火曜日, 5月 19, 2015

ハーレーの燃焼工程

最初にアップしたハーレーの歴史について、勝手な想像を交えて前シリンダーと後シリンダーの燃焼間隔についてビューエル関連の燃焼間隔図からわりだした値を述べたが、心配になってもう少し分かりやすい例がないか探して見た。

マリアンヌ・フェイスフルとアラン・ドロンの映画で使われた4速仕様の1965年型ハーレーの音をいろいろなシーンで聴いてみると、どうもきれいに交互にずれて燃焼しているらしい。特に、入出国で国境を越える時、仏独と2箇所の検査を受けるのでいやでもアイドリングとなり、飛ばしてきた直後でもあり、エンジン音だけに耳を澄ますとほとんど規則ただしい間隔でクシュクシュといった感じで動いている。

学生時代もそうだったが、最近でもフランス語やドイツ語、日本語の字幕、監督もこの時のマリアンヌの演技が好きだという、彼女の演技の自然なうまさに気が取られてしまい、アイドリング音にまで気が廻らなかった。

私もこのシーンは好きで、フランス官憲が例の独特のケピとかいう制帽をかぶって 出てくる。この頃は男と女の区別がつかん、などといいながら黒人のほうが真っ先に彼女に近寄る。その会話を聞きながら、彼女は緊張した面持ちで服の下が裸だと知っているんだわと思ってしまう。パスポートと聞いてくる。密輸の疑いで私を裸にしかねない男だわ、などと思ってしまう。その際にその官憲は左手の指の背中で彼女のレザースーツの大腿あたりをそっとさする。そしてパスポートを渡す。申告品は?と聞いてくるので彼女はそら、来た!と思いながら、何もありませんこの私以外は などとつい答えてしまう。黒人は実に見事な品物だねと言っている。もう一台の車両が来てホーンを鳴らすので、脇で彼女の様子に見入っていたもう一人の白人官憲は舌内するような顔をしてそちらに向かう。
 ついで 他には?と聞いた後彼女が無言でうつむくので本当だねと念を押した後、Show me! といわれ、さっと緊張して何を!?とムキになって聞き返す。相手は明るい声で、オートバイの免許を、と一言。そこで彼女は緊張が解けて明るい笑顔で免許証を差し出す。この辺のやりとりにおける演技なし?の彼女の表情の変化はいつみても自然で見事である。

http://www.harley-shovelhead.com/koutei/Page.htm
このサイトではじめてまともな燃焼のFとRのシリンダーの配置の45度のずれと720度間隔で区切ったカムの動きと共同した発火点や圧縮上死点などが図示されていて、ほっとした。しかもピストンの位置図もそれぞれクリックすると表示される親切さである。

しかし、やはり複雑で、360度クランクや180度クランクにしか馴染みがない頭には図を追うのがやっとで、カムの動きや吸排気の動きと連動したピストンの動きなどがなかなか頭の中でうまく合成されない。ビューエルと違い ピストンのボアはおなじでもスロロークがかなり違うので、ピストンの工程図をみると片方のシリンダーからの影響でピストンに側圧が複雑にかかりそうで、目がマワル思いもする。

ワンクランクにツーコンロッドって、無駄が一切なくシンプルでいいじゃんと思ったところまでは良かったが、これでは耐久性を考慮して性能をアップするには国産車ほど簡単ではないようだと遅ればせながら思った。上述の映画のように、何回も何回も見比べなきゃ身にはつかない、と思う。

とりあえず、フロントが点火した後、リヤが点火するのはこの図では297度くらい遅れて点火、次のサイクルでは422度くらいしてからフロントが点火となっている。この程度の燃焼間隔差なら、1000回転も回っていれば、「普通の」の耳にはほとんど等間隔に聞こえるだろう。

そこで最初にビューエルの解説記事を引用して、いわゆるハーレーの三拍子って何だということに??。

映画の中では4速を利用してのシフトアップ時に回転数がガクンと低下してトルクで車体を引っ張る時の爆音の調子の変化が今時のものにはない懐かしみを覚えるが、三拍子などは感じようもなかった。

0 件のコメント: