水曜日, 6月 29, 2016

宮崎正弘の国際ニュース・早読み (トランプが劣勢に転落した七つの理由)

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成28年(2016)6月30日(木曜日)
          通算第4948号 <前日発行>
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 トランプが劣勢に転落した七つの理由
  共和党大会を前に党の結束が覚束ない状態から抜け出せない
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 米国大統領選挙で、これまで比較優位に立っているとされたドナルド・トランプが、[BREXIT](英国のEU離脱)ショックという絶好のチャンスを活かしきれず、むしろ逆風に晒され、決定的な劣勢に陥ったと見られる。
 このままでは7月18日にひかえた共和党全国大会での党の結束は覚束ない状態となった。

 第一にオーランド乱射事件で、史上最悪49名の犠牲がでるというイスラムテロ事件で、トランプは銃規制反対、「イスラム過激派を取り締まれ」と従来の主張を獅子吼し、世論調査で優位に立てると思いきや、銃規制強化、同性愛結婚推進をいうヒラリー・クリントンのほうへ風が吹いた。
 クリントンはこの世論を追い風にLGBT(性少数者)デモに飛び入り参加するほどの興奮ぶりだった。

 第二トランプ陣営内の内ゲバが納まるどころか、深化し、結局、ワシントンの政界に明るいフィクサーのポール・マニフォートの主導権が陣営内で確立、これまでの主任スタッフのルワンドウスキが解任されるという事態が出来した。
マニフォードが共和党のささくれだった反トランプ感情を宥和させ、共和党有力者の支持を拡大してくれるという思惑の元、トランプは苦労してきた有力スタッフを「解雇」(おまえは首だ)した。士気は下がる一方である。

 第三に想定外のことだが、大富豪トランプ選対本部は資金不足なのである。
 ヒラリーは潤沢な資金をテレビコマーシャルに投入し、宣伝戦争を優位に展開しているが、トランプはこれまでの派手は記者会見だけでテレビCM分を補ってきただけで、ここへきて資金枯渇、コマーシャルも打てないという閉塞状況にあることが分かった。
各地で資金集めのパーティを開催しているが、IT産業も、ウォール街もそっぽを向いたまま。富豪の個人献金もはかどっていない。
つまり共和党のメインストリート、ウォールストリートが依然として協力的ではないのである。

 第四に「追い風」になるはずだったBREXIT(英国のEU離脱)が、なぜか逆風となった。
というのも、EUを襲った不安感、市場の大混乱とポンド安、EU諸国の株安を受けて、先に「トランプ化」を果たした英国の様を目撃したアメリカ人は、その結果を連想する。すなわち、「トランプ政権が実現したら、株安、ドル安の恐慌になるかも知れない」と恐れ始めたからだ。


 ▼トランプ陣営に逆転のシナリオがあるのか

 第五にトランプの金銭スキャンダルが、マスコミで一斉に報じられたことである。
これまでにもアトランティックシティのカジノや、トランプシャトルの失敗など、倒産を繰り返しながら本人は債権者の貧困をよそに、肥ってきた有り様はさんざん書かれたが、
トランプ大学の裁判でメキシコ系裁判官を人種差別ととられるように失言したことが響いた。
また過去の無数のチャリティで「寄付」を申し出た履歴と、実際に実行された金額の落差(たとえばワシントンポストは、「百万ドルの寄付を約束したのに実行されたのは一万ドル」、6月28日)などがすっぱ抜かれ、その信頼度が揺らいだ。

 第六にNATO諸国のトランプの安全保障官への疑問の噴出である。
「米軍の関与を後退させる。費用負担をNATO諸国に求める」というトランプの主張に不安を抱く世論調査で英国は49%、フランス47%、イタリア40%、ドイツ38%、肝心の米国ではじつに56%が、NATO重視の変更を訝しんでいることが分かる。
これは日米安保条約の日本に対してもトランプが負担増を力調していることに、日本の不安と軌を一にしている。

 第七に共和党がヒラリー批判の決定打に使おうとしていたベンガジ調査報告書が不発に終わりつつあることである。
 保守系のワシントンタイムズ(6月28日)が奉じるところでは、ベンガジ事件調査委員会は107名の目撃者にインタビューし、超党派の議員で組織され、じつに75000ページの報告書を纏めたが、「何一つ新しい証拠は見つからなかった。とくにヒラリーがテロリストの襲撃を容易にさせる危険状況を作り出したか、どうかという疑問点でヒラリー関与の確実な証拠はなかった」
またリビア政府の関与の度合いなども事件とは関係なしとされ、選挙戦本番でヒラリー攻撃に使えるはずだった決定打は希釈となってしまった。

 このまま劣性がつづくのか、はたして土壇場で逆転するシナリオはあるのか?

       ◎○◎み○○○や△○○ざ○○○き▽○○
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌前号の書評、秀逸の極みでした。とくに阿比留さんの書評のなか、本当に、「市民」を「左翼団体」と書くのは悪イメージを受け付けようとする左翼メディアの常套手段、「右翼団体」は「国民」と書くのが憚られるという不思議な自己規制とレッテル貼りはメディア業界には深くあるようでおかしな話ですね。
 西尾先生のご著書の書評、台湾の六士先生の慰霊祭や、沿革も興味深く拝読しました。ありがとうございました。
  (TS子、千代田区)



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(読者の声2)参院選の関係で在所の選挙事務所によく出向きますが、雑談が国防の事な どの話題になると実に目を剥くような、とんでも八分の、高齢の歴史認識者がいて実に驚かされます。 
 日本軍が南京で支那人を虐殺したと認識している者や、朝鮮戦争で、日本人も多くの朝鮮人を殺害していると認識している者。又、従軍慰安婦には償いをしなくてはいけないと思っている者。いやはや実に驚かされます。
 裏付けを示し、全てが捏造である事一つ一つを丁寧に説明しても、本当ですか、となかなか信じてくれない者もいます。これらの誤った認識には大きな原因があります。野中広務です。在所で同和人権問題の講演を行った折、これらの事は全て日本軍が関与したような説明をし、日本は人権侵害の国であるみたいな講演をしたことに起因しています。
 何でこの様なお墨付きの「反日家」を自民党に復党させてのですかね。
 自民党も信頼できなくなって来ていますね。早く中西氏に頑張ってもらいたいものです。
 償い金の請求をしている現在の慰安婦と称されている者たちは、朝鮮戦争の折、公的に拉致された者たちでしょう。
韓国政府に補償金を掛け合っても無駄なので、腰抜けの日本政府からなら取れるだろうと騒いでいるだけです、騙されてはいけませんと説明すると、何でそんな大事をNHKもマスコミも教えないのですかね。でした。
 心理戦に頭が侵されているのか、相当に洗脳されています。
 一日でも早く覚醒させたいものです。至る所に反日工作者がいるようですね、政権の中にも。「政権に深く潜り込め」ですか。
    (TK生、佐賀)



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(読者の声3)参議員選挙の記事を読んで。引退する参議員議員の中で、江田五月が「立派な政治哲学を持った政治家の登場を待ちたい」なんて、能天気なことを言っていました。
 自分は、あの戦後初めての、反自民政権ができた時に、科学技術庁長官委に就任。その時、大臣になりたくて、「30分で、反原発から、推進派に変身した」過去を忘れ去ったような言いぐさ。政治家は、哲学よりも、面の皮の厚さのほうが必要なのでは。
 今回の舛添の酷さも!
 あんなゴミばかりを選ばされる国民も、本当に行く先を考えないといけないです。今後、毎年2%増加してくる18歳世代の、投票行動が、正しく日本を守るように行って欲しいものだと思います。
「若肉老食」とか言われている今、医療費・年金をはじめとする増大しつ続ける負担に関しては、世代間戦争が起きてもしょうがないと思います。
   (宮田生)
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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