観、歴史観は、三島由紀夫先生の「文化防衛論」、そして昨年私どもが再評価のシンポジウムを行った三浦重周の思想とも通底するものがある。
 国体とはただ守るものではなく、常にその危機に立ち向かって敵と戦い、勝ち抜いて真の姿を輝かせるべきものである。
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宮崎正弘、田村秀男、渡邊哲也の鼎談『中国経済はどこまで死んだか』(産経新聞出版)
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中国経済ぶった斬りの三人衆、見参。鼎談本の予告!
  『死んでいる』のに『死んでいない』不思議な中国経済の面妖さに大胆なメスをいれてみると。。。。。。。

宮崎正弘、田村秀男、渡邊哲也の鼎談
『中国経済はどこまで死んだか』(産経新聞出版)
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 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1389回】
――「佛具散亂蛛網充滿寺僧洋烟に沈醉して佛影なし」(原田7)
   原田藤一郎『亜細亜大陸旅行日誌?清韓露三國評論』(嵩山堂 明治二十七年)

  △
 「山東省の儒生王之臣」が口にした「不錯、不錯」に見られるような、コチラの琴線に触れる発言に日本人は実に弱い。その典型が?介石の「怨みに報いるに徳を以てす」であり、毛沢東の「日本軍国主義は日中両国人民の敵」だろう。これに死を前にして孫文が説いた大アジア主義や汪兆銘の「同生共死」を加えることは、行き過ぎだろうか。いずれにせよ中国の政治指導者が巧妙に発した“戦略的発言”が、ことに大東亜戦争敗北以降における日本の対中外交の手足に加え脳髄まで縛ってしまったことは否めない事実だろう。

  かくして安倍首相は対中外交に対し戦略的互恵関係という姿勢で臨んでいるわけだが、考えてみれば相手国から最大限の譲歩を引き出す一方、自らの国益毀損の歩留まりを最小限に食い止めることを外交の本質と考えるなら、日中関係に止まらず、すべからく外交とは「回帰不能点」を超える瞬間まで戦略的互恵関係をカンバンに掲げながらの綱引きとなるはずだ。国の大小に拘わらず、外交の根本は自国のため。なによりも自らの国の歴史と矜持、国民の生存・安全・財産を守るためには、周辺諸国との間で戦略的互恵関係を構築・維持することに腐心することは当たり前だろう。態々口にするまでもないことだ。

 であればこそ中国の政治指導者の戦略的発言には、注意の上にも細心の注意が、いや、さらに厳重注意が必要なのだ。?小平流の甘言に踊らされた過ちを繰り返してはならない。

さて滿洲に歩を進めた原田は、そこで見た山海関以南の中国本部との違いを記す。
 「北方に進むに從ひ」、最初に感じたのは「當地方の清潔なること是なり田舎には珍しく旅店飲食店等皆清潔を極むるなり是眞に異事とす」。次いで「東北に進むに從ひ馬鹿の大男とでも評す可き乎皆骨格大にして強壮の感あり」。とはいえ「清人の無智なる今更申すまでもなき事なれど(中略)一層の無智を知る」。そこで彼らに「充分体育?育智育の三育を兼ね?へなば西洋に劣らざるの人物を得べき」に違いないが、「惜い哉?育とて別に學校の設けあるにあらず」。それゆえに「馬鹿の大男」のままで終わってしまう。かくて原田は「清國當局者」は何を考えているのかと呆れ果て、苦言を呈す。

 人々が「予の身邊に就き纏ひ石を投じ罵詈を爲し其無禮云ん方なし」は中国本部と同じだが、「性質は南方の如く狡黠ならず至て質朴を極む」という。

 原田は満州で異様な光景を目にした。その1つは女子供の喫煙である。
 「喫煙の流行は何地も同じ事」だが、満州では「妙齡の女子長さ三尺もあらんと思ふ煙管を携えへ寸時も之を放」さない。道を歩くにも、仕事をするにも「肌身を放さ」ず。やはり「流行の度を過ご」している。それだけではない。「十二三の小兒にして尚ほ大煙管を持ち喫煙」する始末。時には、乳飲み子から13,4歳の4人が「銘々煙管を携へ居りて鼻をたらしながら喫烟を爲すは實に見苦し」い光景に出くわす。乳飲み子は自分用のキセルを持っていないようだが、「母の烟管を取てスッパスッパ喫烟する」の有様だ。

 2つ目は「白菜を生の儘ガジガジと?み又は味噌を付けてジワジワ?むあり茄子?爪豌豆大根胡葡葱蒜其他の青物多く生にて食す」こと。

 3つ目は日本を知らないこと。「満州の田舎に入りては日本てふ國は未だ聞きしことなしと云ふ者多く漸く地圖を開き是を見せしめて初めて日本國を知る有様なり」。かくて原田は、「日本は素より小なりと雖も一葦帶水の地方にだも未だ名を知られざるは實に日本人の恥辱と云ふ可き乎抑も又他の無智の罪なる乎」と慨歎する。これが当時の満州の姿だった。

 ところで、満州にやって来て初めて満州の地が満州人と漢人の雑居地であることを知った原田は、「此の地方は明人と滿人の雜居なるか男子にては殆ど區別しがたく唯婦人の頭足に據り明滿兩人種の雜居するを知る」と記した。「明人」は漢族を指すはずだ。
《QED》

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【知道中国 1390回】   
   ――「佛具散亂蛛網充滿寺僧洋烟に沈醉して佛道影なし」(原田8)
原田藤一郎『亜細亜大陸旅行日誌?清韓露三國評論』(嵩山堂 明治二十七年)

  △
 原田は「婦人の頭足に據り明滿兩人種の雜居するを知る」としているが、「婦人の頭足」とは満州民族婦人独特の髪型と「明人」、つまり漢族婦人の纏足を指している。

  続いて「此地方清人等の暴慢無禮」が過ぎ、「苟も日本魂を帶るものは片時も耐えへ忍び得べき塲合に非ら」ずと。たとえば「外國人として旅店に入るや多勢の奴原入り來り或は刀を取り中身を見或は鞄の中を見煙草を見矢立を見手當り次第一見の後必す其價を問ふ」。

 そこで原田は「若し日本人の三十年前ならしめば所謂手打ちの英斷をなす者あるべし無?育の人間とは云ひながらさても無禮の者どもかな」と腹を立てる。だが江戸の昔ならいざ知らず、しかも異国の地である。「無礼者下がり居れ、手打ちに致すぞ」などと一喝したところで、やはり多勢に無勢、カエルの面に小便というもの。「されば止むなく胸を擦り心を抑ゆるの外なきなり偖も悲しき旅なる哉」と引き下がるしかなかったようだ。

  ここで、原田が「明人」とも「清人」とも記す漢族と満州族の雑居について簡単に記しておきたい。
 17世紀半ば、満州族が北京に王朝(清朝)を打ち立てるや、満州族をはじめとする滿洲居住民族が北京に移住した結果、満州の広野は耕作の担い手を失った。そこで清朝は農奴あるいは小作人として漢族を満州に迎え入れたのである。ところが清朝の施策を逆手に取って、喰いはぐれた漢族が満州を新天地と見做し大量に農業植民をはじめたのである。

 農民に続いた漢族商人によって、やがて満州経済は中国本土経済に組み込まれることになる。清朝の故地である満州を漢族に乗っ取られかねない情況に立ち至り、18世紀40年代から清朝は封禁策を実施し、漢族の満州への移住を取り締まることとなった。だが豊かな満州を知ってしまった漢族が、封禁策の前に唯々諾々を従っているわけがない。

  やがて19世紀後半を迎えると山東省や北京周辺の困窮化、中国本土における人口急増、漢族の経済エネルギーの高まり、満州辺境部の治安改善などが重なり、満州に、満州西方に隣接した内モンゴルに、貧民を軸にした大量の漢族が雪崩れ込んでいったのである。これが「明滿兩人種の雜居」の実態であり、原田が足を踏み入れた当時の満州は漢化されていたのである。であればこその「此地方清人等の暴慢無禮」となるわけだ。

  かくて「弓矢で中華を制した満洲族は、逆に今度は漢族によって、鋤や鍬で満洲を乗っ取られる羽目になった」(小峰和夫『満洲 マンチュリアの起源・植民・覇権』講談社学術文庫 2011年)。

 さて原田の旅に戻る。
 日本を知らないから、当然のように日本人も知らない。かくて日本人として「初めて遊?する者は彼等の善き見世物」であることに甘んじなければならない。一方、彼らは日本人を見ることで「目の正月七十五日の長命を得」たような気分になるらしい。

 ある時、「心地よく一睡」している原田を起こす者がいた。目を開けると「幾多の見物人は尚ほ傍らにあり」、眼病を見てくれ、目薬をくれとのこと。
かくて原田は「實に是等土人の押の強き無禮なる沙汰の限りと云の外はあらじ」と呆れるのだが、やはり当時の彼らにとって初めて見る日本人は薬と結び付けて考えていたということだろう。そういえば原田のみならず他の旅行体験を読んでも、薬で相手の信用をえたとか、時に旅費に代えたとか記されている。だとするなら、ことに内陸部の旅行に薬は必携だったようだ。

 ある旅店では、老婆が「手鼻かみかみ炊飯の用意に掛る其の穢き事云ん方なし」。周囲をみると「一も清潔なるものなく殊に彼等の衣類は乞食の如く今現在是れを見ては何分食ふ心地せず」。だが食わなければ旅を続けるわけにはいかない。
進退は谷まったり。
《QED》 
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)『大東亜戦争で日本はいかに世界を変えたか』(加瀬英明著・KKベストセラーズ社刊)の第五章「白人による人種差別からの解放」です。
 アメリカにおける日本人蔑視と差別はひどいものでした。
1924年にアメリカ上下院が排日移民法を立法しました。新渡戸稲造は、『武士道』の著者であり、クラーク博士に札幌農学校で学んだうえ、青年期にアメリカに留学して、1920年から国際連盟事務次長をつとめましたが、排日移民法に強い衝撃を受けて、「私は二度とアメリカの地を踏まない」と宣言したほどでした。
 東京裁判の判事の一人、オランダのレーリング博士は『東京裁判とその後』という著書で「人種差別が、太平洋戦争の主因の一つだった。連合国の国民は、日本人を人間以下とみなすように教育されていた。広島、長崎で数十万人を、一瞬のうちに殺傷したのも、人間ではないと感じたから、できたのだ。」と書いています。
さらに「日本は先の戦争を、アジアをアジア人の手に取り戻すために戦った」と述べ戦争に至った経緯を詳しく説明しています。
 明治大帝のご葬儀に弔問の使節を派遣したのは十数カ国、大正天皇の大喪の礼に弔問使を送ったのは三十数ヶ国でしたが、昭和天皇の大喪の礼には、百六四ヶ国の元首や、代表が全世界から弔問に訪れました。
百ヶ国以上にのぼる国々の大部分は日本が大東亜戦争を戦ったからだったのでした。
 日本文は、http://hassin.org/01/wp-content/uploads/Greater55.pdf
英文は、http://www.sdh-fact.com/CL/Greater5.pdf
英文は、Newsletter で海外に発信しました。
(「史実を世界に発信する会」茂木弘道)

 

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(読者の声2)とびっきりの講演会のお知らせです。
記
!)演題 「キューバの歴史」
!)講師 駐日キューバ大使 マルコス・F・ロドリゲス大使
!)日時 平成28年4月22日(金)PM6:00~
!)定員 先着90名(要予約)
!)場所 神奈川県民サポートセンター3F 304号会議室(JR横浜駅西口徒歩3分ヨドバシカメラ裏手)
!)問い合わせ先 045-263-0055



   ♪
(読者の声3)『正論』四月号に特集のあった憲法改正アンケート、識者50名の回答特集でしたが、とくに宮崎先生の御見解、胸のすくような爽快感で読みました。
国家国民の原理主義に照らせば、外国の軍隊が駐留している現状は異常であり、日本に主権があるのかと、根幹のあり方を説いた所見は、ほかの先生方にはあまり目立ちませんでしたが、先生の所論がとくに印象的と思いました。
 なるほど歴史的文脈に立てば九条改正など、枝葉の議論でしかないことがよく理解できました。
   (NK子、新宿区)



  ♪
(読者の声4)南シナ海をめぐる中国の動きを牽制するかのように自衛隊の潜水艦と護衛艦がフィリピンのスービック湾に寄港したニュース、NHKでは3分以上も報道しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160403/k10010466431000.html
 日本の潜水艦がフィリピンに寄港するのは15年ぶり、護衛艦2隻はこのあと潜水艦と分かれてベトナムに向かい、日本の護衛艦として初めてカムラン湾に寄港と詳しく報道、中国としては嫌でしょうね。
 さらに中谷防衛大臣が今月下旬にフィリピンを訪問するニュースでは海上自衛隊の練習機の映像も出てきます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160403/k10010466091000.html
 NHKが自衛隊関連でこれほど詳細に報道するとはビックリですが、NHK内部でなにか動きでもあったのでしょうか。
   (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)NHK内部にいる「良識派」が動き出したということなら、大歓迎ですが。。。。。 
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