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♪ 劉震雲著、劉燕子訳『人間の条件 1942』(集広舎) @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 中国では日本人が逆立ちしても考えられないことがよく起きる。ありもしなかったことを「あった」と言うのは平気(所謂『南京大虐殺』)、あったことを『なかった』と宣言するのも平気(天安門事件)。 ひとりの人間が死んでも大騒ぎをする日本と、三百万人(300人ではありません、念のため)が死んでも気にもしない中国。この彼我の隔たりはいったい何から来ているのだろう? 日本で餓死者が連続したのは室町末期、世の太平が崩れ、京は飢えと盗賊と、対決する匪賊と、そして命がけの食料奪取合戦。おもわず映画「鮫」を思い出した。応仁の乱の頃である。ところが日本で言う昭和の御代にお隣の中国は飢餓、蝗害。 本書の副題は『誰が中国の飢餓難民を救ったか』、そして先に回答を書いておくと、それは日本軍だった。 慈悲深き日本人は飢え死にしてゆく無辜の民を捨て置く中国の軍閥指導者や政治家とはことなって自分の食料を犠牲にしても人道的救助に邁進する。 蒋介石は逃げるときに河南省の花園堤防を切って、溺死者が百万近くでたが「それは日本軍がやった」と空とぼけて、決して責任をとらなかった。洪水の犠牲を最小限におさえ、蒋介石軍の追跡より溺死者の救助にあたったのは日本軍だった。この美談を決して中国では教えていない。 1942年、河南省では飢饉により、300万人が餓死し、ほかに300万人が山西省へ逃れた。かれらを救ったのも日本軍だった。日本軍は自らの糧食を供給し、人道的立場から餓死寸前の民を救援した。しかし、このことを中国政府は一切口にせず、箝口令を敷いた。この日本軍の美談は箝口令が敷かれたのだ。 1989年6月4日、天安門事件で無辜の学生、市民を軍が虐殺し、世界は総立ちになって中国を制裁した。中国は孤立したが、対外矛盾とすり替え、学生運動を『反革命暴乱』などと定義した。しかし経済的孤立に耐えきれず、日本が経済支援を開始する。それも方励之博士の米国亡命と引き替えに、1991年に日本が経済援助を再開するという(米国から飲まされた)筋立てがあった。そして日中の雪解けムードが先行し、ようやく中国で1993年、この本の原著の発表にこぎ着けた。しかも2012年は映画にもなった。 本書は、その埋もれていた日本軍の美談をルポルタージュ小説に仮託した原著と、映画のシナリオを併載した二部構成となっている。このように歴史に埋もれていた美談、もっともっと人口に膾炙してほしいものである。 ◎○◎◇◇△△□□◎○◎ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 宮崎正弘の最新刊二冊 宮崎正弘の最新刊二冊 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ♪♪ 宮崎正弘の新刊 絶賛発売中!!! **************** 宮崎正弘 vs 馬渕睦夫 『世界戦争をしかける市場の正体』(ビジネス社、1188円) @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ ――「戦争」と「市場」、まさしくいまの世界は中国、シリア、ドイツ難民、トランプと、EU、ユーロを統合させて世界の市場を操ってきた面妖なグローバリズムとの対決時代を迎えている。これからの日本はどうするのか? 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月曜日, 3月 07, 2016
宮崎正弘の国際ニュース・早読み (シャンボーの最新作) ディビッド・シャンボー教授の新作『中国の未来』(本邦末訳)
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