土曜日, 4月 10, 2010


前回拙ブログで取り上げた、しみずともこさんのコラム記事に疑問をはさんだ。『冒頭、摂氏0度に保った室内で、氷の溶ける量を調べることによって、とある。時は、フランス革命勃発の約10年ほど前、摂氏0度に保った部屋なんてつくれたのだろうか!?』

それで、さっそく、以下に紹介されていた書籍をアマゾンで購入したら、ネット注文で送料無料で半日ちょっとで届いてしまった。そこで、呼吸についての言及部分は、ネズミを
使った実験とある。『0℃に保った密閉空間の中に一匹のモルモットと氷塊を入れ、氷の溶ける量とモルモットから発生する二酸化炭素の量を測定しつづけた。・・・』などとp43のカロリーを計算する、という小節の中に見いだした。
http://d.hatena.ne.jp/naturalist2008/20091224/1261631708

その実験に使われたものと同タイプらしい実験器具も、前回の医学書には載っていた。『氷式熱量計』とあり、ラヴォアジェとラプラスはこれを用いて、動物でも炎でも、同じ量の酸素を消費した場合に発生する熱量は等しいことを証明した(個人所蔵)となっていて、同書70ページに出ている。その64ページには、前回のべたラヴォアジェ夫人によるとみられるラヴォアジェの研究室における呼吸実験の様子。ラヴォアジェ夫人マリアンヌの筆になると言われている。(Wellcome(ママ) Institute Library, London)となっているので、人体実験でも証明されたとはやとちりしていたわけだ。

『カロリーを計算する』・・・人間用の熱量計は、1860年代にミュンヘン大の化学者カール・フォイトが初めて作ったのだそうだ。水中に沈めた大きな箱の中に被験者を座らせ、水温の上昇を測定した、とある。彼の弟子の一人が、マックス・ルーブナーでマールブルグ大に移った後、犬を45日間熱量計の中にいれ、接種した熱量と、排出された熱量や、排泄物などの化学的なかたちでエンルギー交換量を比較し、総計17349キロカロリーの食物に対し、17406キロカロリーの出力でほぼ一致。計測屋の面目を、如実に示し、動物にも熱力学の第一法則があてはまることが明らかになり、昔からあった生気論に衝撃をあたえた、という。1889年のことだという。

しかし、そのためだけに本書を購入したわけではない。上述のこの本の紹介サイトには、この本の内容として、紹介文の一部に以下の一説を見たつけたからだ。
『日本人の研究としては唯一、依田恭二博士らの3/2乗則(植物サイズの対数と個体群密度の対数との関係の傾きが-3/2)がさらっと紹介されています。この法則は一時は隆盛を極めたものの1990年代には葬り去られ、ウェストやブラウンらの代謝理論の予測によれば4/3乗則(傾きが-4/3)となるそうです。しかし多くの法則はその具体的な値が重要というよりも問題提起(仮説提唱)が大事であって、その真偽は以後の検証作業に委ねられるというのは本書が繰り返し述べていることでもあるわけです。』

今、私が英国科学誌"nature"などで、みつけたいくつかの論文をちょうど読んでいる最中だったからだ。その中味がまさにこの(他にいくつもあるが)論文である。


しかも、この本には極東にいる者にはうかがいしれない、上記論文の著者たちの素顔まで活描されていて、まことに時宜をえていておもしろい。
とりあえず、他の事をすべて中断して読み進めている。出勤だけは、今日もしなくてはならないが、・・・。

なかのひと

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