火曜日, 3月 24, 2009
久しぶりにお彼岸だからと休みが取れた。他の人たちは、それでも休めない。私はPC中心の仕事で、やり貯めが効くので、なんとか休めたわけであるが、現場の仕事を多く抱えていると、天候次第ということになってしまう。
午前中降っていた雨が比較的早くやんだので、都内へ墓参り。久しぶりに都心の書店にも足を運ぶことが出来た。ここ一年ほど、まともに本屋にもいけないほどであったので、入っても何から見たらよいのか見当がつかず、しばらく放心してしまった。
以前足繁く通った頃は、論文執筆後の審査段階で、三月以内に回答を寄せないと、審査からはずれてしまうので、かなり目標が明確であった。だから、探す場所も、苦心しなかったが、今回は急にあてもなく来たので、どういうものが本当に必要かわからず、とりあえず理科系の関連書籍へ移行。
今は、論文は英文で書くのが常識となっているので、英語論文の書き方に関係する参考書が花盛りである。すでに手許に置いているものも何冊か散見できたが、やたらにハウツーものと思われるものが多いと感じられた。
まったくの初心者ならそういう類からこれと思うものを選んで勉強されもよいかもしれないが、私は初心者には違いないのだが、いちおう自分の世界が出来上がってきているので、やはり自分が尊敬している先生の書かれたものに注意が行ってしまう。
そういう中から一冊選んで、大半は昔に書かれたことと同じだが、少し新しいことも入っていると思われる一冊を、どうしようかと悩んだ末、買ってしまった。もういちど、自分がこうだ、と思った手順の点検をしてみるつもりだった。
ちらりと垣間見た文章には、Nature誌に掲載されたという、「Japan seeks a record haul」というコラムで、ノーベル化学賞を受賞された故福井健一先生の書かれた英文は「insufficiently elegant "English formulation"だと指摘されていることをうけて、我が国の英語教育の改善(いわゆるカイゼンである)が要請されることを感じさせられた一文であった、と書かれているところが購入を決定づけた。
私の学会でも、最初は、外人さんかプロの翻訳者などに検閲してもらってから、投稿するよう勧めていたが、それでも問題があったようで、英文誌になってから数年後には、採用論文は、皆ネイティブの方に、最終チェックを依頼しているのである。
私の英文も、動詞一個を置き換えられ、aとtheの訂正を、印刷9ページの量で、30数ヶ所変更された。印刷1ページ当たり、平均4箇所見当である。aとtheの使い分けは、日本人には至難のことで、ネイティブからみれば、意味が不明瞭になりやすい筆頭箇所だと改めて感じている。
先日も、あるひとに、論文の内容は、自信があるが、あとは、これをエレガントな英語で発表するばかり、と書いてしまった立場として、こだわらない訳にはいかないのである。
それで、ようやく少し落ち着き、ダーウィンの生涯や、Hardyの小説なども購入してぶらりと銀座にでかけた。八重洲から銀座へ・・・。iPodをよく見かける。先日地方へ出かけたら、ホームでかなりiPodの行列を見てしまって、おどろいたが、都会のほうが少ない、当然ですね。
銀座のギャラリータクトでは、恒例に近い生田宏司展が開催されていたので、寄ってみた。
海外でも、著名な日本人版画家であられる由。
http://ikuta.monsite.wanadoo.fr/index.jhtml
この展示会にも、お弟子さんも立ち寄ったりもしている、という。38歳まで美術教師をされていたそうであるが、いまは本業三昧であるという。うらやましい。画壇の裏話めいたことも小耳にはさんだ。学会との共通した部分も、あるようだ。どの先生につくかで影響がでたり、独力で認められれば1番いいのだろうが、・・・。
何度目かの展示会でも、祭日と言うこともあってか入れ替わり立ち替わり客がくるので、夕方には、スタッフも先生もくたくたらしい。今回も、最初は、銀座についたあたりから東京特有と思われる花粉症が少し出て、観賞どころではなかったが、1時間以上もいると落ち着き、ゆとりをもって吟味できるようになった。先生の書かれた、日本画も何点か展示されていた。
一点一点見ていくと、最初は似たり寄ったりとと思えた絵も、いろいろな異なる連想をよぶ世界を醸し出してくる。技術的なことはあまり知らないが、技法は同じでも創作の原点の秘密に迫る苦労も偲ばれるような気もする。今は、仕事で疲れているが、創作で疲れたりしていたら、新しい意欲がいっそう沸くような気のする1群を観賞してきた。
幸いなことに、終わりに向かって客足は向上し続けているらしい。日本人もエレガントな人たちが増えていると喜ばしい気もする・・・。
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