水曜日, 11月 22, 2017

宮崎正弘の国際ニュース・早読み  < ミャンマー再孤立の いまがチャンスと中国

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)11月22日(水曜日)
        通巻第5515号 
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 ミャンマー再孤立のいまがチャンスと中国
  王毅外相は抜け目なく首都ネピドーを訪問し、支援強化を約束
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 中国がミャンマーに建設を始めていた総工費35億ドルの水力ダムは、自然保護と発電される電力のおおかたが中国に収奪される怖れありとティン・セイン前政権がキャンセルした。
その後、両国関係は急速冷凍状態に入り、くわえて米国が対ミャンマー経済制裁を解き、ヒラリー(当時国務長官)がヤンゴンに飛んで、スーチーと抱き合い、慌てて日本もヤンゴン近郊の港に工業団地造成など巨額の援助を開始した。ミャンマーにとって中国依存からの脱却のチャンスだった。

 以前から対立はあったが、2017年8月以後、仏教原理主義グループとミャンマー政府軍、警察、自警団の一部が、ロヒンギャ居住区に焦土作戦を展開し、殺人、レイプなどを行った。
西側はこれをセルビア、クロアチアで展開された「民族浄化」と同一視し、人道上許されない無法行為と批判し、ミャンマー制裁に動く。「人権と平和のシンボル」だったスーチーへの非難囂々、ノーベル平和賞を剥奪せよとまで主張する米国のリベラル派が獅子吼する始末だった。

 国連の調査では、ミャンマーからバングラデシュへ逃れたロヒンギャは62万4000人に達していた(11月2日現在)。
もともとロヒンギャはミャンマー政府にとってお荷物であり「存在しない民」。それゆえ戸籍もなく、まともな人口調査もされず、放置された。英国がサイクスピコ条約のように勝手に線引きしたロヒンギャをミャンマーのラカイン洲に居住させたからだ。ロヒンギャはほかにも、マレーシア、ベトナム、タイ、インドに数万から二十万単位で住んでおり、バングラデシュには難民以外にも二十万人ほごが生息している。

 こうした環境の激変を、千載一遇のチャンスと捉えたのは中国だ。
抜け目なく「ミャンマー政府の措置は正しい。ロヒンギャの武装勢力はテロリストだ」と言ってのけ、孤立するミャンマーに助け舟。驚くことにミャンマーとバングラデシュ両国政府の「調停」に乗り出した。

 国際仲裁裁判所(ハーグ)のだした南シナ海における中国の行動の論拠はないとする判決を「紙くず」と言ってのけた同じ国が、場面が変わると国際調停を訴えるわけだから噴飯ものである。

 11月19日、王毅外相はバングラデシュのダッカを訪問し、ついで20日にはミャンマーの首都ネピドーに飛んで、スーチーのほか、大統領、国防大臣らと面談し、「両国の協力関係と相互理解は重要であり、中国が調停にはいっても良い」と啖呵を切った。
 ミャンマーにとっては力強い助っ人、またもや中国の存在を重視する雰囲気となった。

 ロヒンギャが80万人いるとされるミャンマー北西部のラカイン洲は、15世紀から18世紀にかけて「アラカン王国」だった。地元は敬虔な仏教徒が主流だった。このため、多くの仏教寺院が観光資源としても、世界の観光客をあつめる。
 仏教のくにでもあるミャンマーから見れば、バングラデシュから流れ込んでイスラム教徒を差別する流れとなった。

 じつは中国はミャンマー沖合の海底油田から産出するガスと石油を700キロのパイプラインを二本、ミャンマー国内の南西にあるチャオピーから北東へ向けて敷設し、雲南省昆明への輸送をすでに開始している。投じた額は24億5000万ドル。くわえてラクヒン港の開発プロジェクトを開始している。
 このミャンマー・ルートは近道であり、マラッカ海峡をバイパスする貴重なルートであり、しかもこのパイプラインの陸揚げ、通過ルートがラカイン洲であり、中国がロヒンギャ問題の解決にしゃかりきとなる理由がある。

 王毅はミャンマー指導部に三つの条件を提示した。(1)戦略的重要性にロヒンギャ居住区は位置しており、治安の回復が急がれる(2)良好は平等に相互理解を進めるべきであり(3)国際社会はロヒンギャ救援に立ち向かうべきである。

中国は王毅の訪問にタイミングを合わせバングラの難民キャンプに150トンの支援物資を届けた。見え透いた行為だが、強引な計算づくの行為はいつもの癖である。

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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)「國體論」にご関心をお持ちの皆様
 11月3日(明治節)の佳日付で、孤高・壮志の哲学者 田中卓郎氏の『國體の形而上學』 が、展転社から上梓されました。
 田中氏は、新しい歴史教科書をつくる会東京支部の公開講座等においても度々講演され、その「國體論」就中「天皇存在 と 主權・國軍・自衛權」に関する透徹した哲理・論理には感銘深く共鳴する聴講者(同憂の士)も数多くおられますが、その集大成がこの一冊で、その内容(項目)は次のとおりであり、定価は1,800円です。
 日本國體とは何か? 主權とは何か? 國軍とは何か? 自衛權とは何か? を根源的に明らかにする!
  ・ 日本國體とは萬世一系の天皇存在のことである(日本の定義)
  ・ 萬世一系が究極の核心
  ・ 皇男子孫の皇位繼承が萬世一系の唯一無二の形態
  ・ 天皇存在を議論して決めることなど存在論的に不可能
  ・ 天皇陛下は單なる君主、國家元首なのではない(天皇機關説の根本的誤謬)
  ・ 自衛隊(政府の行政機關)は絶対に國軍ではない
  ・ 我が國に必要なのは正規國軍たる日本軍
  ・ 核兵器廢絶は絶対に不可能
  ・ 國家主權=國軍=自衛權は三位一體で無制約 等の根本問題を明晰判明に解り易く解明!

 朝鮮半島における「有事」、大陸からの「尖閣・沖縄への侵略」等、吾が国の「国難」が目前に迫る現実の只中において、「日本國體である萬世一系の天皇存在」の哲理と、それに基づき「正規の國軍たる「日本軍」を復活しなければ「国難」の突破は不可能である」と云う論理を、闡明した現下必読の名著です。
是非ともご一読をお勧めいたします。
    (YO生)



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(読者の声2) ベトナムにおける不平等の凝集と民主化に向けた圧力
http://viettan.sakura.ne.jp/?p=219
   (三浦小太郎)
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 習近平が「独裁権力を確保した」なんて、殆ど冗談に近い。習近平は信長のように「高転びに転ぶ」。
習近平独裁体制の実態は「空の城」だ!
中国繁栄の裏側に拡がる暗澹たる闇を照射し、そのリアルな実態を報告する。中国が公表したGDP世界第二位は嘘、外貨準備高世界一はフェイク統計であり、海外へ逃げた外貨は4兆ドル。すぐ目の前にきている「不動産バブル崩壊」。上海株式が持ち直しているかに見えるのは習近平が命令した、中国政府が株を買っているからだ!
いま、そこにある「中国経済の瓦解」はリーマンショックの十倍規模になるだろう。
<目次>
プロローグ――世界「連鎖地獄」の危機
第一章 中国のGDPはゼロ成長、外貨準備はスッカラカン
第一節 粉飾の「バベルの塔経済」が崩壊する
第二節 経済改革失敗で北朝鮮と戦争をする
第二章 習近平がひた隠す「一帯一路」、じつは大失敗
第三章 国内開発プロジェクトも支離滅裂
第四章 権力闘争とは利権争奪戦でもある
第五章 中東、中南米、アフリカでも「反中国感情」が荒れ始めている
第一節 中国を凌駕する魑魅魍魎の中東情勢
第二節 中南米、アフリカをめぐる暗闘
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とき  平成29年11月25日(土曜) 午後二時
ところ 星陵会館大ホール(千代田区永田町)
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資料代 2000円(学生千円)
どなたでも予約なしで御参加いただけます。

<プログラム>   総合司会  佐波優子
1400 開会の辞 富岡幸一郎(鎌倉文学館長)
1405 奉納演奏 薩摩琵琶「城山」(島津義秀=加治木島津家13代当主)

1430 シンポジウム「西郷隆盛と三島由紀夫」
     (パネラー。五十音順、敬称略)
     桶谷秀昭(文藝評論家)
     新保祐司(文藝評論家、都留文科大学教授)
     松本 徹(文藝評論家、三島文学館前館長)
     渡邊利夫(拓殖大学前総長、学事顧問)
     水島 総(司会兼 日本文化チャンネル桜代表)
1615 追悼挨拶 女優 村松英子
1625 閉会の辞 玉川博己 事務局からお知らせ
1630「海ゆかば」全員で合唱
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 宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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