『近代自然科学を先取りした薔薇十字運動
フランシス・イェイツの独創性は、17世紀の薔薇十字運動がたんなる神秘主義・魔術の運動ではなく、その後の西欧世界を塗り替えてしまう近代自然科学思想を先取りする運動であったことを見抜いたところにある。彼は近代科学を準備したのは、俗説によると科学とは全く対照的な魔術的な世界観であったことを薔薇十字運動を例にして解明したのである。逆にいうと、西欧近代の代表的な学問大径である自然科学の核心に、西欧神秘主義の根が深く入り込んでいることになる。ルネサンス以後の西欧神秘主義を理解するには、その点に留意することが不可欠となる。』
何で読んだか忘れてしまったが、多分フリーメーソン関連書籍だろう。某東大教授の文章と記憶する。なんとなく昔からヨーロッパ科学なるものの奥義というものに、漠然とした幻想を抱いていたので、印象的であった。それで、フランシス•イェイツって、男だと無意識に思っていた。あるパソコン雑誌の常連だった人が、歌手のイベット•ジローを長い間男と勘違いしていたように、‥‥。ポルトガルの4月などはよく聞いていたので、私は間違わなかったが。外人さんの名前は、むづかしいことも多い。ある助教授氏(女性)が書いた論文を頂いたとき、共著者にベラ•スキ氏という方がおって、思わず性別を聞いてしまったが、皆さんはどっちだと思われるだろうか。
ところが、最近『フランシス•イェイツとヘルメス的伝統』なる翻訳本が発表され、書評を何気なく読んで女性であったと知り、びっくりした。
http://ja.wikipedia.org/wiki/薔薇十字団
http://inri.client.jp/hexagon/floorA7F/_floorA7F_rosicrusian.html
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0417.html
渡部昇一教授は、たしか『知的生活』の中あたりで、
『アイデアの根源的故郷
”発想の井戸”(強烈な偏見)として、二つの対照的に異質なものをあげておきたい。一つは、「オカルトの世界」から来るものであり、もう一つは「仕事の世界」から来るものである。
アイデアそのものが、天の一角からやってくる感じがするものであるが、それはとりもなおさず、アイデアの根源的故郷として、あるいは尽くることなき水源地としてオカルトの世界があることを暗示する。この場面のオカルトは、いわゆるオカルトのほかに、宗教をも含めるものと考えてよい。
たとえば、ヨ−ロッパを旅行してまわるとする。 ・・・その背後にある発想の根源を考えさせられる。そこにはキリスト教、特にカトリックの信仰−その内容は真正のオカルト、つまり玄義と呼ばれるものである−があることに気づくであろう。』と書き、オカルトの世界の存在を強く滲ませている。俄に素人には近づきえない世界ではあろうが。
西洋の学問について最初に魅了された例は、強いて言えば小学校の国語の教科書か何かに載ったデンマークの工兵士官ダルガス父子の話であろうか!?
10年ほど前、古本屋で岩波文庫で見つけ出し読んでみて思い出した。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000034/files/233_2992.html
『若きダルガスはいいました、大樅がある程度以上に成長しないのは小樅をいつまでも大樅のそばに生(はや)しておくからである。もしある時期に達して小樅を斫(き)り払ってしまうならば大樅は独(ひと)り土地を占領してその成長を続けるであろうと。しかして若きダルガスのこの言を実際に試(ため)してみましたところが実にそのとおりでありました。小樅はある程度まで大樅の成長を促(うなが)すの能力(ちから)を持っております。しかしその程度に達すればかえってこれを妨ぐるものである、との奇態(きたい)なる植物学上の事実が、ダルガス父子によって発見せられたのであります。しかもこの発見はデンマーク国の開発にとりては実に絶大なる発見でありました、これによってユトランドの荒地挽回(ばんかい)の難問題は解釈(決?)されたのであります。』これは小学校4年生にとって、実に不思議というか瓢箪から駒というか、面白いと思った記憶がある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ユグノー
『彼の祖先は有名なるユグノー党の一人でありまして、彼らは一六八五年信仰自由のゆえをもって故国フランスを逐(お)われ、あるいは英国に、あるいはオランダに、あるいはプロイセンに、またあるいはデンマークに逃れ来(きた)りし者でありました。ユグノー党の人はいたるところに自由と熱信と勤勉とを運びました。英国においてはエリザベス女王のもとにその今や世界に冠たる製造業を起しました。その他、オランダにおいて、ドイツにおいて、多くの有利的事業は彼らによって起されました。旧(ふる)き宗教を維持せんとするの結果、フランス国が失いし多くのもののなかに、かの国にとり最大の損失と称すべきものはユグノー党の外国脱出でありました。』と
http://www.aozora.gr.jp/cards/000034/files/233_2992.html
にも触れているように、デンマーク語で書かれた欄にも、
”Enrico Mylius Dalgas er efterkommer fra én af de franske Hugenotfamilier, der flygtede fra fædrelandet i 1685. ”と真っ先に書かれている。
flygtede fra fædrelandetとは、fædrelandet(父の国、すなわちフランス)からのflygtede
(refugee、避難民)であった、ということらしい。
因に、HEDESELSKABETとは hede(heath)+ selskabet(society)らしく、その初代会長を勤めたことから、日本で言えば本多静六博士的人士ということになろうか。もっとも、その精神の有り様は、かなり違うようにも思えるのだが。
http://ja.wikipedia.org/wiki/本多静六
しかし、国を守る、豊かにするという点では洋の東西も発想には差がないだろう。
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-1019.html
『「靖国」、つまり国を平和に安らかにする、そうするにはどうすればいいか、そんなこと考えながら、じっと靖国という字を見ていたんです。
そしたら、思わず笑ってしまいました。
「青を立てる」これが靖国なんですね。
なんだ、自分のしてきたことでよかったのだ。
笑いながら久しぶりに涙をこぼしました。』
土曜日, 10月 09, 2010
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