木曜日, 7月 02, 2009


先日、昔少し勉強して、それなりに分かったつもりであった逆問題について、また疑問というか、もう少し自分なりの理解を深める必要があって、最近の逆問題の解説動向をざっと覗いて見た。
http://www.google.com/search?hl=ja&q=%E9%80%86%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%A8%E3%81%AF&lr=&aq=0&oq=%E9%80%86%E5%95%8F%E9%A1%8C


それらの中には、比較的納得できる解説として、『逆問題について
ある系の入力と出力から系のパラメータを推定する問題である。しかし、ほとんどの逆問題は、 測定されるフィールドが局所的で ... つまり、逆問題は、不適切問題を解くことに帰し、何等かの拘束条件を付加しない限り、一意的な解は求めることができない。 ...
www.ysaitoh.k.hosei.ac.jp/labor/1999/.../4-26.html - キャッシュ - 類似ページ 』
とか、
『逆問題 - 理学のキーワード 第15回 - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部
逆問題とは,ある現象に着目して観測データから,その原因や現象を支配しているパラメータなどを決定する問題を広く指す。原因やパラメータなどは直接的に決定することが不可能であり,利用できる間接的な観測データから推定することしかできないのが普通 ...
www.s.u-tokyo.ac.jp/ken/key/15_2.html - キャッシュ - 類似ページ -』などという、データ解析を手がけた人なら、比較的接近しやすそうなものもある。

また、『逆問題と認識論
外観を見てその中はどのようになっているかについて思いをめぐらすとか、観測結果をもとに、熱や電気の伝わりやすさを表わす熱伝導率や電気伝導率、硬さなどの特性を推定したり、作用している力や発生熱量を推定したりすることが、逆問題と見なされて ...
www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~saiton/paper/inverse.htm - キャッシュ - 類似ページ -』などという解説もある。とうてい一筋縄ではいかない感じにだんだんなっていく。

そのうち、
『Amazon.co.jp: 逆問題とその解き方: 岡本 良夫: 本
最近、多くの分野で注目されている、結果から原因の解析を可能にする手法「逆問題」。この書は、逆問題についてわかり易く解説すると共に、その解き方の基本、線形代数が容易に理解できるように、典型的な逆問題を取り上げ、徹底的に吟味する。 ...
www.amazon.co.jp/逆問題とその解き方.../4274022226 - キャッシュ - 類似ページ -』というのを見つけて最初に勉強した本だったので、アクセスしてみてびっくりした。http://www.amazon.co.jp/%E9%80%86%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%AE%E8%A7%A3%E3%81%8D%E6%96%B9-%E5%B2%A1%E6%9C%AC-%E8%89%AF%E5%A4%AB/dp/4274022226
肝心の本のイメージが欠けている。そのうえ、値段をみたら、15000円近い。しかも現在入手できる本はたった、4冊でみな中古品である。それで、あわてて、積ん読の本束をひっくり返し、見つけて値段をみたら、税込みで3500円だった。ほぼ4倍に値上がりしている。


中古価格が上昇する本は、おそらく良書といって過言ではなくかつ流通量が少ないのだろう。発行年月日は、平成4年3月25日、、初版第1刷であった。購入記録をみると、同年5月27日だった。

監修者の武者俊光博士は、富士通パソコンFM77を使っての、微分や積分への応用例を解説てもらって、パソコン利用にめざめさせていただいた。座右のパソコン、というフレーズにいたく感激した記憶がある。博士は、その頃、大学受験を控えた息子さんをおもちで、そこで発せられた質問にも答えられるような題材をとりいれたようなことも、当事の氏の著作にはあったような記憶がある。

もともと自分では文系人間で、一番欠けている数学的素養を養うのに、紙と鉛筆、電卓程度では埒があかず、パソコンを合理的に使って、数学的な問題を解けたら、というのが、その当事の、また今でも変わらない、趣味のひとつでもあったので、当時としては、高価な本だと思ったが、迷わず購入したような記憶がある。まだ、その頃はマッキントッシュSE/30という機種だった。表計算ソフトは、第三世代というふれ込みのフルインパクトというエクセルより安価なものを使っていた。

行列計算が出来ず、BASICのプログラムから学んだ行列計算のアルゴリズムを、フルインパクトのマクロを使って、行列計算ができるようにした。そして、二変数以上の回帰分析をフルインパクトで実行できるようにして、悦にいっていたりもした。そうすると、もう少し、高級な数学理論を勉強したくなるのは、人情の常である。そういう時期に、旨い具合に、武者利光博士監修のこの本にであった、ということなのだろう。

監修のことばには、『しかし、この逆に結果がわかっているときに、その原因は何であるかを求めるのは、系の構造が簡単であっても、困難な場合が多い』として、『岡本良夫さんが私の研究室で・・取り上げたのは、心電現象のための逆問題である。』としたうえで、『体表面上の電位分布がすべてわかれば、心臓疾患の詳細な診断ができるであろうということで、この電位分布から心筋の電気的な活動状況を推定する研究に取り組んだ』とある。
心しかし。『心筋の構造が複雑なので、ただがむしゃらに逆問題をとこうとしてもうまくいかなかった。』とある。そこで、どうしたか!?

『逆の発想で心筋の構造を詳細に調べて心筋のモデルを計算機の中に作り上げ順方向問題を解きながら、逆方向問題を解くことにしたところ、非常な成功を収めた』という。
しかも。『この研究には、約8年かかった』という監修の言葉を半ページも読んだあたりで、私は購入を決意し、レジに並んだ記憶が。

いま、改めて読み返すと、この数行の記述の中に、主として生物系の問題に現れる逆問題の理解に非常に参考になるのではないか、と思えてしまう。すると、モデル化も、逆問題と準問題の表裏一体の関係にあるということも、想像は容易だろう。

肝心の著者である、岡本良夫博士は、はしがきで『強力な計算機が手軽に利用できるようになった現在・・・』という書き方をされている。私も、大型計算機センターへ通うことを覚悟していたのに、自分のテーマに限れば机上にそれと同等クラスの計算機をそれほど高価でない価格で用意できそうな見込みがたった頃の、限りない可能性を感じてた頃のことは、今でも眩しく思い出される。

『多くの分野で逆問題が注目されるのは当然と言えよう』としている。一般的には、膨大な計算を必要とされる分野も多いようである。それで、こうした時代背景を見越して、『これから逆問題に取り組もうと考える研究者や技術者にその基本的知識を提供しようと用意された』としている。

著者は言う。『逆問題の本質は「不適切性」、つまり「測定値に含まれるわずかな雑音が最終結果に破壊的な効果を及ぼす」という性質にあるという。『本書では、この不適切性が何に起因するのかを説明し、不適切性を定量的に定量的に評価する方法を与え、不適切性を援用して有用な結果を得るための代表的な手法を紹介する』とある。

主として扱われる線形逆問題に限れば解の存在や一意性(ユニークネス)解の構成法やその解の安定性など極めて一般的に議論できるとしている。

第二章で、線形代数の知識を著者なりにまとめ、双対空間の概念を強調するなど、少し一般の線形代数の教科書とは一線を隠しているので、自信がある方も一読してほしい、としている。第3章では、与えられた行列を別の行列で表現することを考え、対象行列・エルミート行列のスペクトル分解定理を示し、これを任意の矩形行列に一般化して、特異値分解定理をる。また、逆行列の概念を任意の矩形行列に一般化して各種の一版逆行列をていぎする、とある。

一版逆行列は、われわれの仕事の分野でも出てくるのだが、、分かったようで分かっていない。しかし、逆問題の扱う上での道具はこれで出そろうようだ。

4章では、逆問題の不適切性を定量的に評価するための方法を与える、という。不適切性を緩和するにはなんらかに事前情報に基づいて解を制限する必要がある、としている。

第5章で、利用できる事前情報の豊富さに応じた守株の緩和法があるが、それらの代表例を紹介し、最後の第6章で、全章での結果を踏まえ、それがどの程度の効果を持つかの健闘だと言う。しかし、紙数の関係で、信号処理理論、特にフィルタ理論などは、全くのべていないので、各自巻末の資料などで、必要な知識を補ってほしい、としている。

普通の線形回帰分析でも、変数の分離が必要であり、不要な雑音レベルを押さえ、解の安定性を目指すのが普通であろう。
そういうモデル構築には、やはりなんらかの事前情報が必要であり、問題に応じた各自の取り組みに、学と言うより技とわれるような部分の比重も決して少なくないような気がしている。

なかのひと

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

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