水曜日, 12月 17, 2008

逆問題:逆問題を扱う解析は逆問題解析あるいは逆解析と呼ばれる。

逆解析の成功例の典型としては、医療科学の分野で実用され大きな成功を納めているX線断層法あるいはX線CT(computed tomography)法をあげることができる。

これは、人体などのある断面において種々の方向からX線を照射し、そのとき得られる射影象をもとに、断面積を、再構成するものである。この方法により、直接観察することができない断面積を計算の力を借りて可視化することが可能となった。・・・さらに古代研究に関しては、現代までに受継がれた遺跡や限られた遺物をもとに古代の生活や事件を推定する問題がある。また、遺跡の中に存在する未知の空洞や部屋を、微弱な重力の変化をもとに捜しあてる問題も、逆問題の例でると解釈することができる。以上は、久保司郎著、逆問題(培風館:計算力学とCAEシリーズ10)1992年による。

最近の稲田大学のピラミッド調査などは、古代エジプト文明の新しい一面を明らかにしつつある例が示されている、という指摘もある。(逆問題の数理と解法、登坂宣好・大西和榮・山本昌宏、東大出版会、1999)

逆問題は、出火の原因探求や、犯罪捜査などでもおなじみなものとなっているが、古代史ばかりでなく、歴史一般にも当てはまる、いや当てはめるべき問題であろう。理工系の分野では逆解析においては、解の存在性・解の一意性(ユニークネス)・解の連続性の検討が前提条件となっているが、人文系ではそうした緻密な議論はあまりというかほとんど問題にされないようである。さらに、歴史解釈は多様であるべきだからといって、そうした問題がおろそかになっては、逆問題解析の意味はなく、徒労であろう。



今月になって、『桶狭間・信長の「奇襲神話」は嘘だった』なる新書が出て、一読して近ごろのいろいろな歴史問題や戦後の神話とされるような刷り込みあるいは洗脳との関連を考えてしまった。理工系では、結果の評価に客観性が損なわれることは少ないと思うが、ノモンハン戦ひとつをとってみても、語り手の個性によって著しく結果が異なる、ということすら気づかず
ワンパターン的思考に陥っている実態が、逆問題の一般性を考えるとより明確に我々が当面接している問題のありかが浮かび上がってくるのではないか、と感じた。

『現代の日本人の精神生活において、その最後の説明が例の虚栄心でないような現象を見い出すことは容易ではない。虚栄心はますます日本人を虚言者とする、そうしてまた欺かれたる自欺者ーこれはその罰であるがーとする。彼らは好んで単なる外観をば実在のように、形式をば内容のように装い、外人の目をくらまして、全然存在せざるものを存在するかのように信ぜしめる、そうして他を幻惑せしむる目的をもったところの輝ける虚無によって、自ら幻惑せしめられまた催眠状態に陥れられるーそうして遂に自ら欺かれるに至るのである。何となれば虚栄心は危険なる両刃のわざ物だからである。それは他を傷つけるー欺瞞、虚言は正に傷害であるーと同時に虚栄者その人をも破滅に陥れる。即ち虚栄心は彼を盲目にし、また軽信にし、そうして他の凶悪と私欲の無意志的道具とまで堕せしめるからである。」とケーベル先生(初代哲学科外国人教師)は日本人のみにくい特性を喝破している。』岩波文庫、戦前版。

中谷宇吉郎氏も、『科学と社会』で嘘で固めた国、日本ということを言っている。NHKの姿勢のある一面を取り上げて指摘したものだった。事実から円心的に離れることを以て良しとするような日本語の伝統もあるのかも知れないが、以下はお隣の国の話題をどちらかというと笑うような記事であるが、似たことをそれ以上に、我々日本人も日常茶飯に行ってはいないか!?

『我が国でも朝日新聞が赤字103億円に転落というニュースがあり、以前からいつ倒産してもおかしくないと囁かれ続けた毎日新聞の列に加わる。
春に朝日新聞は新聞本体と出版局を分離し、『論座』の休刊を発表し、朝日文庫や週刊朝日などは朝日新聞出版社に分社化されていた。
夏頃に一眼レフなど朝日新聞が社内倉庫に眠るカメラ、アクセサリーを中古業者を呼んでオークションにかけたと仄聞したときに「そこまで追い込まれたのか」と思った。』と昨日の宮崎正弘の国際ニュース・早読み(http://www.melma.com/backnumber_45206/)にはあるが、この社の嘘は、日本人の嘘体質と、お隣の国々の嘘能力を掛け合わせたような有り様ではなかったのか。

狼少年の話を子供の頃、イソップの童話か何かで読んだことがあるが、日本人の、あるいは東洋人の体質なのであろうか?自らも含めて、科学精神に立ち返らなくてはならないと、藤本氏の、信長公記を基に、これまでの歴史解釈姿勢でいたるところに顔をだした事実無視、思い込み先行の姿勢の遠因を考えてしまう。

中谷宇吉郎氏も北越雪譜という江戸時代の本を読んだ感想を述べている。
「金中猶虫あり、雪中虫無からんや」(鈴木牧之:北越雪譜)そして西洋の自然科学風な考え方の洗礼を受けていない頃のわれわれの祖先の頭の中をチラと覗いたような気がして大変愉快であったた。ところがその後よく注意していると、その語呂の論理は案外現代にもいろいろのところですました顔をして通用しているらしいということに気がついた。中略。 ある大学の研究室では、陰イオンが喘息や結核性微熱に対して鎮静的に作用するという結果を得て、臨床的にも応用するまでになっている。そして陽イオンはそれと反対に興奮性の影響を与えるということにされていた。ところが他の大学の研究では、イオンの生理作用は、陰陽ともに同一方向の影響があって、ただその作用の程度が、イオンの種類によって異なるという実験結果がたくさん出て来た。それで学会で、これらの二系統の論文が並んで発表された時には、もちろんさかんな討論が行われた。その中にこういうのもあった。「陰イオンが鎮静的に働くということは、既に臨床的にもたくさんの例について確証されている。これは実験的の事実である。それが事実とすれば、陽イオンがその反対に、興奮的に作用するということもまた疑う余地がない。」という議論がでてきたのである。これなどはまさしく語呂の論理の適例であろう。語呂の論理は日本人の頭の奥底にかなり強い一つの思想形式として今もなお残っているものと見るべきであろう。(1938年11月)
オランダ人の説として、金属が錆びるのは、金属中の虫が悪さをする、という解釈を援用して雪が溶けるのを、金属の腐食と同じ機構によると思い込んだ日本人の思考を、語呂の思考として取り上げたのだった。


http://blog.livedoor.jp/lancer1/archives/50192926.html
逆ギレする韓国キムチ業者の発想 ~歴史・外交問題にも共通する韓国人の国民性~

http://qazx.blog.eonet.jp/docdoc/2008/01/index.html
良くわかる嘘
実に良くわかる嘘をお目に掛ける。もちろん息をするように嘘をつく人々の作である。

なかのひと

0 件のコメント: