木曜日, 4月 19, 2012

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成24(2012)年4月16日(月曜日)
      通巻第3624号    <特大号>
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 薄瓜瓜、ハーバード大学に現れず、豪華アパートも引っ越し
  英紙「テレグラフ」は政治保護を申請、韓国人同級生等と逃避行
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 マサチューセッツ州ケンブリッジの七階建ての豪華マンションは七階建て、フィトネス倶楽部付き。家賃はウォールストリートジャーナルの調査で毎月2950ドルと判明した。大学院卒業直前、薄瓜瓜は、このアパートから消えた。引っ越しには民間警備会社のガードマンが付き添った。

 英紙テレグラフは薄瓜瓜は同級生の韓国人留学生(男)ととくに親しく、また同級生の多くが国際ビジネスをすでに始めているなど、商業コネクションが多彩であり、政治的保護を申請する傍ら、失脚した父親のコネを使わずに、これからの人生を送りそうと報道している。

 同時に殺害された英国人ニール・ヘイウッドは「シアン化合物」による毒殺と中国の捜査当局が発表した。ニールは薄夫人の谷開来が、およそ8億ポンドの資産を海外に隠匿する作業を手伝ったことも判明した。

 また薄き来の兄、薄シヨン(音訳不明)はリー・シェーインという変名を遣い、香港で「中国エバーライト・ホールディング社」重役。年収が170万ドル、ストックオプションが2500万ドル、ほかに香港建設公司の副社長を兼務しているなど内部情報を香港の「明報」がつたえた。

この明報によれば谷開来の姉ふたりも香港で八つのベンチャーキャピタルを運用しているという。
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◆BOOKREVIEW ◆書評 ◇しょひょう ◇ブックレビュー ★
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歌舞伎は滅びるか、滅びないか。封建主義の残滓か、ドラマ仕立てに刷新するか
 芸術を巡る哲学的文学的探求の連続対談が一冊にまとまった

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福田恒存『福田恒存 対談・座談集(第五巻) 芝居問答』(玉川大学出版部)
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 本巻は最初から最後まで徹底的に演劇、芝居、脚本を巡っての対談、座談会からなる。こうやって一覧すると、福田さんはかくも大勢のひとと演劇論を闘わせていたのかと、ほとほと感心するのみか、劇団を命がけでおやりになっていたことが了解できる。

ともかく三島由紀夫とは演劇をめぐってのライバル関係にあって、熾烈な論争、激越な対談かと思うと、そうでもなく、だからといって和気藹々でもなく、歌舞伎を論じては奇妙な意見の一致もある。

福田が「歌舞伎座は観光バスの停留場になってしまっている」と嘆けば、
三島は「歌舞伎のエロティックな魅力は、もういまの歌舞伎には、殆ど求められない」とあうんの呼吸。
福田は「歌舞伎は戦後、急にダメになったのは占領政策により封建的、仁義忠孝などを教えてはいかんということで一時潰れそうになったが、あのときに歌舞伎俳優ももった劣等感」があると指摘する。
対して三島由紀夫は「それが困るんだ。あんなに古典主義を知らない古典芸術はない」とこてんぱんに批判しながらも、福田の「このまま言ったら歌舞伎は滅びる」という所論には反論して、三島はこう言う。
「絶対滅びない。歌舞伎滅亡論というのは、明治から何度あるか分からない」(中略)けれど「いつの間にか盛り返している」。
こうした演劇論議、やはり丁々発止となって続く。 
ほかに登場する論客等は小林秀雄、中村光夫、大岡昇平、武智鉄二、遠藤周作、福原燐太郎、浅利慶太、杉村春子ら。
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◆BOOKREVIEW ◆書評 ◇しょひょう ◇ブックレビュー ★
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 メルケルもサッチャーも、そしてガンジーもペロンも
  次に女性宰相が生まれるのは米国、韓国より日本が先になる可能性がある

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加藤清?編『女性宰相待望論』(自由社)
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 正式な題名はチト長い。『時代が登場をうながす女性宰相待望論』となっている。
 女性は本能で対応できるから、危機には強い。「空っぽな総理」より、女性政治家にダイナミズムがあるのも、しがらみが少ないからでもあろう、とするのが編者の立場。
 しかも本書はタイミングをはかると絶妙な刊行時期である。
ユーロ危機に陥った欧州をたくましく牽引するドイツの首相はメルケル女史。決然としてユーロには加盟せず経済主権と独立を守ったのは英国の女性宰相サッチャー。おりから名優メリル・ストリープ主演で映画になって長蛇の列。ちなみに映画を一年に一本ていどしか見ない評者(宮崎)も映画館へ足を運んだ。
 そして一月には台湾で女性宰相が誕生寸前というところまで善戦した。タイには美人の宰相がうまれ、年末の韓国大統領選では、たぶん間違いなく史上初の女性大統領=朴権恵が登場するだろう。
すでにアジアではバングラデシュ、スリランカ、インド、タイで女性宰相、もしくは元首の出現をみており、アフリカや南米諸国でもつぎつぎと誕生しているではないか。
この文脈に立脚して、時事通信社の解説委員長である加藤清?氏が次の九人の女性政治家と対談した。
 小池百合子、ありむら治子、丸川珠代、高市早苗、稲田朋美、亀井亜紀子、山谷えり子、佐藤ゆかり、三原じゅん子(敬称略、順不同)。
 この人選が順当かどうか、あるいは小渕優子、野田聖子、片山さつきの名前がないではないかと不満な読者もいるかも知れない。田中真紀子の名前がないのは当然であろうが。。。
しかし推薦文に安部晋三元総理が言う。「我が国初の女性宰相は必ずこの九人のなかから出る」と。
 インタビューアーの加藤さんは最後のこう言う。
「サッチャー首相の発言で『言って欲しいことがあれば、男に頼みなさい。やって欲しいことがあれば、女に頼みなさい』という有名な言葉がある。(中略)九人の議員はいずれもエレガンスでかつ大変な勉強家、その上、筋をきちんと通す」
 「本書を単なる時流に乗った女性論ではなく、将来を見据えた女性論の一つと理解」するならば、同時に九人の女性政治家との対話から、明日の日本の政治刷新のビジョンが提示されている。
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 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 739回】      
     ――勇壮極みない“激語”の連続にホトホト呆れ返ります
『太平軍在河南』(王天奨 河南人民出版社 1974年)


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「清朝地主階級政権の暗黒統治の下で、圧迫・搾取されるという痛苦極まりない生活を強いられていた」河南人民の前に颯爽と現れたのが、19世紀半ば、『論語』と『聖書』を混ぜこぜにしたような教義を引っ提げて広東省の西隣に位置する広西・金田で洪秀全が旗揚げした太平天国の軍隊だった。

学校で「太平天国の乱」と学んだと思うが、それは清朝=秩序=正義の立場からの寝惚けた歴史観のなせる間違った考えだ。太平天国は農民による起義であり、悪である清朝に立ち向かう英雄的行為を「乱」などというべきではない。革命と高く評価すべきだ。
かくして「太平天国革命」となる。これが共産党史観というものの“真骨頂”なのだ。

「中国歴史故事」と銘打たれたこの本では、先ず当時の河南の情況を、「地主、高利貸しと商人が手を結び、人民の生活困窮を尻目にアコギな振舞いを続けた。1千貸したとして、実際は8百しか与えない。利息が利息を生んで、1年後には利息だけで元金を上回る。期限がきたら、地主が飼っている狗腿(ゴロツキ)が催促にやってくる。
同情は一切なし。農家の豚、鶏、布から食糧、農具にいたるまで、借金のカタに一切合財を持ち去り、大多数の農民は止むにやまれず娘を売り、田地田畑を売り飛ばし、返済に当てる始末だ」。かくして農民は貧しく悲惨な生活を強いられ、暗黒の日々に塗炭の苦しみを味わうこととなる。

そこに太平天国軍が「天朝田畝制」を掲げて登場する。地主をぶっ殺し土地を取り上げ農民に平等に分け与えようというのだから、まさに毛沢東が進めた「土地改革」の原型なのだ。
地主に対する恨みを晴らせる上に土地がもらえるわけだから、農民は歓喜して太平天国軍に加わった。かくて太平天国軍は瞬く間に長江の南――ということは中国の南半分を押さえ南京を都に定め、北京に在る異民族=満州族の清朝廷室に対峙する。

「太平天国軍の北方の敵を撃ち西方に進発する輝かしい勝利は、全国各民族人民を最高度に鼓舞し、南北各地の人民は奮起して清朝による反動統治に造反し、数多くの新たなる武装起義を巻き起こした」わけだが、「反動統治階級」がそう簡単に引き下がるわけがない。 

河南では、?地主と「反動的官衙」がゴロツキを集めて武装勢力を組織し、?武装勢力を使って「恐怖の白色テロ」を敢行し(たとえば言葉使いが河南人に思えなかったら、地主の武装勢力は法的手続き抜きで捕縛・死刑が可能)、?黄河の防備を固め太平軍による南方からの河南省への進路を阻み、?山東、河北、山西、陝西など周辺緒省から「反動軍隊」の増派を求め防備を固めた。

かくて「偉大なる太平天国革命運動が過ぎ去り、すでに百年以上。
この百余年来、我が国人民の帝国主義と国内反動派に反対する闘争は止むことはなく、遂に偉大なる領袖である毛主席、偉大で正確で光栄ある中国共産党の領導の下、人民民主革命の偉大な勝利と社会主義の豊かで圧倒的な大道を胸を張って前進するに到った。

今日、国内外のこのうえなく素晴らしい情況と社会主義革命の深化する日々、雄々しく前進する社会主義建設の凱歌のなかで、百数十年前の太平天国における英雄的闘争の歴史を再び学び、河南人民の革命伝統を受け継ぎ発揚し、精神を煥発させ、政治工作に努め、偉大なる社会主義事業、世界革命のために更に大きな貢献をなそう」と、太平天国軍の歴史も総括されることになる。

そこで彼らは中国には「偉大なる領袖である毛主席」と「偉大で正確で光栄ある中国共産党」が断固として必要と主張する。だが身勝手千万な屁理屈は、傍迷惑でしかない。
《QED》


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(宮崎正弘のコメント)太平天国の洪秀全を最近、きわめて高く評価する共産中国ですが、南京の「故宮」の中庭には巨大な銅像が、壁の彫刻は太平天国の英雄視、そして洪秀全が座った「玉座」なるものも残ります。
広州の北、花都区には洪秀全記念館があり(中庭付きの二階建て)、さらにタクシーで四十分ほど飛ばした田舎に「旧居跡」のおおきな記念館があり、ここでも巨大な銅像が周囲を睥睨しています。ただし見学者は殆どいません。
(下のサイトに洪秀全記念館を含む小生の広州紀行文と写真があります↓)。
 http://miyazaki.xii.jp/travels/index.html
 (「広州紀行」にクリックして下さい)
 
 ついでにもうひとつ。
 作家・柘植久慶さんの新作は『太平天国戦記』(PHP)です。これは太平天国と日本人のかかわりを小説に仕立てた労作、近く書評します。
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  読者の声 READER‘S OPINIONS どくしゃのこえ 読者之声
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(読者の声1)「アメリカから見た神風特攻隊」について。
ネットで見つけた10分ほどの動画です。カミカゼと言えば無駄死、犬死という自称評論家も多いのですが、当のアメリカ軍はどう思っていたのか。
http://www.youtube.com/watch?v=evC_UP-J6ME&feature=player_embedded

筆者による追加

http://www.youtube.com/watch?v=nQ0AN524pF4&feature=related

動画の4分8秒あたりから、「特攻パイロットの多くは頭脳明晰な大卒のエリート達だった」、「なによりも大切な家族を守るため、親兄弟を守るため、故郷を守るために彼らは命をなげうった」、「アメリカが攻め込んでくれば、日本の国家も文化も天皇も、なにもかもが破壊されてしまう」、「彼らがそれをくいとめるべく、空の軍神として出撃していったのです。」
動画の8分40秒あたりからのナレーション、アメリカ海軍の損害は撃沈30隻、損傷368隻という第二次大戦で最大のもの。太平洋軍司令官のニミッツは、沖縄戦開始後二ヶ月で、もうこれ以上持ちこたえられないと本国に打電し、兵士たちも、もう生きては帰れない、と絶望感をただよわせている。
動画の最後で損傷を受けた戦闘機を海に捨てる場面がでてきますが、ベトナム戦争の最終局面での空母からヘリコプターを海中に投棄するシーンと重なります。
戦争末期の日本軍の抗戦能力についてはいろいろ議論があると思いますが、大局的には日本の敗戦は必至だったのでしょう。しかしながらアメリカ軍に予想以上の損害を与え、心理的に大きなダメージを与えた特攻作戦、ベトナム戦争でのテト攻勢がアメリカ世論を反戦に変えたのに対し、テレビ放送が始まったばかりの1940年代にはアメリカ国民にその損害が伝えられることはなかった。
日本がポツダム宣言を受諾せずに本土決戦を選択していたら米軍の損害はアフガン・イラクどころではないはず。しかしながら皇室は存続し得たのか。国土もカルタゴのように完全に破壊し尽され、三発目の原爆が東京に落とされたかもしれない。
現在の日本は軍事的にアメリカの属国でありながら、アメリカは腫れ物に触るような態度で接することもしばしば。日本に敗戦の後遺症があると同様に、アメリカにも原爆投下の疾しさがあり、日本人が団結した時の怖さがわかっている。
日本がアジアでアメリカ抜きの共同体を構想しようものならアメリカは全力で潰しにかかってきます。ありえない仮定ではありますが、日中が同盟を結んだなら、アメリカはグァムどころかハワイまで防衛線を後退せざるを得ないでしょう。
国土防衛でもアメリカはF-22を機密上の理由で売らず今年で生産中止。F-35も開発の遅延が懸念されています。
先週、「日英で武器共同開発 首脳会談で合意へ」といったニュースがありました。
http://news.infoseek.co.jp/article/05kyodo2012040501001654

中国が次世代ステルス機の開発を進めるなか、英米とも防衛費削減で次世代機の開発に遅れが出ている。
日本も先端技術実証機の「心神」の開発を進行中ですが、国防の基本としてはアメリカの横槍をはねのけ自主開発するのが筋でしょうね。
  (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)いまの日本がまだ、ときおり尊敬されたりするのは、特攻の精神の遺産でしょう。



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(読者の声2)北朝鮮の「人工衛星」失敗。
 いやはや、北のポンコツミサイルに振り回された一日で、これから政府の情報収集能力とか危機管理能力に関してマスゴミが騒ぎ立てると思いますが、現場に派遣されていた自衛隊は正常に機能していたと考えます。
 当日は午前8時から8時半まで読売TVを見ていて、小生も日本の情報収集能力はどうなっているんだと思いましたが、8時20分頃の石垣島(?)のレポーターの下記の報告を聞き安心しました。
「・・ミサイルが打ち上げられたと思われる午前7時40分頃には駐機していたヘリコプターのプロペラ(ローター)が回り始め、5分ほどその状態が続いていたのですが、現在(8時20分頃)はご覧のように、静止しており動きはありません。また7時40分頃には、石垣島市役所に自衛隊が(出向き)何らかのものが発射された模様と報告したようです」
とのことでした。
つまり、すわ出動の命令は下ったようですが、なかなかミサイルが飛んでこないため現場はすかされた状態だったのでしょう。
それにしても、鎧袖一触、腕を撫して待っていた自衛隊の皆さんも飛んでこない相手は撃ち落とせないから困ったものです。我々国民の方もいちいちこんなポンコツミサイル騒動に付き合わされるのはゴメンです。
敵基地破壊命令を出す普通の政府を期待しております。 
(GV2)


(宮崎正弘のコメント)発射失敗は13日の金曜日でした。
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