日曜日, 11月 26, 2017

宮崎正弘の国際ニュース・早読み  <<シリア内 戦は終盤、アサド政権は中国の復興援助を熱烈に期待

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)11月27日(月曜日)
        通巻第5523号    
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 血の犠牲は45万余、難民が1200万人、再建に2000億ドル
  シリア内戦は終盤、アサド政権は中国の復興援助を熱烈に期待
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 「ISとの武装戦争に勝った」とロウハニ(イラン大統領)がテレビにでて発言したあと、ロシアへ飛んでプーチンと会談した。「シリアの戦後」はロシアとともに主導権を取る姿勢を鮮明にしたことになる。

 トルコは反アサド路線なのに、このイラン、露西亜との三者首脳会談にエルドアン大統領が強面顔で出席した。トルコ国内にかかえるクルド武装勢力がどうでてくるか、頭痛の種だからである。

 シリアの中国大使ムスタファは『サウスチャイナ・モーニングポスト』(2017年11月26日)の取材に応じ、「中国の復興事業への協力、中国企業の参入を歓迎したい。米国、トルコなどの参入より、シリアはロシアと中国、そしてインドとイランからの支援に期待する」とした。

 見返りはシリア石油の輸出。前払い条件でのローンを組み、その資金は人民元建てでも構わないというのが、シリア政権が中国に示している条件である。中国にとって返済が危ない話だが、人民元による決済は魅力だろう。

 しかし復興に必要とされる資金はおよそ2000億ドルであり、難民1200万人の帰還事業とて、まるで手がついていない。
 ましてIS残党はシリア北西部イドリブ地方で依然として武装闘争をつづけており、アサド政権の打倒路線をすててはおらず、完全な停戦が実現するにはまだ数年を要するだろうと予測されている。 
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)三島由紀夫研究会から「憂国忌」の報告です。
11月25日土曜日の午後、永田町の星陵会館において「三島由紀夫氏追悼 第四十七回 追悼の夕べ『憂国忌』」が開催され、全国各地から450名の参加があった。秋晴れに恵まれたため出足もよく、また若い人の参加が目立った。
来年は明治百五十年。多彩な行事が予定されており、大河ドラマも「西郷どん」ということで、シンポジウムのテーマは「西郷と三島」に焦点をしぼった。
 会はジャーナリストの佐波優子さんの司会で始まり、まず全員が起立して三島、森田両烈士に黙祷を捧げ、続いての「開会の挨拶」を文藝評論家で鎌倉文学館館長の富岡幸一郎氏が「檄文に書かれた憲法改正への決意」を述べた。

引き続き奉納弦奏は薩摩琵琶「城山」(勝海舟作詩)。
鹿児島から駆けつけた加治木島津家・第十五代当主 島津義秀氏によっておこなわれ、会場は静寂に厳粛に聞き入った。
この薩摩琵琶の弦奏は東京では珍しいイベントでもあり、これを聞くために遠くから駆けつけて人もいた。受付では氏の著作にくわえ、CDも頒布された。
 シンポジウム「西郷隆盛と三島由紀夫」は新保祐司、松本徹、渡邊利夫の各氏が熱弁をふるい、司会は「日本文化チャンネル桜」の水島総が気合いを込めて進行。場内は立ち見がでるほどの盛況だった。
冊子のほかに渡辺総長はレジュメの追加配布も行った。
 そのあと女優の村松英子さんが駆けつけ、長女のえりさんと一緒に登壇、三島由紀夫が十三歳の時に書いた「酢模」をサロン劇場で上演する動機や背景について語った。
終了に際して三島研究会代表幹事の玉川博己が挨拶、ついで事務局長の菅谷誠一郎より事務連絡のあと、全員が起立して「海ゆかば」を合唱した。
「来年もまた11月25日、憂国忌でお目にかかりましょう。日本が真の姿に戻る日まで私たちの戦いは続きます」と多くの参加者は決意を新たにする催しとなった。
ロビィでは出版社十社が出店し、発言者の著作を中心に頒布会が行われ、一部の著者の即席のサイン会もあった。
参加者のひとりは「遠く北海道や北九州から馳せ参じた熱烈な三島ファン。同好の士を求めている熱気を感じました」と語った。
会場には発言こそなかったが発起人の高山正之、川口マーン惠美、山崎行太郎、西村幸祐、鍛冶俊樹、小川榮太?、阿羅健一、東中野修道氏ら。また中西哲・参議院議員、小林興起・元衆議院議員の顔があった。
          (憂国忌実行委員会)

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●訃報●
アウン・ミン・ユン氏(「ベトナム革新党」日本支部長)
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 誰からも愛され親しまれる有徳の人だった。アウン・ミン・ユンさんは寡黙で静かで、しかし身体中で祖国ベトナムへの愛国を表現する稀有の運動家だった。
 1975年にベトナムから日本へ留学。直後にベトナムは共産主義者に統一され、やがて多くのボートピーポルが海を渡り、20万人ほどが日本へもやってきた。その後、多くは米国、カナダ、豪へと移住したが、日本には12000名が定着した。

 ユンさんは、ボートピーポルの救援に立ち上がって、獅子奮迅の活躍をなし、次第に祖国を全体主義から自由な態勢に革新しなければならないとして「ベトナム革新党」日本支部の設立に情熱を燃やした。
 ベトナムは中国との戦争を展開する果敢な国であり、親日国家でもあり、よもやまさか、この国がいまだに一党独裁の全体主義国家だと考えている人は少ない。
 しかしメディアを独占し、反政府言論を封じ込め、政敵を追放し、ネットを監視しているため国民の言論、結社、表現の自由はない。中国との戦いも「北の国と戦争した」と教科書で教えているだけで、ベトナム戦争中の韓国兵の虐殺、レイプなども表だっての抗議を控えている国である。
 
 ユンさんは勇気をもって立ち上がり、ボートピーポルでやってきて、その後日本に定着した在日ベトナム人の組織化に没頭、ベトナムが自由になる日まで独身をつらぬくとして、家庭を持たず、清貧な暮らしを続けながら次第に仲間を増やしていった。日本人の理解者も増えた。
 筆者が最初に氏とあったのはペマ・ギャルポ氏が中心の「アジア自由民主連帯協議会」の席であり、チベット、ウィグル、南モンゴルに連帯して、ベトナム、カンボジアなどに人々が活動の輪を拡げていった。天安門事件25周年東京集会では、石平、陳破空氏ら中国人代表のあと、ベトナムを代表して所信をのべた。
 以後、筆者が代表を務める「南シナ海問題を考える会」では、昨年ベトナムから国会議員経験者や著名学者を招いてシンポジウムを開催したとき縁の下の力持ちとして在日ベトナム人に参加を呼びかけた。実に寡黙な活動家でもあった。
ことしは「尖閣、沖縄、そして台湾」というシンポジウムでもベトナムを代表して参加したばかり、ベトナムはとくにパラセル(西沙諸島)の一部を中国に侵略されている。

ユンさんは11月19日に急逝され、26日に桐ヶ谷祭場で告別式が厳粛に行われた。つい先日まで、あれほど元気に飛び回っていた印象だったが、心臓が弱かったという。告別式会場には日本中からベトナム人が集合し、さらには米国に住む実兄と「ベトナム革新党」の党首等も急遽、米国から馳せ参じた。

「壮士、道半ばにして」の印象を抱きながら、筆者は告別式の会場へ向かった。
式は仏式で、追悼の辞は多くが声を詰まらせ、涙を一杯にしながら、氏の急逝を悼み、実績をたたえ、そして若者は「意思を継続する」と誓いを述べた。
実にベトナムの告別式とは家庭的であり、また職業的僧侶を呼ばず、経を暗記する人々が導師の衣服を着て、途中で五体投地を繰り返しながら、長い長い音楽のような経を読むのだった。南無阿弥陀仏のところは、日本語に似ていた。

ベトナム国家の正式の国旗(いまの赤にハンマーではない)と、ベトナム革新党の党旗を八人のベトナム人男女によって高くかかげられて入場し、柩を蔽った。
それぞれが心のこもった挨拶で、日本からは筆者のほかに、ボートピーポル支援時代からの友人、小島孝之氏が出席して、涙ながらの弔辞をのべた。会場の桐ヶ谷齋場は二百名近い友人らで埋まった。
これほど暖かい、家庭的な、親密でまっすぐな心情を身体ごと表現するという友人葬は近年の日本ではお目にかかれないので、こころに深く残る式典となった。
「さようなら、ユンさん、志半ばにして逝った友よ」。
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