日曜日, 10月 05, 2008



8月に、年輪で紹介した副島隆彦氏(http://yhsvtex.blogspot.com/2008/08/blog-post_31.html)の最新刊に類する著作を先日購入した。内容は、前回紹介した劇画本を半分に以上踏襲した部分はあるものの、裏表紙でも書いているように、江戸時代の国学や朱子学関連の学者たちの、今日に及ぼす影響が、完全にあたらしい部分となっている。

副島氏については、学問道場というのを以下のサイトで開いておられるので、改めて紹介する。
http://soejima.to/

昭和史については、劇画もけっこうだが、文章化されたことで、より理解が深まる気がしたが、同じ内容だから当たり前であろう。

目次の中に、映画「カーツーム」でイスラム原理主義を解読する、というのがあるが、この映画、ハルツームともいう。コメイニ師とかホメイニ師とか新聞でも表記がゆれたことがあったが、同じこと。アラビア語やペルシャ語には。khではじまる名詞が多い。イラン石化事業華やかなりしころ、ビジネスマンの家族もペルシャ語講座を受講していたが、ホメイニ師登場で結局撤退を余儀なくされた。

大英帝国が絶頂期を極めていたころ、1880年代から90年代にかけての北アフリカでのイスラム原理主義指導者マハディがイギリス軍と衝突し、なんと大勝利をおさめたのだという。この事実と薩英戦争とが似通っている、と著者は指摘する。

反乱軍を鎮圧するために、ゴードン将軍が選ばれたが、彼は長く中国に派遣されていて、太平天国の乱を鎮圧した実績があった、という。

太平天国の乱を利用して、ゴードン将軍を始めとするイギリス軍軍事顧問団は、清朝政府に猫なで声で、「自分たち文明国の力を借りないと、清朝は滅亡しますよ」と外交交渉をした。
この太平天国の乱の最中の様子を、イギリスの対日戦略に従って、上海まで連れてこられて目撃していたのが、高杉晋作や五大友厚たちだった、と筆者は指摘している。

目次の第5章を見てもらえば、その辺の事情は察せられるだろう。司馬遼太郎の書いた歴史なんて大嘘だというの、筆者の見解。私は、司馬作品は数ページ読んで、二度と書棚に置かなかったが、あとで、サンケイ記者出身と知ってびっくり。アメリカのある一派の勢力のまわしものだった、と今は疑っている。前回紹介した「日本人の思考法」では司馬の「三文小説」を読んでどんな規則が施されているか、などという演習問題があったっけ。他に藤沢周平、池波正太郎氏もあったが、・・・。そういえば、アカデミズムでも、ポツダムドクターとかポツダム出世派などと分類された先生方がいたような・・・・。

グラバーらイギリス人商人、アーネスト・サトウのような戦略的外交官によって導かれ育てられた人々がのちに明治維新元勲と呼ばれるようになった、という。日本は確実にイギリスの世界戦略に組み込まれていた、という。

中国の愛国運動であった、太平天国の乱と幕末の尊王攘夷運動はまったく同じ性質のものであると、副島氏は見ている。

だから、表面上は尊王攘夷を唱えて必死で闘った日本の指導者たちにの中に、すでにイギリスの手先となるべく密かに育てられていた若者たちがいた。彼らは真の現実的政治家たち(ワル)であり、本物の真からの誠実な攘夷論者たちはすべて殺されていった、と記述している。

映画の中では、ゴードン将軍は破れ、非業の死を遂げるが、もちろん史実でもある。イギリス帝国の世界支配の構図が透けてみえる映画だという。



第6章で目新しいのは、浜口・井上「金解禁」=小泉・竹中「郵政民営化」
とい小節。
浜口雄幸首相と井上準之助蔵相は、金解禁という失政の責めを受けて、やがてあいついで右翼の凶弾に倒れていったが、ここでも昭和史の謎があるという。

あのとき、浜口雄幸ら日本の政治指導者は、その後の世界が「世界大不況」から大戦争に向かうことを予測できていない。

まったく同じことを最近の小泉政権がやった。小泉純一郎と竹中平蔵はアメリカ政府と、それを背後から動かすニューヨークの金融財界からの厳しい要求を受けて、これに忠実に従った。大切な日本国民の資産をアメリカにどんどん差し入れた。・・・

ところが、昨年八月のサブプライムローン崩れの金融危機がおきてしまって、世界の様相はすっかり一変した。ここで神風が吹いたのかもしれない、と副島氏は書いている。

アメリカは、日本の大銀行・大企業を更に乗っ取るどころの騒ぎではなくなった。アメリカの本丸(ニューヨーク金融城)が急に燃え出したようにも見える。日本はすんでのところで命拾いをしたのかもしれない。まだわからないが、どうもそのようである、とも書いている。

この新たなる世界恐慌の嵐が吹きあれるのが数年は続き、その後の世界経済体制へ移行するだろう、という。
従来の金と石油だけではなく、天然ガスを始めとする天然資源や非鉄金属、貴金属、更には食糧・穀物類までを担保とする通貨体制へと、世界は移行するだろうと予測している。

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なかのひと

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