火曜日, 2月 12, 2008
観測方程式による水準網平均(Adjustment with derived observations)
前回引用した、田島・小牧共著「最小二乗法の理論とその応用」の後半部分にある「第11章 測量の分野における最小二乗法」から、観測方程式のみによる網平均の計算例を取り上げる。数式を見やすくするために、数式処理ソフトTheoristを使用し、処理の流れを見ることにする。
行列計算を式の通りに行い理論的理解に主眼をおいたので、最も効率的なプログラムというわけではない、と断り書きがしてある。
標高のわかっている既設点P0から出発し、新設点P1、P2・・・の標高を決定する。観測8路線、未知点5、条件数3(交点をもとめ差をもとめる)、路線距離、観測の比高(出発点と到達点の高低差)、近似標高から
測量した通りの「観測方程式」を作り、最小二乗法で解く1例。
見やすくするために、Mr.Boo氏の作成されたエクセルによる処理画面から、必要な情報を読み取れるように借用した。
aは計画行列の転置で、かけ算の順番の最初に来るので転置して入力した。その元の要素は観測方程式の各式を偏微分してえた結果で、該当する部分のみ、1か-1となり、他はすべて0となる。(テーラー展開の一次項で線形近似、AXからくる。両者はマトリクス。テーラー展開は素性のわからぬ関数を多項式で近似して、その輪郭を探るもの、という。「独習 微分積分学」 梶原譲二 現代数学社 1982)未知の補正量であるが、近似がよければ微小量ということで、より簡単なかたちに割り切る。
pは重み行列で、各路線の精度が路線距離に反比例するとされているので、各路線の観測の精度を統一するためになくてはならない。対角的に入れたのは、相互に無相関という前提で。計画行列と重みがきまれば後は公式どおりに行列計算だけで解が求められる。
tは本来の計画行列で、これは各最小二乗法での定法。左から順々に計算していく。Theoristでは、式をクリックして選択し、メニューから計算を選べば積が出力される。エクセルで手動で行っても可能だし、そのほうが、入力データの変更などはたやすいかもしれないが、要は好みと慣れでしょう。工夫一つでエクセルで大抵の統計処理は可能のようですが、・・・。エクセルも、Mac向けに当初開発されて、・・・一度、すべてのMacに採用するなどという話しもあったらしいが、アップルがこの約束を果たさなかった、という。
l は観測方程式の常数項を10,000倍して0.1ミリ単位であらわしたもの。
近似標高は、古い測量で求められていた成果値だという。今回新しく計り直して、経年変化を補正する。新設の水準点標高を求める場合は近似標高を0としても十分の精度で結果が得られる、という。(線形モデルのため)
nはいわゆる正規方程式。観測方程式から、最小二乗法の過程の偏微分を経て導出されるので、以後機械的に
というか公式そのもの。そして、nの逆行列を求め、観測方程式の常数項ベクトルに重みづけしたベクトルとかけ算をして、求めたかった推定値を得る。近似標高に、その推定値を加え、それぞれ
P1 17.148614
P2 2.858234
P3 5.577315
P4 1.948829
P5 3.302896
という結果になる。精度の算出は別の機会に。
Theoristでは、逆行列もa^(-1)として入力しておけば、代入によりaの逆行列が表示されるので、後はメニューから計算を選べば、結果が得られる。梶原教授によれば、最もMac的なソフトで、式の代入も、将棋を指すかの様な、代入すべき式をマウスで押えたまま代入すべき場所に移し、マウスを離す、ドラッグ操作で済む、つまりWYSIWYG(What you see is what you get.)で、見ての通りの結果が得られる、呪文のタイプの必要は全くない、と紹介されていた。
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2 件のコメント:
Natureさん、こんばんは♪
いつもコメントありがとうございますm(__)m
大兄の数学系のブログには、知識が及ばずコメントすらできずに申し訳ないです…(^^;
例年にない雪のあとには寒波が訪れ、まだまだ寒い日が続きますね~。
そうはいっても、これからしばらく晴れマークの天気予報が続くので、多少寒くても週末が楽しみです♪
今週末の土曜は、四輪インテグラの車検のため整備工場に持ち込み予定です。これで午前中はつぶれそうなので、午後CBに乗るかどうかは気温次第ということになりそうです。
今年は車検もあるし、保険に税金と、この時期はお金がかかりますね。CBの車検は来年なので、重ならずに助かりました…。
寒い冬は暖かい日が懐かしいのですが、暑い夏には寒い方がまだマシだと思うのですから、人間わがままなもんですよね(^^ゞ
こちらこそ、コメントありがとうございます。
寒いから、とかお金が十分でないからといって止めるわけにはいかないことが、現代生活では多すぎますね。
昔の3種の神器の頃、日本人の生活は実にシンプルで、公害も、温暖化もなかったのですが、いまは、真冬でも電気使用量が過去最高を更新とか。
原発なしにはたちゆかず、という状況でもおいそれと新聞などはパラダイムの変更には手がだせないようです。
ウラン以外の有望な原発材料がみつかり、埋蔵慮も豊富で、廃棄物もすくない物質が見つかったそうです。
だんだん便利になりますが、海水中の重水素から無尽蔵にエネルギーをとり出せるようになると、地球がその熱で人間が生きていられなくなるそうです。
太陽の寿命が尽きるずっとそれ以前に人類の存続が不可能な事態に進んでいっている、とも。・・・ばら色の未来図は描けない世紀ですね。
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