火曜日, 11月 02, 2010
たまったCD類を整理していたら、古い仕事関係の写真が出て来た。古い、といっても10年ほど前の初期型のデジタルカメラ、画素数にして200万足らずのシロモノの時代である。
鉄道の高架化に伴って、線路が振られ新規の管理図面等作成のため、時代に即した新基準点を作成する必要があり、世界測地系の座標を持たせるための測量であった。今では、カーナビなどでGPSでの位置特定は一般的に知られるようになっているが、当時はまだ、GPSを利用しての測量は経験が浅く興味もあった。まだ、測量士になる以前の、いわば見習い中での出来事である。
もともと測量学校へ行ったことがないので、測量に関しては経験が浅くいわば手探りでの勉強と、実地体験時代でのことであった。
大学ではいちおう基礎科目は受講したはずであるが、すぐにその方面へ行かなかったので、中年以降必要に応じて実地を始めた関係で、知らないことが山積していた。
学校を出てすぐに実地体験を長くしてきた方たちからみれば、たとえ年上であっても青二才扱いであろう。露骨に態度には出ないものの、居心地は決して良いとはいえなかったかもしれない。
普段の仕事の大半は、狭い区域での平面図作りなどが主体なので、いちおう機械が使えれば、特にだれでもいいぐらいの感覚であるが、GPS測量となると、けっこう基礎知識からして半端ではない。昔は、当時の一流の数学者たちも参加して行われたようである。
測量に入った頃と、数学の復習を兼ねた勉強のし直しとは、ほぼ一致する。数学をあまり使わない学部にいた関係で、測量数学や、自分のデータ整理に使う最小二乗法などは、基礎から学び直す必要を痛感していた時期なので、やるなら本格的にという意気込みであったが、実務と勉学とはなかなか両立しがたいのもこれまた世の常でなかなか進まなかった。
なにしろ、測量に入った頃は、測量雑誌などでも、BASICによる簡易計算プログラムなどがあちこちに紹介されていた時代であり、とりあえず、放射型のトラバース計算などができればよいほうなくらいであり、大半はポケコンで処理するような部類であったように思う。
測量学校で出したBASIC言語で書かれた一万円近くする本を買ったりして、手元のパソコンに入力したりしたのは、この少し後のことである。おまけに、それらにも立派な『理論』があるはずであるが、実務に即してばかりいて、理論のほうの解説は、事前に勉強してあるはずという前提で書かれているように思った。
一方、測量に限らずデータ処理一般にもPCの必要性はますます顕著になる一方であり、数学とPCとは、一見相対立するような面もあるかのように思っていた一面もあるにはあったが、どこかで結びつくはずと思っていた。それで、測量に入るちょっと前、現代数学社が当時発行してた『BASIC数学』(現、理系への数学)を売っている書店を見つけ、ほぼ毎号楽しみにして買いに行っていた。学生時代から、ちょっとみていい雑誌だと思った印象から探し出すことができた。この雑誌を置いてある書店は滅多に無く、定期購読をして読むのが普通のようである。
『測量』という雑誌もあるが、これは親会社にあり、古い在庫は会社にもあったので、購読手続きはとらなかった。それで、もっぱら現代数学社の雑誌プラス時々、数学セミナーなどを買っていた。
この雑誌に、九州大学数学科の教授であられた梶原先生が、ほぼ毎号数学の入試問題解説シリーズを執筆されており、それらはまとまると、単行本となり過去の雑誌分もまとめて読むことができたので、いちおう全部の単行本を買ってしまった。しかも、『MathematicaとTheoristでの大学院入試への挑戦』という本を出されるほど、当時の先生はMacにはまっておられた。
私も、PCの必要性を、大型計算機は、手間や金がかかるすぎるので、自宅にあってほぼ思い通りの計算処理、データ処理ができればどんなにいいかと思っていたので、いろいろと各種の性能を調べていた。すると、科学技術計算性は、マックが良いということがだんだんとわかった。
まだ、国産PCのローンを払っていた時期であるが、次は絶対マックと決めていたわけでもないが、梶原先生のマック伝道者としての熱意にいたく感銘し、国産32ビット機が80万円くらいする時代に130万以上するマックIIfxを買うか!?などと真剣に、懐具合のギャップと悩んだものである。
ポケコンを使っていた頃は、皆プログラミングして使っていたのに、マックの画面で必要な数字や文字を入力しさえすれば、まちがいなく計算してくれる、この変化のインパクトはすごかった。おまけに、米国数学会会員でもあられた梶原先生が、理論のほうの解説を、並の学生にもわかるように、しつこくくどいくらいに説いていただける。これじゃ〜、数式処理ソフトを買わないわけには行きませんね。
ここでのGPS測量の結果の処理は、ウィンドウズPCで専用ソフトを使って行われはしたが、
たとえば『最小二乗法と測量網平均の基礎』(田島稔•小牧和雄、東洋書店 H13.3.10)での理論解説での例題などは、みな数値だけ入力して、誤植の有無も含めてチェックして、少しはわかったつもりになれた。
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