金曜日, 12月 16, 2011

小学校高学年の頃から授業を抜け出して学校の図書室の机の下に隠れてこっそり冒険小説などを読みふけることを始めた。探しに来る先生に簡単に見つからないようにと計算してのことである。しかし、敵は大人でありそういうことが二〜三回続くと図書室内ではすぐに見つかるようになりおめだまを食らったかして、止めてしまった。

そのせいかどうか知らないが、母親がよく中学校の図書室から適当な本を物色しては家に持ち帰り私に貸してくれるようになり、家や教室でよく読み耽った。そのせいかどうか読書速度はその頃かなり早まった。そんな本の中で今でも思い出すのは『長い冬』というアメリカの少女を主人公にした西部開拓民の日常生活を描いた小説で、最初タイトルからして陰気な感じを持ったが、読み進むうちにはまって行った。ストーリーとしては特に面白いものではなく、一気には読まず、少しづつ何回にもわけて読み進むうちに感情移入が出来て行き、その時代に共感を覚えた。何しろ、テレビなどまともにはなかった時代であり、町の中学校の講堂で夜雨が降るような画面の『子鹿物語』が上映されたのを見たのが映画の第一歩であり、アメリカの西部の開拓時代の生活を初めて映像で見たくらいである。

今では、シートンの動物記が先かどうかわからないが、どうも子鹿物語の原体験があって、そういう話題に引かれて行ったような気がする。少年が自分の銃を持ち狩りやら自己防衛をするスタイルも少年の心を掴んだのだと思う。

結婚した頃、NHKではそのとき既に再放送だったかもしれないが、『大草原の小さな家』とかいうテレビドラマをやっていて時々見た。そして何かの拍子に、それが子供の頃見た『長い冬』という本のシリーズをテレビドラマ化したものらしいと気がついた。

NHKの男のアナウンサーが、紹介するとき、『インガルス一家』と言っていた。
http://www.voanews.com/learningenglish/home/Laura-Ingalls-Wilder-1867-1957-She-Wrote-Nine-Little-House-Books-About-Pioneer-Life-122680984.html

そしてバブルがはじける少し前から、そろそろ研究結果を英文で発表するためにと英語の勉強を始めた。それまでは英語文献は必要上読んでいて、読解で特に問題があったとは思わないが、だからといって欧米人が聞いたり、読んだりして違和感を覚えない程度の文章が書けるとは到底思えなかったので、タイム誌を読んだり文章を書く体験談を読んだり、仕事の合間を縫っては勉強とはいえないような英語、英文への接触を数年続けた。

たとえば、ある女子のテニスプロの書斎でのインタビューなどでも、書架に英語の小説類がかなり並んでいたりするのを見ると動揺したりした。そして何冊か英語の小説類を自分も購入したりした。その頃、気のきいた書店ではかなりの数の英文小説のパーパーバックを並べる書店もいくつか表れたが最近はまたトーンダウンしたように英文小説類は店頭から消えてしまった。

村上春樹氏のノルウェイの森とか、マディソン郡の橋とかも読んだ。そうしたなかで
” She wrote nine “Little House” books that take place in the mid eighteen hundreds.”とVOAでも紹介されているシリーズ本は七冊ぐらいそろえ4冊ぐらいは目を通した。それで昔読んだ記憶のある部分はここなんだな、などと思った。

そしてそうしているうちに、発表前に海外で英文で発表するという思わぬ機会が訪れたので、最初は尻込みしたが、これまでの自主的な勉強の継続の程度がどの位のものか知りたいとも思い、意を決して英文講演発表となった。そのためには会議英語の本やら、発音などについても
いろいろとあれこれ読んだ。理系のためのサバイバル英語入門とか、lとrの発音の違いとかいろいろ気になるものはそれなりにあれこれ探してよんだ。その頃、MacではNisus Writerというワープロを使っていて、これはフランス語や英語の発音をしてくれるという特徴があった。

それで、単語を書き込んでは発音させてみて、感触を探るというようなことを密かにしていた。

そしてあるとき、テレビでLaura Ingalls Wilderの本は実はその娘のRoseが母に原作を書かせ、彼女が校閲して発表した小説だということが放映された。そして、今でも岩波の本では
インガルス ワイルダー 作などという表現がされているが、Ing+allsならば、インゴールズが正しい発音ではないか、と思いNisus Writerで確かめたりしていたが、機械相手では今イチ根拠が薄いと感じていた。

iPadを買ってからこれはiDailyというVOAの放送記事を発音してくれるアプリの教材を大量にストックさせようと最初から思っていたので、仕事の加減で休んでいた時期の教材などを興味のありそうなものをまとめてダウンロードしていたら、偶然また大草原の‥の記事に巡り会った。


写真の下のバーをクリックすると記事全文の発音が聞ける。そして間違いなくインゴーと聞こえる。

今回もう一度Nisus Writerで確認したところ、機械による発声のせいか、インゴールズともインガールズとも判別しがたい。しかし、数年かけてようやく、理解が深まった。


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