日曜日, 12月 30, 2007

ウィンドウズ環境も安定し、CDに焼いておいたものをコピーした、クラシックMacのエミュレーターであるBasiliskIIも安定して作動している。cdrom driverをBasiliskIIに付属しているドライバーセットから、ウィンドウズのバージョンに応じたものを選び、システムのSystem32のフォルダーにあるドライバーのサブフォルダーにコピーしてやりさえすれば、BasiliskII本体の設定は、すでに苦労して設定してあり、OSのインストールも済んでいるので、GUIソフトのRUNボタンをクリックするだけで、立ち上がる。

ところで、修理のすんだMacbookにも対応したクラシック環境はないものと諦めていたのだが、WEBでみると、
Sheepshaverというフリーソフトがあって、もともとLinux環境やウィンドウズ環境でMacOSの7.5〜9.04まで動作
するものであったが、最近MacOSXにも対応し、しかもインテルMacにもバイナリで対応していると言う記事を見つけて、これだ!と喜んだ。
http://www1.kiwi-us.com/~mizusawa/penguin/html_hint/sheepshaver.shtml



ところが、以前から用意しておいたROMファイルが、パワーPCのOSX10.4では問題ないが、インテル機のLeopardでは、4MBのROMでないとダメだ、とSheepshaverの起動直後にメッセージが出て先へ進まない。この4MBのROMというのはVersion1.8でPCIMacにのみ搭載されていたものらしく、それ以前の1.6や1.4、iMac用のROMなども対応しない。他のリナックスやウィンドウズでは、こうしたROMでもいいらしい記事はあるが、レパードでは、まだ体験者が少ないせいか初めてで、面食らった。

それで、またBASILISKIIに戻るしかなく、OSX用のものを探したが見つからない。タイガーには、クラシック環境が完備しているので、いまさらそれ以上試す気にはなれない。

http://www.maccompanion.com/macc/archives/December2007/Columns/AccordingtoHoyle.htm

では、SheepshaverとBasilliskIIでは、実行速度BasilliskIIの方が圧倒的にはやいと、指摘していた。


どちらも同じ開発チームで、Sheepshaverのほうが対応クラシックOSの幅が広いだけらしい。もともとエミュレーターなんだし、OSは必要な限り軽いほうがベターな選択だと思うし、とさらにさがしたらありました。

BasilliskII-1.0-0.20060501.2.MacOSX.tar.bz2というファイルをダウンロードした。レパードにも対応しているらしい。比較的新参なバージョンらしい。昼休みに探してダウンロードしたのだが、再度探したがみつからない。会社の履歴をみればわかるはずだが。

http://gwenole.beauchesne.info/en/projects/basilisk2



自動解凍するとBasiliskII-1.0というフォルダが生成される。Sheepshaverと同じフォルダ構造になっており、BasiliskIIGUI.appというアイコンをダブルクリックすると、冒頭のほうで引用させていただいた、Sheepshaverの起動画面と同じものが現れるので、後はRomを指定し、専用のHDを適当なサイズで指定し、
CDROMから起動するようにすれば、RUNではなくSTARTボタンで、インストール用CDから起動し、作成した専用HDをフォーマットし、インストールは完了。かってのBasilliskIIに比べればいたって簡単。

ところが、再起動後、ソフトをインストールしようとCDROMを挿入すると、そのCDを認識しない。音楽用CDだと出たり、読めないのでフォーマットしますか、などと言われてしまい、頓挫。
諦めていったん撤退する。睡眠不足だし、初回にBasilikIIをセットアップしたときに比べればその1/10の苦労もしていない。



目覚めて、WEBで何かヒントでもと思って探したら、

BasilikIIでMacCDRを使う、というページを発見。知り合いの半数がMacユーザーだというので、Mac用のデータはMacで作らないとだめ?とか思ってしまい、ウィンドウズでBasilikIIの利用を考えたというスキルのありそうなお方の記事。

そこで、やはりCDを読み込む設定にしてもだめでかなり悩まれたというが(半日ほど)偶然に、BasilikIIのGUIを起動していないときに、挿入されたCDがあれば、その状態で起動すればちゃんと読み込めることを発見された、と書かれていて、先日も会社で1回だけ読み込めたので、かなり不安定だと誤解していたことが思い出された。

な〜〜んだ、そういうことか!!とわかってしまえばコロンブスの卵的な話しで、これでインテルMacでもクラシック環境(OS8.1までであるが)が継続できようというもの。それで、インストールしようと用意していたアプリのCDを抜いて、まず、8.1のアップデータからインストールすることにする。それまで読めなかった
MacPeople誌の付属CDROMから、インストール。この頃までは、アップル社は雑誌の付録などにも、そうしたアップデータを配布することを認めていたのだが、ある時期から止めてしまった。ネット環境の急速な普及とは無縁ではないだろうが、それだけでもないような気がしている。

さて、何の疑問もなく、OS8.1にアップデータを適用し無事完了のサインが出たが、今度は以下のようなアラートが出て、二度とBasilikIIは起動しなくなった。つまり、今の段階では8.0までしか、インテルMacでは運用できないということらしい。パワーPC機ならば多分大丈夫だと思うが、そちらはまともにクラシック環境が健在であるので、それ以上は突っ込まない。

しかたなく、BasilikIIを完全に削除して最初からやり直さねばなるまい。それでもダメなら、もういちど、10.5の再々インストールまで及ぶことになる。何せ、フリーソフトだし、というつぶやきをあちこちのwebで聞いたことが思い出される・・・。





ところで一度躓いたBasiliskIIのインストールは、削除してもシステムに初期設定が組み込まれてしまったらしく、二度と再インストールも予想した通りできず、結局再々のリカバリに、・・・。

それでも、リカバリ方法にもいろいろあるらしく、上書きはもちろん厳禁、古いシステムも残さず削除、新規インストールを行う。30分程度で終わった頃、システムの初期設定をするとき、タイムマシンのデータを復元するかと聞いてきたので、復元(そちらは、BasiliskIIとは、切り離しておいたので、関係なし)をクリックしたら、購入時からのメールデータまで復元してくれた。ラッキー^^);。これなら、デフラグ目的のリカバリにも重宝しそう。もちろんアプリ類も、いちいちライセンス番号を打ち込んだりすることなく、そのまま即使用できるのはありがたい。

ちなみに、MacOS8.0と8.1の違いは、バグフィクスのほかに、ハードディスクの最小単位が64Kと4kの違いだという。8.1のほうがディスクを有効に利用できる、ということらしい。いちおう、イメージファイルとして2GB容量を確保してあるので、数式処理ソフトを使うぐらいなら8.0の管理方式でも十分な筈であろう。

そこで、めでたく、インテルコアデュオ2GBのプロセッサでのBasiliskIIのスピードを測ってみた。
今回は、CDから読み込ませ、正規にインストール。マシンタイプは、自動的に判別してくれて、CPUタイプはFPUつきのMC68030だか68040と信じてインストールされたようだ。ちなみに68030はモトローラ製の番号で、インテルでは80386相当だと当時から考えていた。パワーPC版や、ノンコプロ版とかいろいろ選択して機能をインストールするように出来ているようだ。



インテル版10.5では、以前のBasiliskIIでは考えられなかったことが起こる。Mac本体に、データがあって、それをMac8.0のウィンドウにコピーしても、以前は同じアプリから開けたものが、作成情報が不明だといって、開けないのである。これでは、大変困る。全部いちいち手入力では、時間が相当かかるし、体力や視力も相当きつい。いろいろやったがだめで、MathPlayerというのをダウンロード。これで、本体側でファイルを開いておき、エミュレーター内のソフトで新規ファイルを開き、本体側の実行させたいデータやコマンド行を、コピー&ペーストさせたら、上手く行った。結果は、予想どおり、3.2Gのセレロンプロセッサの倍は早い結果がでてそれなりに満足。

ただ、もう一方のTheoristは、コピーできても認識されないので、Win版でしか使えない。インテルMacは、コアの部分で、ファイル管理というか、認識が以前とはかなり違うようだと感じている。XPからVistaに移行された方も、いろいろと面食らう場面があるとは聞いているが、インテルMacでも、不安を持っている人は少なくないかもしれない。かといって、いまさらTigerまで下げる気にはなれない。

また、レパード上のファイルの内容が、エミュレータ内にコピー&ペースト可能だったが、その後、デフォルトのスクリーンショットが機能しなくなり、再起動するまで戻らなかった。それで、このショットは再起動してからなので、メモリー管理で、マセマティカカーネルの使用メモリーは消えてしまっている。ファイルを表示する機能だけに費やされたメモリーが出ているだけである。もう、OS8.0に対応したプリンターもなく、印刷はMathPlayer(旧MathReader)でするか、パワーMacのクラシック環境で印刷するかである。

また、ブートキャンプであるが、XPSP2の完全版かVistaでないと、インストールできないので注意が必要!。私は、ホーム版に使ってしまったので、インテルMacにWinを入れるのなら、Vista版になってしまいそう。ただ、インストールは、リカバリより楽にできるので、心配は御無用。10.5発表の後、デスクトップマシンの売り上げランキングでMacがトップになったりするのは、このWinの使いやすさもかなり影響していそう。つまり、使えるソフトの数の多さでは、Macが一気にトップになってしまった、というわけだ。

これまでは、そこだけはマックファンの負け惜しみ的呟きがあちこちであったものだ。一人で使うソフトの数はせいぜい、数個から10数個だろう、ただ単に使えるソフトが多いからと言って、それだけではたいして優劣を論じても意味はなかろうと。レパードも慣れないので、今後まだ苦労するだろうけれど、慣れれば後戻りできないと思う。ソフト的には、後戻りが可能なので。梶原教授の数学道場でも、コンちゃんはだましだまし使いましょう、などと申されておりましたことが、脳裏に鮮明に残っている。

なかのひと

木曜日, 12月 20, 2007

eMachineのリカバリディスクは、ドライバ類と一体型で、以前のように後で自分で別のCDからセットアップするタイプでなく、XPのプロにしたときは、音が出ずじまいで諦めて、またホーム版に戻していた。

ところが、DVDメニューの項目を何気なく見たら、ドライバー類を、マイリカバリ用に、CDあるいはDVDに書き出す機能がついていた。それを見て、このディスクを作成したらホーム版からプロ版に移行できると確信した。

それまでは、ホーム版にプロ版から起動して、ウィンドウズの修復インストールでもするしかないと思っていて、試したら、Administratorのパスワードを要求され閉口した。これは、サポート窓口に連絡したら聞き出せるのかな、とも思った。システム情報表示パネルには、メール送信先も入っていて、ここからメールすると、個体番号などと一緒に、モデルの情報も送信されサポートされやすく設定されているようだった。

ハードオフで購入したときは、リカバリ済みとなっていてXPのプロ版を入れたら、システムが20GBほど占めてしまいなぜかおかしい、と思いフォーマットし直してプロ版を入れたのだが、音が出ず。サウンドドライバー類が単独で入手できなかったため、また、元にリカバリしてホーム版にしていて、これで行こうといろいろアプリ類をインストールして使い出した矢先だった。


以前、仕事でおつき合いした都庁のお役人で、パソコンに強い、を自認される方と食事時などパソコン談義に花が咲き、ついつい休憩時間を超過することがあった。その方は、ウィンドウズ一辺倒であったが、さすがに詳しく舌をまくほどであったが、リカバリ作業などはなんど繰り返したかわからない、と述懐されていて、そこだけは素直に同意できる話しであった。ウィンドウズ98、Meの頃の話であるが。

ドライバー類は、システム並の容量があるらしく、DVDだと一枚でよいが、CDに書き出す場合は2枚要るとのことで、たまたま未使用のDVDが一枚残っていたので、それに書き出した。焼き跡をみると、占用幅は一センチ強だった。仕事が忙しく、なかなか再インストールできず、2、3日が経過した後、やっと時間を見つけてチャレンジ。こういう作業は、時間に拘束されない時でないと、どこで失敗したか分からなくなったりするものだ。

XPのプロ版は、CDから起動させると、暗証番号など聞かずに素直にセットアップしてくれた。しかし、前回同様、一回目は、なんとかDLLがないとかこわれているとかいわれてしまい、再セットアップ。これでようやく起動できるようになった。次に、ドライバー類を書き出したDVDをセットし、ひとつづつ順番にインストールして行く。最後にオーディオドライバーを入れると、ウィンドウズ終了時から、もう終了音が鳴っているの気付く。うまく行ったと思った。

プロ版本体で2GBちょっと、ドライバー類をいれてようやく4GB台となり、私の使用環境では、以前の内蔵40GBに比べれば、夢のような広大な残り容量だ。



オリジナルのホーム版では、草原のデスクトップ画面の丘の上にeMachiesのロゴが常に置かれていたのだが、プロ版は、OEMではなく店頭での購入版だったので、普通のデスクトップとなった。今となっては、ちょっと惜しむ気持ちもないではないが、壁紙を変えて試すゆとりもなく購入時の状態とはおさらばで、これでBaffalo製のパソコンテレビが使用できることになった。

ところが、うっかりして、本体裏面のUSB装置にパソコンテレビからのUSBケーブルを差したままであったので、最初のインストールは失敗。2度目でようやく正常インストールされました、と出たが音が相変わらず出ずじまい。ウィンドウズ関連は音もでて、DVDも問題ないのに、おかしいと思ったが、原因がつかめない。

それで、製造元のサポートページにアクセスして、情報収集。中には、本体のオーディオドライバーを最新にアップデートされることをお勧めします、などというのもあり、それを試す。

Reaktek AC97 Audio というドライバーだ。グーグルで検索したらすぐに見つかり、今年の10月配布の最新バージョンをダウンロードして解凍し、インストールする。しかし、この解決法も、時系列的には、パソコンテレビが2004年にリリースされていて、当時の状況で問題なく動作したのだから、気休めではないのか、とさえ思えだした。予感は的中、結果は変わらず。もう一度マニュアルを見て、探していたら、ありました。

TVチューナーからは、USBケーブルが一本出て、パソコンへ。アンテナをつなぐ部分に、小さなケーブルが
出ていて、これは何だとたどっていったら、先端はステレオイヤホンと同じタイプで、機器類の谷間に放置されていた。これをラインインの本体裏に差し込めば、即完了。はずかしいお粗末な失敗だった。

多分、これは、XPプロ版専用と書いてあるが、1と3チャンネルに限ればホーム版でも使える、ということらしい。プロ版にすると全チャンネルが視聴できるのだが。それ以外にもあるのだろうが、プロ版の御利益は今のところ、このテレビしかないが、音が聞こえ出したら急にちゃらちゃらした日本語に嫌悪感を抱き、消してしまった。音無しで画面を10日近く眺めていたので、無音に慣れてしまい、ラジオのような喋りでないと、聞き苦しく感じてしまうようだ。CMだって、ラジオのほうが面白いようだとは日頃感じているし、・・・。

じつは、もう一枚SP1仕様のプロ版があり、前回1回インストールしたところで、今回と同様のエラー画面となり諦めていたのだが、これも裏面に傷があるものの、読み取りには問題ないらしく今度またMacにインストールするときは、こちらを使うことになりそうだが、当分ウィンドウズのインストールはごめん被りたい。じつは、Macでは、ウィンドウズを入れなくてもWinソフトが起動できるようになってきており、そちらの進歩に期待したい気持ちが強い。ウィンドウズは仕事一辺倒でシステムなどできるだけ触らずに、という使い方が最適のような気がする。Mac流の使い方をウィンドウズに行うと、必ずといって良いくらい不具合がでる、という雑誌での指摘もあった。


なかのひと

土曜日, 12月 15, 2007

MacBookの、管理者権限消滅の不具合が、意外なほど早く直り、戻ってきた。もちろん、無料。しかし、内蔵HDは完全にフォーマットされてしまい、起動してみたら、売り場で見るのと同じ状態、ガ〜ン・ショック。

データはおろか、アプリから、苦労してインストールしておいたウィンドウズのパーティションも完全にどこかに昇天してしまっていた。あれは惜しい。アクロバット8.0のプロ版を入れておいたのがパー。すべて新規まき直し。しかし、Winも予想外にまあまあのマシンが来たことだし、当分そちらで十分ではないか、とも考えた。

データもアプリ類もそっくり、外付けHDに同じものが残っている(Winは外付けから起動できないので、ハイそれま〜でよ、・・・・・)ので、さっそくパスワードもなく、起動ディスクとして指定してやると、壁紙こそ違え、まったく同じ環境が出現。ログインにこちらはパスワードを求められる。それで、こちらも上書きインストールだったので、心配だったが、ちゃんと管理者として登録されている。

タイムマシンも試してみたが、システム自体は、ウィンドウズと違い復元対象からはずされているが、アプリなどはすぐコピーして、新規にインストールされたが、すぐに新規OSがタイムマシン用に、設定を要求してくるので、オーケーしたら、11月1日いらいのデータは消え、この瞬間からのタイムマシンとなってしまったので、データなどは結局手動で復元することに。

ところで、eMachineのほうはJ3034という機種で、DVDは、ブルーレイまで対応。フロッピーはないが、いろいろなメディアを差し込む口が幾つもフロントパネルにあり、内部もHDの増設などもできるという。

ただ、一つの不満は、なんどやってもパソコンテレビの音がでず、チャンネルも1と3しか映らない。不思議に思っていて、ネットで調べようとして、箱のラベルの動作条件を何気なく見たら、XPのプロフェッショナルしか対応していない、と明記されていた。あ〜、迂闊でした。今度のeMachineは、ホームエディションでした。

それで、昔ノートのXPを買ったときもホーム版で、それをプロ版にするアップデートOSを販売していた時期があって、それを使ってみることに。Macにインストールしたプロフェッショナルもあるが、こちらで使うとそちらにインストールできなくなるので、やむなく古いXP版(たしか、SP1)をつかう。

やってみたら、あたらしいOSなので、古いOSはインストールできませんと。しかし、その詳細をみると起動順番をDVDに設定してやればそちらから起動するという。それで、F10キーで順番を変えてCDから起動。

驚いたことに、Cドライブのディスクのフォーマットが不明だとか。それで、フォーマットし直すと言う。
あ〜、また3日かかって行ったインストールが無駄になってしまうことに。



それで、インストールが完了し再起動の際に、ウィンドウズのシステムファイルの中の~.dllが壊れているので、起動できないので再インストールを、と告げてハング。しかたなく、MacにWinをいれたディスクを使用することに。今度は、フォーマットを飛び越えて、システムファイルのインストールにすぐに移行。どちらのCDも、保管がわるく、読みとり面に傷がついているので心配だ。

しかし、なんとかインストールが完了するところまで行き、再起動してプロフエッショナル版になったが、チップセットが、適合せず音そのものが出ない。安いマシンはこれだから困る。マシンに添付のドライバー類も、起動しても適合しません、とアラートが出る始末。

しかも悪いことに、一度SP1に失敗して起動しないシステムと、新規にインストールしたシステムの二つが入ってディスク容量が60GBも減っている。余裕があるのでそれでも良いのだが、何となくしっくり来ない。

起動しないシステムしかなければ、おそらくシステムの復元でもとに戻ったろうが、別の正規システムが入り、旧システムを隠してしまっていて、どうしようもない。

こうなると決断は速い。もとに戻すのだ。工場出荷時の状態に。リカバリ・復元ディスクをいれて『R』キーを押しているとてっとり早く復元してくれる。





今回始めて、最近のウィンドウズの廉価版の実態に触れたような気がした。ホームエディションはあくまで家庭でほどほどにウィンドウズ環境を利用するためのものでしかない。そのため、目的合理性精神で極限までコストダウンを図ってえられた産物らしいと感じた。日頃、会社でもDellを使っていて、国産マシンとはちがう不便さを感じていたが、やはり欲張らず割り切って使うしかないだろう。

リカバリディスク以外に、HDにも占用復元領域があらかじめセットされているので、リカバリ後半はそこから読み出すせいかやたらに早く画面表示が進行する。今終わり、再起動になり、終了音がようやくでました。いままで無音でした。

システム領域をみるとわずかに5Gを越す程度。大半の領域が復活。正確に測ったわけではないが、過去最短の時間でシステム復元が終わったようだ。こうなると、また、Macにプロフェッショナルを入れてみようか、などという気持ちにもなるが、不必要なシステムの増大には、最近反省しているところなので、直ぐという気にはなれない。



なかのひと

木曜日, 12月 13, 2007

三年弱で、ウィンドウズパソコンが起動しなくなった。特に、なければないでそれほど不便ではないと当初思っていたし、却って机上が広く使えていいとさえ思ったが、パソコン中毒者にとってはやはり寂しいし、不便と思うときが出てきた。

それで、別室に放置されていて時々使うMacノートを、半分ぐらいはWinパソコンとして使おうとして運んできていざ使おうとしたら、前からちょっとおかしいなと思っていたことが、さらに厳しい現実として現れた。

要するに、通常のユーザーとしてしか使用できず、以前から当たり前だったウィンドウズの起動すらできなくなっていた。すべて現在のままの設定でしか使えず、変更しようとしても管理者名とパスワードを要求してくるが、それをいれてもどちらかがちがいます!と設定変更を受け付けなくなってしまっていた。もちろん、ただMacとして使う分には問題がないのだが、Winパソコンが毀れた今となってはそれでは宝の持ち腐れでしかない。

パスワードなどの再設定は、起動用DVDから起動して、内蔵のHDを外付けHDあるいは増設HDとみなして、設定を変えることができるのだが、それすら、再起動にパスワードを求めてきて、入れても拒否されてしまう。

optionキーを押しながら再起動すると、Macからはウィンドウズが、ウィンドウズ状態からはMacが起動するようにできているので、それも試したが、南京錠マークが出てきて受け付けない。

それで、フリーダイヤルでアップルのサポートと電話で話して症状を訴えた。すると、以前の10.4から10.5にOSをアップするときに、新規インストールをしていない場合、そうした症状が出てくるケースがあるらしく、私は雑誌で見て、iMacはかならず新規インストールをと言うのを見ていながら、軽く考えて上書きインストールでOSのバージョンアップをしてしまっていた。

最初は、ログイン画面でパスワードなど入れなくてもよかったものが、いちいち煩く出てくるな、と思っていたら、すべてのちょっとしたシステム設定が不可能になってきていた。



アップルの回答は、アカウント画面で、所有者名の下に「通常」という文字が出ていればそうした症状ケースだという。それで、電話で話したときは、起動DVDを持参しないで、ノートを立ち上げただけで、症状確認をしてもらい、解決法を、メールで送ってもらった。

http://docs.info.apple.com/jarticle.html?artnum=306876

『Mac OS X 10.5: 管理者ユーザが通常ユーザに変わる
最終更新: 2007.11.09
Article ID: 306876
問題または現象
Mac OS X 10.5 Leopard へのアップグレードインストール(デフォルトのインストール方式)を行うと、管理者ユーザアカウントが通常ユーザアカウントに変更される場合があります。

対象となる製品
Mac OS X 10.5
解決方法
Mac OS X 10.5 Leopard インストール DVD から起動します。注記:Leopard を再インストールする必要は有りません。
「ユーティリティ」メニューから「リセットパスワード」を選びます。
画面の指示に従って root パスワードをリセットします(root アカウントはあなたのアカウントと同じでは有りません)。
Mac OS X Leopard がインストールされたボリュームから再起動します。』などと書いてある。しかし、私の場合、起動DVDからすら立ち上がらないので、修理ということで、対応してもらうことに。宅配業者が取りにきて修理したらまた送り返してくれるらしい。箱なども業者が持参するので、本体だけ渡せばいいという。
それで少し安心した。



昨日、顧客から急きょ説明を求められる事態が発生して、その日は絶対立ち寄らないエリアまで迂回しなければならなくなった。一段落してまたもとに戻るとき、数日前に適当な中古がないかチェックしたハードオフの前を通ったので立ち寄ったら、一台だけ、比較的良好なウィンドウズパソコンが、本体のみで展示されていた。もう一台は、要らないブラウン管ディスプレイ付きで2万円台のものが前からあって、セット販売なので、敬遠していたのだが、それよりちょと高い値段で、本体のみなのでスペックを見たら、セレロン3.2G、内蔵HDは200GB,内蔵メモリーも約1GBつきで、もちろんXP仕様。しかし、デスクトップはみな安くジャンク品扱いである。それで、ダメモトを覚悟で買ってしまった。

帰ってみて驚いた。キーボードやマウス(ボール式)は新品で、マニュアルの印刷は2006年11月。リカバリディスクや、ドライバディスクなどもほとんどタッチされていないような、保証書つきの新古品。

それで、いちおう幾つか使用頻度の高いソフトをインストール。HDに余裕があるので、MacのエミュレータBasiliskIIもCDからコピーして立ち上げてみた。ソリテアをフル画面モードで行っている様子で、右奥が
新しく置き換わったパソコン、eMachineです。

CPUの性能が、今までで一番早い部類なので、エミュレータでMathematicaを動かしてみたら、意外と遅い。
会社でAMD製のCPUの1G以下の速度での結果よりさらに遅く、時間のかかる計算だが、100秒を越えてしまった。以前は80秒台だったのに。セレロンは、クロックは高くとも、内部回路が少し貧弱なのかもしれない。
パワーPCの命令セットをインテルで翻訳しながら行うので、遅くて当然なのだが、ソリテアの早さで得られた早い!!という印象がものの見事に裏切られた形となった。

ちなみに、Macで、クラシック環境を起動して、パワーPC本来の動きで計算させると6秒台で終わってしまったが、このMacもいずれ寿命が来たら、古いソフトが動く環境は、インテルMacになってそれを継承しない方針らしいので、Win内でBasiliskIIぐらいしか実行環境が見つからない。



それで、Winで動く数式処理ソフトMapleは貴重だが、最近のバージョンでは値段がMathematicaなみに高くなって、私のバージョンもバージョンアップで最新版に移行できるのだが、ネットで買おうとすると、国名でJapanがはずされJamicaしか出てこず、どうしても割高の日本国内の代理店を通して買わせる算段のようだと思った。

なかのひと

日曜日, 12月 09, 2007

線形代数にそれ本来の座が与えられる   ブルバキ(数学史)

ニコラ・ブルバキ『ブルバキ数学史 上』村田全・清水達雄訳、ちくま学術文庫、2006、153p。

夜勤疲れの頭のウオーミングアップに何気なく手にとった出版案内冊子の巻頭にあった。最近、行列やベクトルがまた気になりだして、あれこれ読み返していたこともあり、思わず引き込まれた。

大学教養課程での授業では、微積分と並んで線形代数は理系の数学の必修科目だという。今でも、昔受けた数学の授業で印象に残っているのは、偏微分と行列計算の大変なことがすぐ思い出される。あの頃は、教授が書いた教科書だったのでは、と思うが今となってははっきりしない。

ところで、微積分のほうは、テイラー展開、偏微分、重責分といかにも大学の数学という内容に満ちているのに、線形代数は、講義の中味が、どうしても連立一次方程式を解くことが中心になりがちで、中学生にも馴染みがあったりして、いちおう大学なので、高次元の空間のベクトルを扱ったりするが、多次元空間と言ってもSFのような奇抜な話しがあるわけではないらしく具体的な技法が中心になりやすいのだろう。

梶原教授も書かれているが、『不思議なことに我が国の大学院入試問題は、佐竹一郎(行列と行列式、裳華房)にルーツを持つようである。出題者がこの本で勉強したのであろうか。・・・』だといい、この冊子を書かれた斉藤毅先生も、佐竹氏の前述の本と、藤原正彦氏の「線型代数入門」(どちらも、日本数学界の出版文化章に輝いた、とある)とがすでに名著としてあるのに、なぜまた線形代数の教科書を書いたか、その理由を書かれていて、なんども挫折しているものとして、つい興味深く読ませていただいた。

たとえば、以下の記述。『1年生にとっての線形代数の舞台は、座標の定められた高次元の空間という、ひとつしかないものである。2年生にとっては、いくつかの公理が満たされるなら、どんなものでも線形代数の対象となる。関数の空間でも、数列の空間でもよい。もっと抽象的に構成される空間でもよいし、構成法すら知らない空間であってもよいのである。それに応じて、連立一次方程式を解く技術ではなく、抽象的な数学の考え方を線形代数を通じて学ぶことがだいじな内容になってくる。』

梶原教授(米国数学会名誉会員)も、「新修線形代数」(現代数学社刊)中で、たとえば

『空間のベクトルは幾何学的横顔と代数的素顔を持ち、両者は全く異質に思われ、同一視することに抵抗を感じる読者が多いと思う。そして、実はこれに敏感に反応する読者ほど、数学的感度がが高い。』などと書かれている。

『かく申す私も、大学の教養の「代数および幾何学」で有向線分が、実数がみっつ並んだ数ベクトルに等しいことを先生は力説されるが、合点がいかなんだ。・・・有向線分の同値類であるところの有向線分の一つの集合がベクトルである。このベクトルを代表する有向線分のとり方に依らぬ性質こそ、その大きさと向きであり、これがベクトル固有の量である。・・・一方、空間に基底をなすベクトルを定めておくと任意のベクトルは基底の一次結合で表され、数字がみっつならんだ数ベクトルが対応する。ベクトルに対して数ベクトルが一対一に対応し、ベクトルの演算には数ベクトルの代数的演算が対応する。このように二つの幾何学的対象の間に、一対一の対応があり、演算が保存されるとき、両者は同じであると考える。これが現代数学のエスプリである。』

斉藤毅先生も御自身の体験から「一年生の線形代数は、高次元の空間を見るのが初めてだから、高次元空間のベクトルや行列をいろいろ具体的に扱ってみてそれに慣れる、というのが主な内容となる。抽象的な線形空間も扱うことになっているが、そのあたりはどうしても学生の理解度が低くなる」という。勇気が出て読み進む。

「その辺にこだわり過ぎると、学生アンケートの評価も低くなる。ところが、線形代数がほんとうに面白くなってきてそのありがたみが分かってくるのは、抽象的な線形空間を扱うようになってからなのだ。」

「数学の歴史の中で、根本的な視点の転換が度々起きている。古くは空間というものはひとつしかないもので、その中にあるものが数学の対象と考えられてきた。それがいろいろな空間を仮定して、個々の空間そのものを数学の対象の対象と考えるようになったことは、抽象化へ向けての大きな転換点であった。今でも数学を勉強して行くと、この転換点を必ず通ることになる。」

距離空間、ベクトル空間、ヒルベルト空間、プレヒルベルト空間、バナッハ空間、・・・梶原教授は位相空間の具体的なおもしろい説明を試みられている。(新修解析学、現代数学社刊)。各空間が、数学者の仕事場なのだ、という話しもどこかで聞いた。

こんど、斉藤先生のかかれた「線形代数」の本は大学2.3年生の必修科目になっている現代数学の基礎的な部分について標準的な教科書をそろえようという企画の、シリーズ「大学数学の入門」中の一冊らしい。

抽象的な話しに重点を置いた線形代数の教科書があればいいのにと思っていたというから、書店で見かけたら是非てにとってみたい。

以上は、数学教師を目指すような方向でのはなしで、工学部や他学部で、具体的な問題に線形代数を使おうという立場での話しも参考になろう。

たとえば、代表例として『工学と固有値』(線形代数ア・ラカルト、日本評論社、1981年12月号の記事から)で、甘利先生は前口上で、

『線形代数と言えば、理工系の基礎数学の華、そのまた中心が固有値というわけで、理工系の学生は固有値・固有ベクトルを避けて通るわけにはいかない。ところが固有値の意味が意外によくわからないという。これもまたもっともな話しである。固有値のしくみがすべてわかれば、線形代数がほとんど分かった、と言っていいのだし、線形代数はやさしいようでいてよく考えると存外難しいものだからである。』と。

そして、教師の教え方にも問題があり、工学部に進学してもとりあえず困らないように固有値、固有ベクトルの計算法でも教えておこう、と悟られて教えられたりしたら、イメージの湧きようがないだろう、という意味のことを述べておられる。

また、『線形代数こそは現代数学流の論理構成のひな型である』と張りきってしまい、公理からスタートして直感を排して厳密な論証に基づく統一的な理論構成云々タイプでも困る、という。話しのために、先生自身は豊かなイメージを持っておられるのに、意地悪くも(講義からの脱線が心配!?)それを隠してしまう、という。

「厳密な論証の糸にがんじがらめになりながらも、自分流のイメージを構成することに成功した学生だけが、論証をも真に理解できるという仕掛けになっている」とおっしゃる。

そして、イメージで理解する線形代数をやってみようと思う、で本論がスタート、終わりでは、思うようにイメージが鮮明かどうかも心もとない、と断りつつも、『行列だ、固有値だと言っても、線形変換の行列と二次形式の行列とではその性質がまったく違うこと、(基底を変換すると、一方はP^-1APでかわり、他方はP^tAPで変わる)したがって両者に対してまったく別々のイメージを抱かねばならない、ということである。』とされている。

もっとも、自己随伴変換の行列でなどを通じて両者が結びつくから話しはややこしくなる、とも。


なかのひと

木曜日, 12月 06, 2007




今日は天気予報どおりの小春日和となり、昼間はバイクで動くのには絶好の日和で、多くのライダー達をあちこちで見かけた。

午後3時過ぎ、仕事があと少しを残して今日はもう終わりだ、と言う頃国道16号をゆっくり音もなく走るバイクが視界にはいり、珍しい左側一本のみのマフラーが注目を引き、つづいてBMW250の単気筒バイクと認識。たしか18PSぐらいで、時速130キロ以上140位までは出る、当時としては高性能バイクだったはず、といった内容が頭をよぎる。

すぐ車列にまぎれ見えなくなるだろうと多寡をくくっていたら、見えなくなりそうでいて、ずっと視界に。それで、とうとう携帯で車内から撮影してしまった。しかも運良く交差点の停止線で並ぶことさえできた。



生憎、初冬の太陽は午後3時を回る頃にはかなり高度がさがり、車体の陰となってしまい、見難い写真となってしまったが、肉眼ではさりげなくあちこちチェック。プラグコードには所々赤のビニールテープで補修の跡があるほかは、音は静かで車内からはまったく単気筒の鼓動は伺い知ることは、残念ながらできなかった。その他はこれといって欠品や錆などほとんどない比較的程度の良好なバイクと思えた。ライダー氏は、もちろん年配の方らしい。この後静かに発進すると、次の交差点で左折して別れてしまった。運転の眠気を覚ますには持って来いの、思わぬ僥倖的な出会いであった。

この手の古いタイプのBMWに再びお目にかかれるのは、あとまた数年先かもしれない、などと考えた。

名前も製造年も不明なので、ネットで漁ったら、販売目的の写真が最初に出てきた。単気筒 250 BMWの三語で検索。

http://ichiba.geocities.jp/seiyaa_desk/bmwr26.html

には、各部の程度などが詳しく出ているようだ。本日は撮れずじまいだった、左サイドからの美しい写真であった。



http://www.occn.zaq.ne.jp/imafuku/roppow/bmwr26.htm

では、このタイプの古いものを再生した記録付きで、やはり各部のパーツや分解手順なども記されていていた。R69Sタイプのタンデムシートモデルだ。

 『この時代のバイクの再生は、どんなグレードであっても業者に依頼すれば同程度の費用がかかります。250㏄だから安くつくという事はありません。もしこういうバイクが途方もない値段で売りに出されていたとしても、恐らくその程度の出費をしているのであって、安いものは別にそれだけの手をかける必要があると覚悟して下さい。基本的にこの時代のものには中古という価値観がありませんので手をかけた分だけ加算されるものなのです。部品代はそこそこですが、かなりの技術が必要で、手間賃を加算すると再生は新車よりはるかに高く付くのです。そんな理由から、どうしてもR26よりハイグレードなR27、究極のR69Sなんかへ人気がシフトするのは仕方のない事でしょうね。』



 『キャブレターの構造上アイドリングは安定しませんが、でかいフライホイールのおかげで360rpm程度でも止まる事はありません。1秒で3回しか爆発音がしないんですよ。これだけ遅いとギアが入らなくなりますので、実用上は500rpmあたりでフラフラしているのが適当でしょう。』

 『単気筒4速は、普通につないでいくと原付バイクの様な加速感覚をします。トップまでいってメーターを見ると、まだ40㎞/h程度だったりして・・・車体がうなるぐらいまで引っ張ってからつないでいくと良いようです。音と振動で結構ぶん回している感じがしますが、そのあたりで3000rpm程度しかまわっていません。また60㎞/h以上での走行は強烈な振動の攻撃を受けます。15馬力は今の交通事情について行くには力不足です。頑張れば普通の流れについては行けますが、神経と体力をひたすら消耗する「自己バトル」状態になります。』

これは1958年型なので、15馬力ということらしい。1960年のR27で18馬力なのかもしれない。

ついでにもう一つ。ここは、BMWクラブの面々が所有する現代のBMWの写真なども豊富に掲載されている。

http://www12.plala.or.jp/bmwmotorcycle/kaiinkojini.html

『「まだ1日に1000km位は走れるよ」そして、「モーターサイクルは走らせてやらないと、どんどんだめになるから」ともいい残すと、R26独特のスターティング・ウォブルに身を任せながらクラッチを慎重にミートする。脊髄にまでフレームが貫通しているかのように寄妙な錯覚を憶えるライディング・フォームで軽快にコーナーをリーンウイズで抜けて行くオーナーの後姿を見ていると、“バイエルンの黒い疾風”と呼ぶには、あまりにものどかで、爽かな風が吹き抜けるような感じがした。』


なかのひと

水曜日, 12月 05, 2007

ネットで調べたら、最小二乗法(自乗法)について簡潔な説明があった。
http://jp.encarta.msn.com/encyclopedia_1161540033/content.html

『一般に、測定値は、真の値に対して標準偏差が正規分布するように誤差をふくんでいる場合が多い。そのような場合には、それぞれのデータと理論値との差の二乗和S(残差二乗和)が最小になるようにパラメーターpiを推定する最小二乗法を採用するとよいことがわかっている』

とか、

『具体的には、残差二乗和Sの、各パラメーターpiによる偏微分∂s /∂piが0になるようにパラメーターをきめる。理論モデルがパラメーターに関して線形である場合、すなわちパラメーターの1次式とみなせる場合、∂s /∂piを0とおいたn個の式からn元連立1次方程式がつくられるため、行列演算でパラメーターを容易にもとめることができる(→ 行列論と線形代数学)。これを線形最小二乗法という。』

とあり、さらに、非線形な場合にも言及されている。

『一方、理論モデルがパラメーターに関して非線形である場合は、∂s /∂piが整式にならず、偏微分要素がのこるため、連立1次方程式がつくれない。そこで、ニュートン法などを利用して、逐次的に非線形方程式の近似解をもとめることになる。これを非線形最小二乗法という』

などとあり、数式処理ソフトMathematicaなどでは、これにも対応している。Mathematicaでは、線形の場合でも、変数にSin[x]なども選択できて、かなり便利である。

非線形の場合は、予想される関数形を想定して適当なパラメーターを事前に選び、後は逐次近似法(あるいは反復法)で、推定誤差が小さくなるように、自動計算され、結果が逐次示されていき、そのモデルでの最終結果まで続く。したがって、モデリングが重要となる。

『18世紀イタリアの数学者、天文学者、物理学者であったR.J.ボスコビッチは、土地の測量で観測地にもっともうまく適合する値をもとめるために、最小二乗法の先駆的な研究をおこなった。また、ドイツの数学者カール・F.ガウスは、1795年から天文学の計算に最小二乗法をもちいていた。ただし、著作の中でふれたのは、1809年の「天体の運動理論」がはじめてである。彼はその本の中で誤差論を展開し、みずから測定した彗星軌道計算や三角測量に応用した。しかし、フランスの数学者A.ルジャンドルは、ガウスと独立に最小二乗法の原理を発見し、06年に公刊した「彗星の軌道決定のための新方法」の中で論じていた。両者の間で先取権論争がおこったことは有名である。一般に、最小二乗法の発見者はガウスということにされるが、公刊物にしめしてはじめて先取権を主張できる、という現在の習慣を適用すれば、かならずしもそうとはいえない。』

としているが、これは、事後法で行う裁判結果みたいな判断といえないだろうか?

数学史上では、決着がついているようである。しかし、数学者、数学史家といえども、肩入れの仕方でニュアンスに差がでるかもしれない微妙な問題を含んでいるような気もしないではない。

前回紹介した、『最小二乗法の歴史』(安藤洋美)の表紙の写真というか肖像画は、ガウス26歳(1803)のときとされている。ガウスの『天体運動論』は1809年にようやく刊行され、ルジャンドルによる
最小二乗法の粗い発表は1805年であったが、ガウスの天体運動論は実はもっと前から準備されていたらしいが、ナポレオン侵攻によりドイツは混乱していて、出版が遅れたという。ドイツ語ではだめで、ラテン語にしてようやく出版されたという。しかし、皮肉なことに、まもなくラテン語は、首座から下りて行く時代が来る直前であったようだ。

ナポレオンは1806年7月西部ドイツの16の公国を合併し、ライン同盟をつくり盟主となる。やむなく、プロシャは、ロシアと組んでフランスに宣戦布告、総司令官は、ガウスの庇護者であったブラウンシュヴァイク公であったが、10月14日、イエナの会戦で公爵は左目が飛び出す重傷を負った、という。

英国亡命中、11月10日死去。ナポレオンは占領地に戦争税を課し、ガウスの割り当ては2000フランであったが、貧乏なガウスにはとても払えず、ラプラスがパリで立替払いをした、という。ガウスは以後利子つきで、ラプラスに返済をすることになった。ナポレオンへの憎悪は、ラプラスはともかく、ルジャンドルの上に増幅される、と安藤氏は書かれている。

今回、当時の2000フランが今日の円換算でどれくらいのものであったか、私には関心があった。高木貞二先生が、ガウスの数学ノートの書き込みとして、こんなに生活が苦しいなら、死んだほうがましだ、というような書き込みがある、などと紹介されていたので、・・・。ガウスの息子の一人は、アメリカに渡り、有名な化学会社創立にかかわったりするのだが、・・・。人をやとって計算させたら?などというアドヴァイスにガウスは激怒したとも。

http://www.hpmix.com/home/komori/C5_2.htm
を拝見したら、お金の話がいろいろあり、ヒントになる話があった。

 『19世紀のフランスの文豪ヴィクトル・ユゴーは「レ・ミゼラブル」で、自らの60年を振り返るかのように、金銭をめぐる人間の葛藤を悲壮かつおごそかに描いた。ジャン・ヴァルジャンは、60万フラン(1860年頃の6億円)も、愛する者を失ったかなしみの前では何の役にも立たないと嘆いている。生きる金と死ぬ金。』

半世紀ほど後の貨幣価値であるが、単純計算でいくと、ガウスにナポレオンに課せられた戦争税は、200万円ぐらいということになる。今日では、普通車の新車並値段ぐらいということになりそうだが、
・・・。完成させた天体運動論は、ドイツ語で書かれていて、出版を引き受けてくれる業者がいるはずもなかった、と記述されている。それで、ラテン語なら、ということで、ようやく刊行へと、・・・。


安藤氏の著作では、「ルジャンドルの限界」という項をもうけ、ルジャンドルの最小二乗法は、確率的枠組みがなかった。シンプソンいらいの観測誤差論の影響は、そこには微塵も感じられない。概念の系譜からいうと、ボスコビッチの補間法の延長線上のものである。また、彼が称した誤差は、今日の残差に当たる。このように彼の最小二乗法は大いなる欠陥が見られるのにもかかわらず、適用のしやすさで高く評価された、とある。

ある程度の成功を収めたルジャンドルは、ナポレオンの没落と歩調を合わせるように、学者としての地位を絶えず脅かされるようになる。大陸各国の反ナポレオン感情の発生と、、ガウスの執拗なまでの反ルジャンドル・キャンペーンは、無関係とはいえないような気がする、と記述されている。

最小二乗法の先取権の問題について、総じてフランスの学者たちの態度は冷静、公正である、という。ガウスの戦争税を立替払いをした、というフランス数学者ラプラスは『確率の解析的理論』の第4章24節であるというが、

『ルジャンドルは観測の誤差の平方和をつくり、それを最小にするという簡単な発想をした。そうすると補正すべき要素の数と同じだけの終結方程式が得られた。この博学の数学者こそがこの方法を公表した最初の人である。しかしこのことが公表される何年も前から、ガウスも同じ考えを持っていて、ずっと使っていたばかりか、多くの天文学者に伝えていたことを注意するのが公平だろう。ガウスは「天体運動論」の中でこの方法を確率論と結びつけることを研究した。観測者たちによって認められた、多数の観測値の算術平均の規則を一般的に成立させている観測誤差のあの法則が、同時に観測誤差の最小二乗法の規則をも与えることを示した」ときわめて公正に、事実をありのままに述べている、と結んでいる。

さらに、安藤氏は、ガウスの証明は、行列やベクトルを使っていないけれども、そのまま線形代数が適用できる、という。実際に最小二乗法の研究に最初に線形代数が適用されたのは、約110年後の1935年、エジンバラのエイトケンによるという。線形代数が数学に出てきたのが1930年代とは、現代数学社の雑誌で知っていたが、・・。

ガウスの偉大さは、推論の筋をそのまま現代風に書き換えることができる点にある、という。そして、マトリクスとシステムの本で展開されているのと同様な、行列とベクトル表現が示されている。

最初のガウスの最小二乗法の三番目の証明で、「もしも誤差が正規分布にしたがうとすれば算術平均は最確値である。算術平均が観測誤差を結合するすぐれた方法として一般的に認められている。それで誤差分布は正規分布であると考えられるというのである。・・・十数年後、ガウスはこの拙い推論の連鎖に気づく。

ガウスの貢献とした12章では、ガウスの最小二乗法の研究は1821年から26年にかけて発表された『誤差を最小にとどめる観測値の組み合わせ論』三部作に結実している、とだけ紹介して、今回は終わる。

研究には、なかなか終わりというものが無いのが実感である。


なかのひと

月曜日, 12月 03, 2007

ビル・ゲイツ氏はMacOSの次期仕様をWindows NTをベースにしてMac風にアレンジすればよいと、当然の如く考えていたそうです。アップルが次期OSのコアとして、BeOS、Windows NT、あるいは NextStepのどれにしようかと模索している時、アップルCEOのギル・アメリオに強くはたらきかけていたそうで、NextStepに決めたと連絡を受けて、烈火の如く怒りを露にしたそうです。ちなみに、BeOS側(ジャン-ルイ)も自分のところのOSで決まり、と踏んでいたらしく値下げ交渉では始終強気だったそうです。ビル・ゲイツはそれで、約束していたWindows NT 4.0でもPower PC上で動作できるようにするという仕様をとりやめました。


『ジャン−ルイと一連の交渉を行うかたわら、私(ギル・アメリオ)はビル・ゲイツとも頻繁に電話で話し合っていた。ビルはあいかわらず乗り気で、契約を結びたがり、技術的な壁を克服するために膨大な人材と資金をつぎ込むという約束を繰り返した。

うまく事を進めれば、「マッキントッシュのルック&フィールを備え、なおかつ、ウィンドウズの世界すべてと互換性があり、インテルのプロセッサ上で動くOS」が手に入るかも知れない。魅力的な長所だ。おもなアドバイザーも、ほとんど毎日のように、ビル・ゲイツとの提携を私に勧めた。しかし、技術的な問題が不安だった。ビルは大丈夫だと請け合ったが、やはり大変な難題に思えた。私はあれこれ言い訳をしながら、ビルとの交渉を引き延ばし、その一方で調査を始めた。』


Windows NTがMacの次期OSとしての目がなくなったときに、ビル・ゲイツ氏はジョブズはまったくのセールスマンで、エンジニアではない、とはき捨てるように言ったそうですが、彼の評価が正しいのなら、ジョブズこそ本当のセールスマンかもしれず、(最初に、アタリ社のゲームを開発した仲間をだまして300ドルしか渡さなかった、約束では500ドルということであった)、小生がセールスマンとするビル・ゲイツは先を越されたと思っているのでは、と思います。ビル・ゲイツは天才かもしれないが、すべてをマイクロソフト社で、というのでは無駄が多すぎる、と思います。事実、ジョブズは、Next のカーネルにMachをうまく取り入れているし、ビル・ゲイツ氏自身、MSDOSを作るとき、ある技術者が作ったものを、IBMが望んでいることはおくびにも出さず、安値で買い上げ修正してIBMに納品し、今日の繁栄の基礎を作りました。アップル社も、現行MacOSの基礎はゼロックス社のパロアルト研究所で原型ができあがったものにおよそ3年近い年月と当時の最良といわれるエンジニヤ達数百人を投入して初代Macへと至るのですから、マイクロソフトにいながら、再挑戦してもマイクロソフトを越える製品の再創出はかなり困難ではないか、と思います。だれが関わるかで、ほとんどすべて結果が決まってしまっているのです。

アップル薄氷の2000日だったと思うがそれを読んで、知人に紹介した1節。ビル・ゲイツ氏自身の愛機が
Macだとは昔から有名な話し。それで、何とかMacを吸収しようと手だてをあれこれ考えたのかもしれない。

しかし、技術的に不安だとアップル社のアメリオ社長は考えたというが、その原因にはあえて触れずに終わっている。それをいうと、Windowsの本質を言ってしまうことになるからなのかもしれない、と考えている。スカリー社長(スティーブ・ジョブスを追い出したアップルの社長)のときも、すでにインテル機、要するにIBM機で動くMacは出来ていて、いつマイクロソフトと合併してもおかしくはなかったそうだ。そうしたら、ウインドウズは、Macライクだったかもしれない。

土曜日, 12月 01, 2007




素人にとって取っつきやすい行列の応用は、連立方程式を解くことだと思う、というか少なくとも私にはそうだった。

一番簡単な一次式のy=ax+bタイプに問題が還元され、後はそれを小学校以来身に付いている算法にしたがって解けばよい。最小自乗法も行列を使って解くようなので、なんで連立方程式の解法がでてくるか、素人の頭にはピンとくるものがなかった。それで、少し行列を勉強する気になった。

マイコンからパソコンに代わる頃かもっと前に、パソコン雑誌の常連に近いあるライター氏が、アスキー社の雑誌か何かに、最小自乗法のやさしい解説を書かれていて、その時はわかった、と思っていたが、改めて素人にわかるように説明を考えると、意外とむずかしい。そのライター氏も、解説の途中で、数学者矢野健太郎になった気分だ、などと書かれていた。氏は、インテル社の80386CPUの解説を講談社のブルーバックスに書かれた方だが、残念だが、氏名はどうしても出てこない。

ブルーバックスに書かれたことは記憶しているので、全目録をしらべたら、ありました。1988年9月20日、32ビット・パソコン入門とか、林晴比古氏でした。その後どうされたか、ついでに探したら、プログラマー向けの解説本をかなり手がけておられるようでした。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/%97%D1%90%B0%94%E4%8C%C3/list.html

ただ、その本の中だったかどうかは、忘れたが、シャンソン歌手のイベット・ジローを長い間、男とばかり思い込んでいて、ある日恥をかいた、と述べられたことを記憶している。竹下氏が消費税導入をはかった頃だったような記憶もあるが、・・・。その記憶は長く新鮮で、私はジロー氏のシャンソンは、ポルトガルの4月ぐらいしか知らないのだが、LP盤で聞いて知っていたので、ほほえましくおもっていた。しかし、私もある女性研究者の共著論文を送ってもらって、連名のベラ・スキ氏が女性なのか男性なのか妙に気になり、問い合わせたら、変なことに興味をもつ変な人間と思われてしまいました。いちおう、男性らしいですが、・・・。

Σ(iー(axi+b))^2、iは1からnまでの和を最小ならしめるaとbを求める問題で、算術公式ではxとyの平均値を求めてからの公式が多くの本に出ているが、慶応大学の工学部大学院の入試問題にもなった経歴をもつ由緒ある問題で、梶原教授の「独習微分積分学」では、偏微分の解説の中にお目見えする。偏微係数f(aとbにおける)がゼロのとき、最小となる、とヒントが・・・。かのライター氏の解説もこれと変わらないものであったが、なぜ行列が出てくるのか!?が全然ピンとこないではないか?

いったい行列ってなんだろう。梶原教授は、行列と行列式
をいくら口を酸っぱくして言ってもわきまえぬ学生がいて、そういう場合は悩まず落とせるが、それでもいやになるなどと述べられている。先生によれば、行列はいわば絵であり、行列式は数値であるとの特徴抽出を試みられている。




以前引用した、須之内先生のBASIC言語で、行列計算をするプログラムを、マックで数式処理ソフトが使えるようになる1994年ごろ
まで使っていたらしい。記憶から消されてしまっているが。1990年にでた
『マトリクスとシステム』という本を、思い出して開いたらBASICで解いたのと、数式処理ソフトで解いたものとの比較が出てきた。



教科書の出力と比べると、BASICプログラムでの数値の粗さが目立つが、これはまだマックを買ったばかりの時点で、98で出力したからだと思う。いちおう倍精度で計算させていたようだが、中央大のたしか西見先生かどなたかが、NECのBASICには数値計算のバグがある、ということをマイコン関連の雑誌に投稿されていて、気になりだしていた。

うちの98はまだ80286搭載で、386は入っておらず、そのせいでもあるまいが、大学の先輩のところへその記事を持って行き、同様の計算をさせても指摘されるようなバグがあるような結果は得られず???、にやりとした先輩は、秋葉原でコプロを買ってきて入れているのさ!と涼しい顔をされていた。もちろん、家での98にはそのようなものは入っていなかった。マックの世界では、ソフト的にコプロの役割をするソフトがあったが、(計算時間はかなりかかる)、
それはまだ少し後の話である。

数式処理ソフトとして使用したMathematicaとTheoristも、どちらもコプロ付き用と、コプロなし用とバージョンがわかれていた。パワーPCになって、その区別がなくなり過去の話の時代となった。その頃は、こうした理工系の本も、ミスプリはともかく、使用したソフトやハードの違いからくると思われる、小数点以下の数値の細かな差などけっこう気になっていた時期がある。







この本は、原題は「マトリクスと微分方程式」として印刷され、発売時にカバーと題名をこのように変えたらしい。巻末の奥付をみると紙が貼ってあり、最初の原題を隠してあったが、もちろん私もシステムという言葉に引かれて買ったので、システムが入っていない当初の書名だったら、はたして手にとったかどうか疑わしい。

いずれにしても、数式処理ソフトが登場以後、アルゴリズムやハードの違いを吸収してどのハードでも同一の結果がでるようになってきたので、より本質的な問題に集中できるはずなのであるが、なかなかそういうわけにもいかない。使う側のモチベーションが大半だからだろう。