Rhapsody時代から、従来のいわゆるMacOSは廃止されるが、一部のコードの書き換えで、古いアプリも比較的簡単に新OSに移行できる旨、盛んに宣言されていた。サードパーティの開発者にそっぽを向かれては、いかにジョブスが意気込んだOSといえども、早晩苦境に立たされることは明らかだった。
MacOS Xになった当初から、アップルがPowerPCというアーキテクチャに強く依存するのは危険な状態にあった、と前出白山氏は書いている。
Pentium4に対向できると信じられていたPowerPC G5は、発表当初の涼しいG3などとは段違いの発熱で、性能面で対処できるノートマシンを発表できない状態で、2005年6月の段階で、インテルCoreプロセッサに移行を発表、2007年までにはすべての製品がインテル製CPUとなってしまった。
このとき、動揺派と積極支持派とわかれたマックファンの対応があったように思うが、最初はあれほど優位性を宣伝していたPowerPCからあっさりインテルに切り替えたときは、さすがに最初は動揺したが、過去のCPUシェアの歴史と、インテルの頑張りを見ればかえっていのかもしれないと冷静を保とうとした。
技術の進歩は早く、ある時期の優位性など、ちょっとしたことで逆転することをまたまた感じた。ちょっと前、G4が登場し、G3が安くなった頃、私は友人にこんなメールを送っていた。
『最近の情報によれば、Macの日本による売り上げシェアは10月の時点でトップの24%強で2位のNECはとうとう20%を切ってしまったそうです。アメリカでのシェアは一位あがって6位となり、5位にNECがいるそうです。人気商品 iMacとそっくりに見えなくもないソーテック社のE-ONEはとうとう販売差し止めとなりましたが、あるユーザがそれにしてもよく似ているな、だいじょうぶなのかな、などと裁判以前の時点で話していると店員が揉み手で近づき、ええもう、そりゃ、WindowsじたいがMacのまねですから!などと話の輪に入ってくる状態も見かけられたそうです。・・・
よく冷えた、というのは今度のiMacは冷却ファンがついていません。心臓部のG3-CPUの消費電力が少ないためで、ノートブックパソコンでも早さはトップです。最近製品発表されたG4は発熱が多いので、デスクトップでしか採用されていませんが、ゆくゆくは銅配線をうんと細くしたり、電子の余計な移動を押さえたりする技術をもちいて、発熱を抑制する方向でG3、G4ともにクロック速度は2000年には1GHzに突入します。一方インテル社のなんとかという石は、サードパーティ製品にも速度で抜かれ、クロックをあげられるように線幅を細くすることで苦労しているようです。
DOS時代の製品と互換性を最大限保つよう設計されていることも足を引っ張る原因とされていますが、サードパーティの製品はそれではどうなのか、と思いたくなります。Microsoft社は、一時アップルに出資する見返りにブラウザに同社製品も入れるよう強制したため、Netscape社の業績は急降下し、AOLの傘下になってしまいました。こうした行為は独禁法に抵触するということで有罪の求刑がこの秋出ました。いままで通りの商売はできなくなる、というのが業界の見方のようです。
G4が出たおかげで、G3アクセラレータカードが一斉に値下げとなり、小生も食指が動き、266MHzでバックサイドキャッシュが1Mという米国製品を一番古いマックに装着したところ、約7倍のスピードアップとなり、G3-300Mhz相当の早さで1999年初頭の製品と同レベルのプロセッサ速度となりました。単純計算で計算速度じたいはWindows機の600MHz位になりますが、にわかには信じられません。CPUの温度などもマウス操作で表示してくれるので、外気と使用環境で温度が5〜10℃ほど変化するのもおもしろい(平均55℃)。
子供の話ではG4Macがでたことで、ソニー(ちなみに、日本ではNECについで3位!)のVAIOを買った友人たちもアップルは汚ねえ、出るとわかっていればこんなもの買わなかったのに、と落ち込んでいる友人たちが複数いるそうで、3年生になりパソコンが必要になればG4を買わされそうです。G5、G6までは進化はロードマップに載っているそうで、今世紀末頃にはスパコンが居間の机にのる時代が来る、といわれていましたが、アップル、IBM、モトローラグループが一番のりを果たしました。とりあえず、めでたい!、めでたい! 』
しかし、インテルも必死で配線を細くし、当初の予想を覆して、4GHzあたりまで引っ張ったがそこでコストを含め限界の感を呈し、プロセッサを複数配置して、低クロックながら性能を上げるパワーPCを見習ったかのような戦略へと切り替えた。
それで、わずか一年でOSやアプリのインテル化が完了したわけだが、白山氏によれば、MacOS X自身の移植性の高さに加えて、高レベルのアプリケーションフレームワークであるCocoaおよびObjective-Cの移植性の高さを上げている。Cocoaアプリケーションを作っていれば、再コンパイルするだけでほぼそのまま移行が可能であった、という。そもそもCocoaの元となったOPENSTEPは、680x0,x86、PA-RISC、SPARCの4つのアーキテクチャで動作しており、移植性の高さは実証ずみであった、という。
さらにMacOS XにはインテルかパワーPCかを一般のユーザーから隠すよう設計されており、ユニバーサルバイナリーという仕組みで、インテルでもパワーPCでも、同様に使用できる。それで、現在はほとんどのアプリがユニバーサルバイナリー仕様だそうだ。
ユニバーサルバイナリーが間に合わなかったアプリは、MacOS X 自身がもつRosettaという機能が対応している。これは、旧MacOSをパワーPC上でも動かせるようにしたClassic環境に似ている。私のG4マシンは、これまでのすべての所有するアプリが実行可能。ただ、インテル環境ではそうではなく、Basiliskiiで対応して事実上問題ない。これほどあれこれと変わったOSだが、結局すべてのアプリがいまだに実行可能な状態で、Macを選んで後悔したことはない。
事実、パワーPC用に書かれたオフィスをインテル上でも問題なく私は使用しており、新オフィスも廉価で魅力的だが、まだ移行していない。当然だが、二台同時には起動できないが、新しいオフィスは3ライセンスつきで2万ちょっとでアップグレードできるのだが、今更同時に使用するほど必要性は見当たらない。Win版も何種類ものオフィスがあるし、そんなにマイクロソフト製品を買う気にはなれない。
現在はアドビシステムズ、マイクロソフトOfficeなどほとんどの製品がユニバーサルバイナリー仕様になり、Rosettaの出番はほとんどない、という。
その移植性の高さだが、現在のiPhoneのプロセッサは、組み込み系プロセッサであるARMアーキテクチャだそうだが、このiPhoneのOSもMacOS Xのバリエーションだそうで、iPhone OSと呼ばれはするが、MacOS X 10.5 Leopardをベースとしている。短期間にiPhoneをリリースできたのは、MacOS Xが強力な基盤ををもっているからだと、書かれている。
また、マック雑誌でも、iPhone用の、サードパーティによるアプリ類の開発も、MacOS X
上で、iPhoneなしでも開発可能となっている、と指摘されていた。また、プログラミングで重要なのは概念であり、OSも見てくれも全く違うかに見えるMacとiPhoneなのに、その上で稼働させるアプリを作る概念が全く共通なのだという。その特徴をうまく使うことで、Macの開発者が用意にiPhone開発者にもなってしまう『仕掛け』が機能している、という。Macのプログラミングを追いかけて来た人たちが、良かったと至福の瞬間を味わうことになろう、とも。Cocoaに馴染んでいればよいようだ。
XBox用アプリの開発も、マックのパワーPCG5上で行われていた、という話を信じない人も多いようだが、まあ、何でも動くMacOS X というのは、それだけでも凄いことのように思われ、最近のMacを語る資格が自分にももうほとんだないことに気付かされた。
しかし、アップルの原点ともいえる二人の創業者の記録は、未だに色あせていないように思われる。
http://www.itmedia.co.jp/anchordesk/articles/0706/08/news045.html
には、『Apple IIの「ジョブズ的視点」がPC革命の始まりだった
ウォズはApple IIを「プログラミングで問題を解決するツール」とみなしていたが、スティーブ・ジョブズ氏はこのマシンを家電のようにしたいと考えた。』
として当時の興奮を今に伝えている。
土曜日, 7月 19, 2008
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