火曜日, 4月 18, 2017

学会発表がおわって

23年ぶりの学会発表だった。だから当然と言うか時代の流れを強く感じた。小生の後を継いだ講演者も4半世紀前から同じ方だったし、当時は講演が終わるとその人が座長代行となって、次の席順の紹介と司会をするというスタイルは廃されていて、数名あるいは10名程度のグループ毎に学会当局から指名された方が座長を勤める、というスタイルに変っていた。私のグループは北大のかたで、数名の発表がおわると席をたっていってしまった。

私の発表がおわったら名前は知らないが、小生の指導教官を存じている当時の方が小生とその指導教官の書いた文章を参考にしたというような思い出を語ってくれた。次の方が壇上から、私を覚えていますかと!?と聞かれて、覚えていますよと叫んだ。

そういえば、小生が最後の学会発表をした時は、ブルガリアのプロブディフ工科大でその時も偶然小生の発表が終わると同時に座長を努めることになり(これは事前に事務局からつたえられていたが)数学の専門家では決してない小生がそのあと数人の講演者の司会といういう難行苦行を行うことはかなり辛かった。おまけに飛び入りで目録にない、米国ミシガン州立大の数学科の方がなにやら発表するというので、緊張もした。

ただ、その頃はタイム誌を読んでいて一時話題になったユナボマーがFBIに逮捕された記事やポーランド系とされるその逮捕情報なども知っていたので意外と気はらくだった。ただ小生の時の座長は韓国人だった。どういうわけか、ミシガン大の男性のあとはトルコやイタリア、ユーゴスラヴィアやそれ以西のクロアチアあたりからの女子学生らがいたが、目を奪われた。

この記事は元指導教官からの返事待ちの間に書いたが、昨年春に今年の学会で懺悔発表をしなくてはと速報を送り、吟味の結果小生の早とちりと判明したので、また1日に三葉のハガキを書いて訂正を送った返事の返信が届いた全く同じ日付となった。(20060412v.s.20070412)

今年の発表で大いに参考にした論文の主要な著者が昨年暮の12月8日に90歳でお亡くなりになり、本日公表された渡部昇一教授とほぼ同年齢ぐらいの指導教官は、昨年の春に今後の対応は困難だから全て自力でと念押されていて、その後の様子は知らず(賀状はきたが)心配な側面もあり、一報しておいた。

結果は、心の中で予想していた通りの返信となり、来年も未完の続報を自力で発表することには変わりがない。しかし、過去に発表した仮発表は一応終わっているが論文に昇格させる過程で当時かなりの難題に突き当たりその処理ないし迂回回路に自信が持てないことからズルズル引き延ばしていた面がかなりあった。

今回の発表は当時から狙っていた面を恐る恐る公表したが、時の変化の影響はおそるべしで、皆自明の事のように受け止めている様子だった。

すると
以前示した
1)幼齢林分の現存量、とくに樹皮呼吸量推定のための非光合成器官の直径分布、年齢分布。

が重要になることがわかる。今回の発表も割り当てたブースも気がつけば23年ぶりであろうとなかろうと周りは間伐問題が多かったし、メンバーは新顔が多いことは当然としても森林の取り扱いによる生態の有様を扱う一部門に属している。

大学は林学科を出たが、院での専攻講座は当時の主流の森林生態学で、物質生産が主流とはいえ、遺伝関係、土壌関係、森林生態系と別れ、たまたま森林生態系が看板となっていた関係で、生理学をやりたいなどと言い出してとりあえずそれで学位を取るには設備が備わっていないから、と森林生態をやることになったが、学部でそれを体験していないから、取り掛かるまでに無駄な何年か何十年を要してしまった感がある。

今から思うと指導教官が先に提示した課題も結局生態畑での基礎教育課題であったように思う。

森林の成長の物資的基礎

少し内容が古いがそのまま記述する。
すでに述べたように、炭酸同化によって作られたものの全部が木材になるのではなく、粗生産としての炭酸同化量(光合成量)のうちから、葉や枝を作るとか幹や枝が生きてゆくための呼吸に使われるといった いわば 生産費的なものが必要だ。だから 粗生産だけをおさえて生長を論ずるわけにはいかない。このような関係をBOYSEN JENSENは次の式であらわした。

   生長+タネ=同化生産物ー[落葉・落枝 +(枯れる根)+ 呼吸による消費]

この式のすべての項は乾物量で表される。

この関係は 孤立した植物にも群落(林分)にも当てはまる。乾物生産量はこの式のすべての項の大きさによってきまるわけで、乾物生産量を求めるにはこの式のひとつひとつの項の値を求めねばならぬ。そうしてはじめて なぜ物質生産量がある条件のもとでは大きく、ある条件ぼもとではすくないかを 知ることができる。




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